『降り積もれ孤独な死よ』第2話 未完の原作コミックを改変して「謎」を主役に据えるド根性
#降り積もれ孤独な死よ
あんまりここのところ、ドラマでも喫煙シーンが描かれることが少なくなっているわけですが、『降り積もれ孤独な死よ』(日本テレビ系)では、まあよく吸いますねタバコ。ぷかぷか吸ってます。
それがぜんぜん気にならないので、このドラマは雰囲気作りに成功しているんだろうなと思うんですよね。画面のテイストとか、成田凌や黒木メイサが演じている刑事たちのキャラクター付けとか芝居とか、ちゃんとドラマの世界に没入できるように作られてる。
というわけで14日に放送された第2話も振り返ってみましょう。
■すんごい急展開
7年前、19人の子どもを誘拐し、山奥の邸宅で一緒に暮らしていた灰川十三(小日向文世)。その地下室から13人の子どもの白骨死体が見つかり、手配がかかるとあっという間に身柄を確保されました。
生き残った6人のうち、捜査にあたっていた警察署の刑事・冴木(成田)の義理の弟を含む5人の身元が判明。5人は灰川を「お父さん」と呼び、事情聴取に対して「お父さんは犯人ではない」と口をそろえます。
しかし灰川自身は取り調べに対して犯行を自白。事件は解決を見たかに思われましたが、生き残りの1人である花音(吉川愛)が何者かによって階段から突き落とされる傷害事件が発生。花音は灰川邸事件の真犯人が自分を突き落としたと刑事・冴木に告げ、灰川の自白に「誰かをかばっていた」という疑念を持っていた冴木も、ふたたび捜査に乗り出すことに。
灰川邸事件の現場に描かれていた六角形の記号は「リッカ」のマークと呼ばれ、生き残りの子どもたちはみなそれを灰川から「家族の証」と説明されていたそうです。花音はリッカのキーホルダー、同じ生き残りで今はタトゥースタジオで彫師をしているマヤ(仲万美)は背中に大きなリッカタトゥー、そのほかの面々もリッカグッズを持ち歩くなど、灰川の家で暮らした者たちは今もリッカでつながっているようです。
事件に関係がありそうな生き残りメンバーのうち冴木の弟である蒼佑(萩原利久)だけ花音が突き落とされた時刻にアリバイがないことが判明。冴木は「うわー」と頭を抱えてしまいました。
一方そのころ、同じ町で同じ時期に発生していた5件の連続傷害事件の被害者男性に、ある共通点が発覚します。被害者たちはみな、自分の子どもに対してなんらかの虐待を与えていたのでした。「子どもを虐待するやつは許さない」という犯人の強い執念が描かれます。
ちなみに灰川邸で殺された13人と生き残りの6人は全員が親による虐待や育児放棄の被害者でした。さらに、刑事・冴木も幼少期に父親に虐待を受けていたことが明かされ、事件は混迷を極めてきたところで、肝心の灰川が留置場で首を吊って自殺。いったいどうなってしまうのか。
今回はそんな感じで急展開の目白押し。謎は深まるばかりです。
■あくまで主役は「謎」
このドラマは「リッカ」の謎を中心に展開していくようです。誰もが謎を抱え、謎に振り回されている。
7年前、「リッカ」を巡る謎にどんな結論が与えられ、なぜ冴木は刑事を辞めたのか。その冴木の前に7年後に再び現れた「リッカ」のタトゥーを手首に入れた少女の正体は。
リッカ、ドラマでは明かされていませんが、原作コミックでは「六花」と表記することがわかっています。
十三という名前の男の家の地下室で13人が殺され、六花のマークを共有する6人が生き残っている。
興味深いのは、現在原作コミックは7巻まで発売されていますが、この謎がまだ解き明かされていないのです。謎の途中でドラマが始まっている。原作には7年後のリッカ少女は登場しませんし、身柄を拘束された灰川の死に方や、生き残りの1人である神代(杢代和人)の設定にも改変が加えられています。
つまりは、原作の配置を元にして、ドラマのためにオリジナルの謎が立ち上げられているということです。
原作では「カルトと血と怨讐のホラーミステリー」といった感じの謎解きが進行中ですが、おそらくドラマ版は「虐待」をキーワードにシンプルでメッセージ性の高い方向で改変されると思われます。謎が主役ということは、主役の顔を見せずにドラマが進んでいくということです。かなりガチでド根性な作劇が行われています。
ここまで、このドラマは独特の緊張感を描き出すことに成功しています。今のところおもしろいけど、おもしろいドラマかどうかは謎が明らかになって見ないとわからないのでレビューに困る作品です。あとはホントに、仕掛けられた謎のクオリティだけの勝負。楽しみです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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