『ギークス』第4話 ミステリーとして「小さくなること」の功罪と“ギーク”の定義
#ギークス
松岡茉優、田中みな実、滝沢カレンが「定時で帰る」ことに一生懸命な警察官を演じている『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系)も第4話。今日も今日とて鑑識の西条(松岡)、産業医の吉良(田中)、交通課の基山(滝沢)の3人は居酒屋でどうでもいい井戸端会議を繰り広げています。
今日の議題は、高級な食べるラー油を買うかどうか。3瓶セットで3,999円。ちょっとお高いし、もし美味しくなかったら食べるのが大変だし、悩みどころですが、3人で1,333円ずつ出し合って購入することに決定。よかったね。
では、振り返りましょう。
■今回も西条だけが冴えわたる
今回は、コンプラ強化週間ということで署にやってきたコンプラ担当警部・山田さん(遼河はるひ)が目を光らせる中、お金持ちの弁護士一家で起こった腕時計泥棒の捜査を行うことになった3人。
捜査対象になったのは腕時計の持ち主である弁護士夫婦と娘、夫の秘書の女性、それに秘書とお見合いをするためにこの家を訪れていた隣人男性の5人。腕時計の保管ボックスには5人全員の指紋が残っており、鑑識・西条の出番となりました。
いろいろあって、結局は娘が腕時計を換金するために盗み出していたことが発覚。娘は弁護士の両親から弁護士になることを強要されていましたが、自身の夢は声優になること。その声優学校に入学するための入学金と授業料合わせて200万円が、犯行の動機でした。
ドラマ内で説明があった通り、家族間での窃盗は刑法第244条1項に定められた「親族間の犯罪に関する特例」によって刑が免除されますので、穏やかに一件落着となりました。
今回も、西条の「見たものを即座に全部記憶する」という特殊能力が発動し、SNSの写真から一瞬で犯人を見破る慧眼を見せつけました。おかげで3人は今日も元気に定時で帰れましたし、その鮮やかな解決ぶりでコンプラ担当の山田さんにも一目置かれることになって、めでたしめでたし。
■事件が小さくなった
第1話では殺人事件、第2話では階段からの突き落としとぬいぐるみをめぐるトリック、第3話では幽霊とか戸籍売買とか、ゆるい雰囲気のわりに凝ったミステリーを組んできた『ギークス』というドラマですが、今回の第4話では格段に事件が小さくなっています。
謎解きも、これまでは多重構造を取ってきましたが今回はとてもシンプルなもの。その分、推理に割かれる時間帯が減って、3人のキャラクターが今まで以上に伝わる回になっていたと思います。
こうなってみると、やっぱり3話までの謎解きって複雑すぎたなと感じるんですよね。ミステリーとしてはじゅうぶん面白かったし、悪いことじゃないんだけど、このドラマには似つかわしくない謎だったと思ったんです。こういうのでいいんだよ、こういうので。
と言いつつ、今回はやりたいことが比較的成功してるんじゃないかなーと思って見ていたんですが、最後のところで、やっぱり失敗してるのかもなーと感じさせる場面がありました。
コンプラ担当の山田さん、実はコンプラ研修というのは建前で、西条たちの署には内偵に来ていたのでした。
「特に怪しい人物はいませんでした。ただ、極めて優秀な女性3人組、西条、基山、吉良は、注意深く見ていかなければならない存在かと思いました」
西条以外の2人は、別に「極めて優秀」なところは見せてないんですよねえ。交通課の基山は地図を広げて防犯カメラの位置を確認しただけだし、吉良は大人の女性として時計を盗んだ娘に優しくて頼もしい姿を見せていたけど、普通にいい人という程度でしかなかった。
『ギークス』ってタイトルで、3人の特異な能力を持つギークと定義してしまったことが、やっぱり足かせになってるように見える。なんだか、危ういバランスの上でギリおもしろさをキープしている感じです。がんばってほしい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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