パリ五輪サッカー男子日本代表、最大の不安は「広報担当不在」そしてオーバーエイジは必要か
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開会式を前にサッカーや7人制ラグビーなどの予選リーグから始まったパリ五輪。大岩剛監督率いるサッカー男子日本代表は、グループリーグ初戦のパラグアイ戦を5対0で快勝するという申し分ないスタートを切った。このままメダル獲得に向けて突き進むだけのようにも思えるが、選手層としては不安が残っている。
「パラグアイ戦ではFW平河悠がタックルを受けて負傷交代したシーンがありましたが、今後も負傷者が出てくる可能性があります。そもそもオーバーエイジ枠をまったく使わず、久保建英や鈴木唯人といった、ヨーロッパのリーグで結果を出している23歳以下の選手も招集できなかった。チーム全体の調子が良かったとしても、選手層の薄さは否めないわけです。正直なところ、経験値がまだ浅い選手ばかりで、短期間の国際大会の戦い方に不安があるのも事実。ケガもそうですし、不用意なカードをもらって出場停止になってしまうということもあるでしょう。そういう無駄なアクシデントを避けるという意味でも、チームを落ち着かせる存在としてのオーバーエイジ枠は必要だったかもしれません」(サッカーライター)
そして、選手層の薄さという点で、さらなる懸念材料となっているのが、「広報担当」の不在だという。
ワールドカップやオリンピックでは大会終了後、活躍した選手がさまざまなメディアを回って、大会を総括するとともに、サッカー全体の広報活動を務めるのがつねだ。たとえば、2022年FIFAワールドカップカタール大会では、清水エスパルス所属のGK権田修一がテレビ各局のスポーツ番組や情報番組に出演した。
「大会後の選手による広報活動は、サッカー界の発展のためにも重要。テレビ番組でしっかりサッカーの魅力や“大会のすごさ”を伝えて、そこからJリーグの観客を増やすとともに、サッカーを始める少年少女を増やしていなかければならない。でも、今回のパリ五輪ではそういった役割を担える選手が見当たらない」(同)
当然ながら日本のスポーツ番組を回るので、広報担当となる選手は、海外のチームに所属している選手ではなく、Jリーグのチームに所属している必要がある。そのうえで、ある程度のメディア慣れが求められるので、若手選手よりもベテラン選手のほうが好ましい。パリ五輪日本代表の選手の中では、たとえばキャプテンの藤田譲瑠チマなどは試合後のインタビューの機会も多く、ある程度のメディア慣れもしているが、ベルギーリーグのシント・トロイデン所属であるため、大会後に日本のメディアを回るのは簡単ではない。
「パリ五輪日本代表のなかで、メディア受けしそうなJリーグ所属の選手はあまりいないんです。オーバーエイジでFC東京のDF長友佑都あたりがいてくれたら、見事な広報担当になってくれていたんですが、大岩剛監督も、あまり話が上手いほうではなく、広報担当には微妙ですからね……」(同)
仮に日本代表がメダルを獲得すれば、それだけメディア露出も増えるはず。そこで上手く広報活動ができなかったら、サッカーのイメージアップのチャンスをみすみす逃すこととなるのだ。
「協会が本気でメダルを獲るつもりで、なおかつその後の日本サッカー界の発展を本気で狙っていたのであれば、広報担当のベテランをチームに入れていたはずです。にもかかわらず、それをやらなかったのが完全に協会の無策としか言いようがない。あるいは、本気でメダルを獲るつもりがないのかもしれない。こういった動きを見ていると、今回のパリ五輪だけでなく、今後の国際大会への取り組み方も心配になってきます」(同)
大会前から選手選考への不安は指摘されてきたことだが、大会後も“広報担当”を巡ってその不安は残っていきそう。パリ五輪の結果がどうなるかとは別に、今後協会は“広報担当”をしっかりと意識した選手の選抜が必要となっていくだろう。
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