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『GO HOME』第3話 なんだこのトンチキな話は……1次落ちレベルの「整形トリック」

大島優子(GettyImagesより)

 身元不明の遺体を調査して家族の元に戻してあげることで2人の女性がご満悦になるコメディタッチのドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)も第3話。主人公のサクラ(小芝風花)とマコト(大島優子)は、今日も元気にキックボクシングで汗を流しつつ、日本中を駆け回ります。

 キックボクシング、いいよね。何よりストレス解消になるし、たくさん汗かくから肌ツヤもよくなるし、みんなもやったらいいと思うよ。キックボクシング。

 そんなわけで今回のゲスト死人は山本美月さん。登録者80万人越えのインフルエンサー・RILIKAを演じます。

 振り返りましょう。

■なんだこのトンチキな話は

 今回の死人は、どっかの崖から身を投げた20代の女性でした。現場に「峯岸美江」名義の免許証と美江さんの自筆の遺書があったことから、警察は自殺と断定。夫もいますし、身元がわかっていますので、身元不明人相談室には関係がありません。

 この美江さん(東野絢香)には、3年前に捨てた元婚約者の男がいました。この男は「美江さんが僕を捨てるわけない」「どっかで死んでるかもしれない」という理由で、サクラとマコトの働く相談室に入り浸っていました。この時点で、かなりヤバいです。

 遺体が美江さんと断定されたことを、捨てられた元婚約者に「誰が伝えます?」と話し合う相談室の面々。別に伝える必要はないし、なんで相談室に遺書の筆跡鑑定の結果が届いているのかもよくわかりませんが、とにかく身元が判明しているのだから相談室の業務外であることは間違いありません。

 ところが驚くべきことにサクラとマコトは、ご遺体とは現在まったく関係のないこの男を安置室に通し、顔を見せてやります。なんの権限でそんなことをしているのか。サクラは男に「身内の方には少し席を外してもらっていますので」と言います。つまり、妻が自殺したばかりの夫に対して「元婚約者が死体を見たいと言っているから席を外せ」と命じたことになります。どこの誰だかわからない男に、妻の遺体を見せたいから席を外せ? 警察署内で警察官にそんなことを言われる遺族の気持ち考えたことあるんでしょうか。

 と、ここまででかなりヤバかった今回の『GO HOME』ですが、こんなのはまだまだ序章でした。

 死んだのは美江さんではなく、80万人越えのインフルエンサー・RILIKA(山本美月)でした。美江さんは3年前、婚約者を捨ててRILIKAのSNS仕事の裏方として働き始め、楽しい日々を送っていました。ところがRILIKAが末期の喉頭がんを患ったことで事態が急変。RILIKAは美江さんに「あなたがRILIKAになって!」と迫り、RILIKAに憧れていた美江さんも涙を流して快諾。周囲を巻き込んで「美江さんRILIKA化計画」が実行されたのでした。

 美江さんは顔を整形し、RILIKAから歌やダンスやしゃべり方やポージングを習い、半年後にインフルエンサーRILIKAとしての活動を開始。本物のRILIKAは「RILIKAはひとりでいい」とか言いながら、崖から身を投げたのでした。

 なんだ、このトンチキな話は。

■ミステリーとしてもヒューマンとしても嫌だ

 東野絢香の顔のどこをどう直すと山本美月になるのか。整形手術によって実在の人物に成り代わる、しかもその人物が一般人ではなく80万人のフォロワーを抱える有名人なのに、全然バレない──なんてトリックはミステリーとして1次落ちレベルですし、美江さんが婚約までしてくれた男を捨てて友達のキラキラSNS仕事に没頭していったことや、そのキラキラRILIKAが美江さんに「自分が死ぬからおまえがRILIKAとして生きろ」と迫ったこと、RILIKAの彼氏もその計画に乗って美江さんが自分の人生を放棄することに協力したこと、その他もろもろをすべて美談として語っているのも気味が悪い。

 そして何より気味が悪いのが、サクラとマコトが活き活き仕事をしていることなんです。遺体の調査をすることで自己実現を達成しようとしているように見える。人の死、知らない人の死体を、自分のやりたい仕事をするための道具として扱っているように見えるんです。今回、元婚約者の男に死体を見せるくだりは本当にヤバかったと思う。

 前回も書いたけど、これまで真相にたどり着いているのはあくまで結果論であって、必ずその結論に至るのはご都合主義でしかありません。サクラとマコトは、真実や真相を求める自分たちこそが正義であると妄信し、神妙な顔で死人の人物像を勝手に作り上げ、その妄想に基づく“裏トリゲーム”をして勝ち誇っているように見える。

 そう見えるのは作り手が、やっぱり人の尊厳というものを疎かにしているのか、単にシナリオがヘタクソなのか、どっちかです。どう考えても、そのどっちかなんだよなぁ。来年には大河を書こうって大脚本家先生に言うことじゃないけど。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/07/28 13:00
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