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アルカラスのウインブルドン連覇で加速「片手バックハンド」が絶滅する日

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アルカラス(写真/Getty Imagesより)

 現地7月14日決勝戦が行われたテニスのグランドスラム・ウィンブルドン男子シングルスで、第3シードのアルカラスが第2シードのジョコビッチをストレートで破り、同大会2連覇を達成した。

「テニス界ではここ20年あまり、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーの「BIG4」が君臨し続けてきました。しかし、2022年にフェデラーが引退し、ナダル、マレーも今季での引退を示唆。ジョコビッチも37歳と晩年を迎えていることで、現在世界ランク1位のシナーとアルカラスの若手2強時代の到来を感じさせます。ナダルもウィンブルドン後に、『彼(アルカラス)は今シナーと並んで他の選手よりも優れていると思う』と言及し、今後はこの2人の“BIG4超え”に注目が集まっていくでしょう」(スポーツライター)

 そんな世代交代の波と共に、テニスの歴史から消滅しようとしているのが、「片手バックハンド」の使い手だ。

「80年代には主流だった片手バックハンドですが、ボルグ、コナーズらレジェンドが片手バックのライバルを粉砕したことで急速に両手バックが普及。90年代にはすでに片手バックのほうが少数派となりました。それでも、フェデラーを筆頭にその見た目の美しいシルエットや、BIG4に続く実力者だったワウリンカの大砲のような威力がファンを魅了し続けてきた。しかし、2024年2月に約5年間トップ10に君臨していたチチパスが11位に転落し、長いツアーの間で初めて片手バック使いがトップ10から姿を消しました。最新の世界ランキングのトップ10の片手バックハンド使いは10位のディミトロフ一人で、このトレンドは覆ることはないでしょう」(前出・スポーツライター)

 では、なぜこの由緒ある美しい技術が衰退してしまったのか。テニス誌ライターが解説する。

「単純に、両手バックに比べて片手バックは技術的に難しいというのが一つ。両手バックは打点への汎用性は高く、ラケットやガットの進化、選手のフィジカルの巨大化によって、そこにパワーも乗せられるようになった。片手バックは高い打点に弱いとされ、フェデラーがナダルにそこを狙われ続けたのは有名です。また、お金がかかるテニスにおいて、将来プロを目指す選手たちを育成する側の指導者からしてみても片手バックを教えて、選手が上達しなかったときの責任を考えると、まずは教えやすく主流の両手バックで教えようとするでしょう」

“絶滅危惧種”となった片手バックハンドは、このままテニスの歴史から消えていくことになるのだろうか。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2024/07/26 09:00
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