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週刊誌スクープ大賞

松本人志「文春」報道問題と女性週刊誌の闇 今すぐ弁護士を変えるべき?

「松本人志 5.5億円裁判 A子さん出廷妨害工作を告発する!」

 今週の第1位は、松本人志の性加害疑惑を報道し、松本側に訴えられている文春だが、松本人志の代理人弁護士の非常識なやり方を告発している特集に捧げる。

 文春と松本人志側は名誉毀損訴訟の最中だから、文春のいうことがすべて正しいとは思わないが、もし幾分かは事実だとすれば、田代政弘弁護士というのは相当えげつない手を使う人間のようだ。

 そのやり方は、裁判なんぞそっちのけで、どんな手を使ってでも裁判を有利に進めたいという一念で凝り固まっている。

 これでは何のために裁判所があるのか、裁判官をバカにしたやり方でもある。

 最初の松本人志の性加害疑惑の記事が出てから半年あまり経った頃、松本から性加害を受けたと告白したA子の身辺には様々な変化があったという。彼女が見ず知らずの男たちに行動を監視されていると気付いたのは2月中旬のことだったそうだ。

「ある日、私は友人と二人で新宿のカラオケボックスに来ていました。夜九時半、L字型のソファで会話していたところ、ドアの左上でコツンという音がしたので目を向けると、一眼レフの黒い影が見えたのです。その後、人影とともにサッと消えていった。レンズと目が合ったことに驚き、私は恐怖で固まってしまった」(A子)

 同じ時期から、自宅前に停車する地方ナンバーの車を見かけるようにもなった。3月以降、A子から相談を受けた文春取材班は、継続的に彼女の自宅周辺を監視していたという。4カ月近くの取材で浮き彫りになったのは、記事掲載後の早い段階でA子の自宅が特定され、その後も探偵業者による尾行が付いていたという事実だったそうである。

 6月5日、ついにA子を取り巻く黒い影の正体をつかんだという。

「この日の夕方、東京都内にある彼女の自宅前には地方ナンバーの小型が停まっていた。(中略)A子さんが自宅を出て歩き始めると、車内から忙しなく一人の男が飛び出し、五メートル後方から彼女をつけていく。帽子にリュックを背負い、全身黒ずくめの男は手に携帯電話を持ち、緊張感を漂わせた表情で二十分以上にわたり尾行を続けた。その間、もう一人の男が運転する小型車は、発進と停止を繰り返しながら彼女を追尾する」(文春)

 全身黒ずくめで5メートル後ろからついて歩けば相当目立つ。この探偵たちは素人同然なのであろう。取材のプロ、尾行のプロの文春取材班から見れば、彼らに気付かれずに尾行するなどたやすいことだっただろう。

「それから約二時間後、A子さんが退店すると、一人の男が再び尾行を開始。自宅近所に先回りし、帰宅するシーンを動画で撮影する。一方、もう一人の男は時間差で退店した男性二人を車内から動画で撮影していた。
その後、取材班は、探偵協会の関係者などへの周辺取材を重ねた。そして約一週間が経つ頃、男二人が関東一円に拠点を構える探偵業者Yに所属していることが判明」(同)
「それから十日ほどが経った六月二十三日。A子さんは休日を一人で満喫するため都内のホテルに向かった。小誌はその道中、彼女の背後に二人の男が張り付く様子を確認した。自宅前には前回と違う地方ナンバーの軽バンが待機し、彼女の移動とともに車を走らせ、やがてホテルの地下駐車場に駐車した」(同)

 この日の3人の男たちはA子がチェックインし、翌日チェックアウトする丸1日以上を執拗に動画で撮影していた。いずれも前回とは違うメンバーだったという。

 チェックアウトを済ませたA子は、男たちに尾行されながら帰路についた。その後の取材で彼らの正体は、神奈川県に拠点を置く探偵業者であることを判明したそうだ。

 文春取材班は、探偵業社Yの担当者を直撃した。

「――松本さん側が探偵に監視させ、彼女の生活を脅かしていたとすれば、問題ではないか。

『今初めて聞いたので、驚いているっていうのが本音です』

そして、担当者は次第に後悔の色を滲ませた。

『そうした事情を知った以上、今後は受けない形にします。僕らもトラブルはご免というか、巻き込まれたくないので。僕らはもちろん“嫌がらせ屋”でも何でもないので。もちろん、社会のルールに則って行動しているので、そういった事情を知った以上はちょっと問題はあるかなと。それを知っていて受けていたら、逆に問題かなとは僕は思うんですけど』」(同)

 文春は別の探偵業者Zの担当者にも話を聞いている。

 約30分にわたる取材で見えてきたのは、松本側がA子の尾行を依頼し、既に調査報告書は送られている事実だったという。

 A子に対する尾行・つきまとい行為について、ジャーナリストの伊藤詩織の性加害問題で代理人を務めた佃克彦弁護士に見解を求めると、こういったそうだ。

「裁判による真実解明を阻害する悪質な行為であり、本当にアンフェアです。松本氏側は自ら裁判を提起しながら、相手方の立証を妨害している。たとえ松本氏側にとって敵性証人でも、松本氏側は反対尋問をすることによって、真実に近づくことができます。
松本氏側の対応は自分たちの反対尋問が成功しないことを自ら認めているようなものであり、自分たちの主張に自信がないということを露呈している。一般的に、裁判の過程で探偵に依頼する場合はその費用は依頼者が負担します。依頼者の承諾もなく、代理人が独断で探偵を雇うことは考えられません」

 吉本興業に取材を申し込むと、「裁判に関することは代理人に一任しております」と答えたが、松本の代理人である八重洲総合法律事務所の田代弁護士は期日までに回答しなかったという。

 田代というのはどんな人間なのか。早稲田大学を卒業後、1998年に東京地検検事に任官。長年、各地検で汚職事件や経済事件などの捜査に従事したそうだ。

「小沢一郎氏の陸山会事件を担当した際、虚偽の捜査報告書作成したとして、二〇十二年に刑事告発された。その後、嫌疑不十分で不起訴になったものの、減給六ヵ月の懲戒処分を受けて辞職。弁護士に転身しました」(司法記者)

 田代弁護士は、A子の相談を受けていたXという人物にも接触、何とかA子を説得して証人に出ないよう説得に来たという。

 Xが拒絶すると、Xにこう迫ったという。

「A子さんと不倫しているでしょう。そのことを雑誌が記事にするらしいですよ。私はその記事を止められますけど、どうしましょうか」

 Xが毅然としてこう答えた。

「彼女と不倫なんかしてないし、記事にするならどうぞ」

 だが、それから2ヶ月半後の5月10日、Xのオフィスに大手出版社に「在籍」する女性週刊誌の元編集長が現れたという。

 彼女は記事のコピーを示し、記事の見出しには不倫の文字が踊り、Xが住む東京都内のマンションのエントランスでA子が佇む写真が付けられていたそうだ。

 Xは、何ら疚しいところはないというと、すかさず元編集長は、「うちの雑誌では掲載を見送ったけど、他社に持ち込めば記事になっちゃいますよ」と返したという。

 後日、その元編集長がXのところへ来て、

「出廷せずに和解すれば、A子さんには、五千万円でも一億でも渡せます」

 もちろんXは拒絶したが、この編集長というのはどうしようもない人間だな。大手出版社に現在在籍しているというのだから、実名で公表してもいいのではないか。

 松本人志側についてA子の批判や、他の女性は性加害なんか受けていない、仲違いしていると報じた女性週刊誌があったが、そこではないのか?

 だが、A子は次のように反論している。

「文春の記事掲載後、私の友人関係の中で“仲違い”した人など一人もいません。内情を知っている友人と毎日連絡を取り合い、裁判を応援してくれています。私は(『週刊女性』から)一切取材を受けていません。彼らは何を根拠に記事を書いたのでしょうか。この記事により、ネット上には『A子は裁判に出廷しない』『性被害はなかった』という書き込みが殺到し、大きな誤解が生まれています。(『週刊女性』は『かねてより取材の過程などに関してはお答えしておりません』と回答)」

 この松本人志側の代理人になって動いた元編集長というのが在籍しているのかどうかだけでも、週刊女性側は答えるべきであろう。

 週刊女性という雑誌にはジャーナリズムがあるのかないのかが問われているのだから。
A子は絞り出すようにこういったという。

「今の日本において、性被害の告発は、相手の存在が大きければ大きいほど困難を伴い、様々な妨害を受ける。ネットやメディアによる誹謗中傷、探偵の尾行、弁護士からの“脅迫”。今後、さらなる妨害工作を受けても、私が彼らに屈することはありません」

 田代弁護士は、こうした文春側の綿密な取材をもとにした反論に対して、「記事にあるような行動をとったことは一切なく、全く事実に反する」と声明を出した(スポニチ7月11日付)。

 だが、翌日のスポニチで、「被害を訴えている女性を特定するため、A子らを調査会社に調べさせたという文春報道は認めた。調査について『(松本は)当事者ですから知っています。了解なくやりません。お願いします、と言われた』と明かした」

 朝令暮改。こんな弁護士が付いていては、どう見ても松本側は勝てっこない。松本よ、悪いことはいわないから、すぐにでも弁護士を取り換えろ!
(文中敬称略)

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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もときまさひこ

最終更新:2024/09/13 21:40
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