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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『ビリオン×スクール』モチベと展開の話

『ビリオン×スクール』第4話 主人公のモチベーションコントロールが展開を生む

山田涼介(GettyImagesより)

 お笑いさんだったころは、なんか暗い変なネタをする人だなぁという印象しかなかった元ピン芸人の我人祥太さんが脚本家として健筆をふるう『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)。これまで、貧困、イジメ、スクールカーストという学園ドラマの王道的なテーマに対し、ちゃんとこのドラマなりの回答を示しつつ「AI開発者のビリオネアが教師だったら」という設定を活かしたライトSFとしても楽しい作品になっていますが、今回のテーマは天才児の不登校。またまた王道ですね。

 あいもかわらず美しい山田涼介演じる加賀美センセの悲しい過去も明らかになりつつ、第4話。振り返りましょう。

■まず前提がうまい

 今回は、常に学年1位すぎて「学校で学ぶことがなくなった」という不登校児・竹中くん(山下幸輝)を学校に来させるお話。このドラマの上手くできているところとして、加賀美センセには、AI教師の開発のために教師を続けたいというモチベーションがベースにあるんですよね。その上で、悪役の教頭から毎回「○○できなきゃ辞めてもらうしかない」という条件を与えられることになる。

 それによって、加賀美センセはそれをやらなければいけない状況になる。やらなければいけない状況だからこそ、今回でいえば「別に学校なんて来なくていいだろ」と言えるわけです。諸問題に対して、加賀美センセが「嫌々関わる→関わっていくうちに本気になる」という展開が作れるということで、これはホントにうまくいってるなぁと思うんです。

 で、今回は「別に学校なんて来なくてもいいだろ」と言ってた加賀美センセが、不登校児が“天才”だと聞いてがぜん興味を持ち、けちょんけちょんにやっつけることに。しょせんは学年1位ですから、本邦トップの頭脳である加賀美センセに敵うわけないんですね。加賀美センセのホンモノの天才っぷりを描きながら、並行して小学校すらまともに通ってないし中学も高校も大学も行ってないし、どうやら小学校高学年の記憶が抜け落ちていることも明かされました。加賀美センセ、その天才的な頭脳と引き換えにした何か悲しい過去があるようです。

 そんなこんなで、今回も不登校児を納得させるメッセージを明示して一件落着。一方で、加賀美の過去の秘密についてカギを握っていそうな校長(水野美紀)が学校に復帰するそうで、波乱の予感がほのめかされました。

■AIガジェットの扱い

 このドラマの特徴として、加賀美が大金持ちであることと、AI開発者であることを利用して学内の問題を解決していくわけですが、前回、今回とAIガジェットについてはあんまり活躍しませんでした。

 というか、第2話のAIメガネがすごすぎたんですよね。イジメられっ子に、人の顔を自由に差し替えられるAIメガネをかけさせて、人を殴ってる人、殴られてる人、悪口を言ってる人の顔を全部そのイジメられっ子の顔に差し替えることで、それまで目を反らしてきた「人を傷つけること/人に傷つけられること」という現実を自覚させるという、SFの使い方としてとんでもなく理にかなったことをやってきた。あのシーンでもうこのドラマを信用しようと思っちゃったわけですが、前回と今回は活躍しなかった。

 ただ、今回出てきたAI光学迷彩の布はおそらく伏線になるのだと思います。簡単に言うと「透明人間になれる服」が作れるわけで、どんな感じで主題とからめてくるのか楽しみです。

 あと、山田涼介志田未来神木隆之介のからみは、『Q』世代じゃないけどやっぱニヤニヤしちゃったね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/08/10 11:40
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