『南くんが恋人!?』第2話 イケメンのアイデンティティ崩壊と「今楽しいからOK」という価値観
#南くんが恋人!?
昭和から平成にかけて何度もリメイクされてきた名作ドラマ『南くんの恋人』の男女逆転バージョン『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)も第2話。1994年の武田真治&高橋由美子版と同じ岡田惠和大先生が脚本を担当し、ちっちゃくなっちゃう南くんを八木勇征、ちっちゃくならないちよみを飯沼愛が演じています。
フレッシュなキャストと、どことなく平成みのあるノスタルジックな撮影で独特なコントラストをかもしつつ、第2話です。
振り返りましょう。
■いわゆるアイデンティティの崩壊
前回、第1話のレビューで「女のコンプレックスと庇護欲、それに男のプライドが複雑に絡まり合う予感が漂います」と書きましたが、第2話はおおむねそんなお話でした。
将来のNBA候補であるカンペキ彼氏・南くんとの関係に幸せを感じつつも、コンプレックスを払拭できないでいたちよみちゃん。ちっちゃくなった南くんを部屋に持ち帰ると、さっそくリカちゃん人形の服を着せて、愛で始めます。
その姿は、推しのアクスタを手に入れた女ヲタそのものです。しかもこの南くんアクスタは、動くししゃべるんですからもうたまりません。そりゃ「ちょっと触っていい?」とも言いたくなる。さまざまなポーズを取らせて写真に収めてご満悦です。
寛容なんですよね。とんでもないことが起こったけれど、とりあえず目の前のちっちゃい南くんはかわいいし、この時間は楽しい。ちよみの場合、だからこの時間を楽しもうというポジティブが先に来ちゃう。きっとこうして暮らしてきたんだろうな、と想像させるわけです。ちよみは、今暮らしているパパと弟とは血がつながってない。おばあちゃんが実の息子である前のパパ(富澤たけし)を追い出して、お嫁さんだったママと3人で暮らしているところに、今のパパ(武田真治)が弟を連れてやってきた。いろいろ思うところもあっただろうけれど、みんな底抜けに明るかったので「今楽しいからOK」という基準を受け入れることができたということです。
恋人がちっちゃくなるという超常現象をすんなりと受け入れる地盤を「複雑な家族構成」という設定であらかじめ作っておくということをやってるわけですね。こういうとこ、うまくやってるなと思う。
一方、戸惑うしかなかった南くんは部屋にひとり残され、ママの掃除機に吸い込まれそうになったことで、いよいよ自分が絶対的な弱者になってしまったという現実を実感することになります。車にはねられそうになっても、キックボードから振り落とされそうになっても、そのときは「ちよみに会いに行く」という強い思いがあったから怖くなかった。でも、いざこうして掃除機に吸い込まれそうになってみたら、やっぱり怖い。この世界が怖いし、デカいちよみも怖い。ゴジラか、進撃の巨人みたいだ。
その南くんの言葉に傷つくちよみでしたが、「ダメダメ南くんも好き」と思い直すことになります。
南くんに訪れたアイデンティティの崩壊は、ちよみの慈愛によって回復に向かうことになりました。そして、ちよみの胸ポケットに入れられて背中におっぱいの感触を感じたことで、こちらも「今楽しいからOK」という心の安定を獲得することになるのでした。
■ずっとエロい
なんか漢字をいっぱい使ってレビューを書いていますが、ずっとエロいんだよな。食卓で、家族でラブホの話をしてるのもエロいし、南くんは全裸でマグカップ風呂に入ってるし、ちよみはそれをジロジロ見てるし、たぶんちんこも見てるし、ちよみがアクスタサイズの南くんに「触っていい?」って聞いたとこなんて、どこを触るんだろうと思ってドキドキしちゃった。たぶん頭とかかなと思ったら、お腹なんだもん。
お腹なんだもん。
南くんは制服のポケットでずっとおっぱいの感触を楽しんでるし、何より、ちよみ役の飯沼愛が松本いちかに雰囲気似てるんだよな。それが何より、何よりエロいねん。おわり。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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