サッカー佐野海舟の逮捕が多方面に余波、弟・航大のパリ五輪招集は見送り、伊東純也の代表復帰にも影響か
#佐野海舟
都内のホテルで30代の女性に性的暴行したとして、不同意性交容疑で警視庁に逮捕されたサッカー日本代表MFの佐野海舟容疑者(23)。鹿島アントラーズからドイツ・ブンデスリーガのマインツへの移籍が決まった矢先での事件は、多方面に影響を与えることとなりそうだ。
佐野容疑者は7月14日未明、20代の知人男性2人とともに、都内のホテルで30代女性に性的暴行を加えたとして、知人男性2人とともに逮捕された。佐野容疑者は容疑を認めているという。21日からマインツでの練習に合流する予定だったが、その直前の逮捕劇となった。
今回の事件においてもっとも影響が大きいと見られるのが、移籍先であるマインツだ。マインツは佐野と4年契約を交わしており、マインツから鹿島に支払われる移籍金は250万ユーロ(約4億3000万円)と言われている。
「佐野容疑者が容疑を認めているということは、このまま有罪となり、実刑判決となる可能性が高い。サッカー選手としてのキャリアは絶望的であり、佐野はマインツから解雇されるものと思われます。すでに鹿島への移籍金が支払われたとなれば、マインツはその移籍金を無駄にしてしまったということですね。ただ、実質的には移籍が実現していない状況でもあり、契約不履行として鹿島とマインツの間で話し合いが行われるのではないかともささやかれています。いずれにしろ、マインツは戦力を失ったわけで、その損失はかなり大きいでしょう。鹿島については、移籍金がどうなるのかという問題こそありますが、あくまでも“元所属選手の不祥事”ということで、責任問題には発展しておらず、その点についてはある意味難を逃れたとすら思っているのでは」(サッカーライター)
さらに、日本時間の7月24日深夜26時に初戦となるパラグアイ戦を迎える、パリ五輪サッカー男子日本代表にも影響があった。佐野容疑者の実弟である佐野航大(NECナイメヘン)が、日本代表のバックアップメンバーとして選出されていたが、日本サッカー協会(JFA)は18日、佐野航大のパリ五輪不参加を発表したのだ。
パリ五輪のサッカー男子チームは、18人の選手で構成されているが、負傷などがあった際に入れ替えることができるバックアップメンバー4人も登録される。当初は大会前にメンバーの負傷があったときなどを想定した登録であり、バックアップメンバーは大会に帯同しない予定だった。
しかし、16日にFIFAからレギュレーションが発表され、大会中でもバックアップメンバーからの補充が可能となった。また、負傷者が回復した場合、登録メンバーへ復帰することも可能となり、実質的にバックアップメンバー4人を含めた22人から、18人のベンチメンバーを選べる形になった。
「バックアップメンバーと登録メンバーの入れ替えが柔軟にできるようになった状況ですが、このルールを活用するためにはバックアップメンバーを帯同させる必要が出てきた。そんななかで、佐野航大については所属クラブとの協議の結果『帯同しないこととなった』というのがJFAサイドの説明です」(同)
当初発表されていたバックアップメンバーはGK佐々木雅士(柏レイソル)、DF鈴木海音(ジュビロ磐田)、MF山田楓喜(東京ヴェルディ)、そしてオランダのNECナイメヘンに所属するMF佐野航大。パリでの大会への急きょの帯同となると、遠く離れた日本のJリーグで活動している選手を呼び寄せるよりも、オランダでプレーする佐野航大のほうがハードルは低いはずだ。
「佐野航大の代わりにバックアップメンバーになったのは、横浜F・マリノスの植中朝日です。Jリーグのクラブのほうが代表活動に協力的だというのはあるんでしょうが、よりパリに近いところにいる佐野航大だけが外されるというのは少々不可解で、少なからず佐野海舟容疑者の事件が影響していると考えるほうが自然でしょう。少しでも事件の影を代表活動から払拭したいというJFAの思惑が見え隠れするようです」(同)
日本代表選手の騒動といえば、伊東純也の性加害報道が記憶に新しい。準強制性交などの疑いで刑事告訴された伊東は日本代表から外されているが、所属するフランスのスタッド・ランスでは変わらず試合に出場。書類送検されたものの、不起訴になる可能性が高いとも報じられており、日本代表復帰も近いのではないかとささやかれていた。しかし、佐野容疑者の事件が発生したことで、伊東の代表復帰が遠のくかもしれないとの声もあがっている。
「伊東の報道があったのはアジアカップの最中で、最初は推定無罪ということでそのまま代表に残す方向性だった。しかし、スポンサーへの配慮もあり、JFAは総合的な判断として伊東の代表離脱を選択した。JFAとして、性暴力に対して強く反対する立場を見せなければならなかったのはもちろんですが、スポンサーのイメージダウンを避けたいという狙いがあったのも事実でしょう。そして、伊東の不起訴が濃厚となり、代表復帰も近そうだとなってきたところですが、佐野容疑者の事件が起きてしまった。事情がまったく違うとはいえ、伊東の騒動に再びスポットが当たったのも事実であり、JFAの判断はこれまで以上に慎重になっていく可能性が高い。そういった状況の中で、伊東の代表復帰が先延ばしになるのではないかと言われ始めています」(同)
JFAの協賛企業としては、キリンやアディダス、全日空などが名を連ねている。そのなかでもJFAが特に配慮したのが、キリンだという声もある。
「伊東純也の騒動も、佐野容疑者の事件も、いずれもお酒を飲んだ後に起きたことです。ビールメーカーであるキリンにとって、お酒と性犯罪が結びつくようなイメージは絶対にあってはならない。JFAはその点を重視したうえで、より慎重な判断を下している可能性は高いでしょう」(同)
佐野容疑者の事件の余波は、所属チームだけでなく、パリ五輪代表チーム、そして日本サッカー界全体にまで及んでいる。二度とこういった不祥事が起きないよう、サッカー界をあげての再発防止策が必要かもしれない。
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