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美人母は催眠術師か…『笑うマトリョーシカ』魔性の女と“交通事故死の連鎖”との関係

美人母は催眠術師か…『笑うマトリョーシカ』魔性の女と交通事故死の連鎖との関係の画像1
清家一郎演じる櫻井翔

 金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の第4話が7月19日に放送された。実社会においても政治不信が蔓延する昨今、「政治家とは何ぞや」とあらためて考えさせられる本作品、好感度抜群の若手政治家・清家(櫻井翔)が政界を駆け上がっていく政治ものでありながら、その人気政治家を裏で操る“黒幕”と、登場人物の周囲で巻き起こる不審死の真実を巡るサスペンス要素が融合した“ヒューマン政治サスペンス”である。

 主人公の東都新聞記者・道上香苗(水川あさみ、以下、道上)は同じく記者であった父・兼髙(渡辺いっけい)の交通事故死をきっかけに、清家とその相棒となる政務秘書官・鈴木(玉山鉄二)にまつわる“怪しい噂”を調べ始める。「清家は鈴木の操り人形なのではないか?」「兼髙は鈴木の父が関与した不正事件を調べていたから殺されたのではないか?」。道上は同僚の協力を得て、清家のサクセスストーリーの背景に清家の大学時代の恋人・美和子(田辺桃子)が深く関わっていることを知る。しかし、道上が真実に近づきつつあるのを見越してか、“上からのお達し”により道上は会社から調査中止を通達される。

 父の不審死と清家・鈴木の謎を解明すると決めた道上は、会社を退社、元同僚の山中(丸山智己)とともにフリージャーナリストとして一層調査にいそしむ。“政界の嫌われ者”である道上のフリー宣言は、政界にとって喜ばしいトピックではないはずだが、なぜか清家はうれしそう。道上のSNS投稿に「いいね」を押すほどだ。やはり前話で清家が道上から距離をとったのは、“黒幕”から道上を守るためだったのか……。

 厚生労働大臣を務める清家が恐れる“黒幕”とは。

 第4話では黒幕候補筆頭として、清家の母・浩子(高岡早紀)が存在感を示した。清家が道上と距離をとるよう指示を出したのも浩子だったが、気になる清家の出生だが、40年以上前に東京にいた浩子が清家の父であり資産家の嘉和(梨本謙次郎)と出会ったことから始まる。浩子は清家を身ごもり愛媛に嫁いだわけだが、何の因果か、嘉和もこれまでの死亡者と同じく交通事故で亡くなっているのだ。

 浩子が清家を裏で操る“真のハヌッセン”でほぼ間違いないだろう。その根拠のひとつが、浩子から発せられる“言葉の魔力”だ。20年ほど前、浩子が鈴木に「清家から美和子を引き離してほしい」と依頼した際には、自信なさげな鈴木に対して浩子は「大丈夫」と優しく語りかけ、その甲斐もあり鈴木は強気の態度で美和子に対峙した。鈴木はすっかり浩子に心を奪われているようで、次回第5話では清家から美和子を引き離すために“凶行”に出ないか心配なほど熱がこもっている。ここで仮説を立てたい。鈴木をトリコにした浩子は“催眠術師”ではないか。

 ハヌッセンについて調べたところ、「ハヌッセンに催眠術をかけられた人物がドイツ国会議事堂に放火した」という奇説が存在している。本作品では清家と鈴木に関わる人物の交通事故死が多発。気になるのは、鈴木がなんとか一命をとりとめた交通事故の男性運転手の顔が“ほうけていた”ことだ。大学時代の鈴木と同様にこの男性運転手も、魔性の色香と催眠術を駆使する浩子に操られていたとしたら……。交通事故死の謎は一気にカタがつくだろう。

 ただ物語はまだ中盤。さらなる黒幕候補が登場するに違いない。第4話で道上が鈴木の病室から出た際に現れた女性(真飛聖)も謎を秘めていそうな雰囲気。清家や鈴木と同年代と思われる風貌だけに、2人の過去を知る人物の可能性もある。そして、大学時代の鈴木と浩子との隠された過去、美和子の行方など、回収してほしい謎はまだまだある。新たな謎が生まれる展開に、筆者はすっかり惹き込まれているいるようだ。

■番組情報
金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系毎週金曜22時~

出演:水川あさみ、玉山鉄二、櫻井翔、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、高岡早紀、ほか

プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行、城宝秀則、小林義則
原作:早見和真「笑うマトリョーシカ」(文春文庫)
脚本:いずみ吉紘、神田優
音楽:大間々昂
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
政治監修:須山義正、武田一顕
法律監修:岡本直也
児童福祉監修:永野咲
警察監修:石坂隆昌
医療監修:中澤暁雄
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/07/26 12:00
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