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「金ロー」を独自視点でチェック!【3】

『キングダム 運命の炎』が地上波初放映! 「実写化は山崎賢人ばかり問題」を考える

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山崎賢人(写真/Getty Imagesより)

 全国放送の地上波テレビで唯一残された映画番組、それが「金ロー」こと『金曜ロードショー』(日本テレビ系)です。ここではそんな「金ロー」放映作品を独自の視点で解説したいと思います。

 奴隷出身ながら天下の大将軍を目指す主人公・信が、若き日の始皇帝と出会い、たくましく成長していく姿を描く歴史漫画『キングダム』(集英社)は、累計発行部数1億部突破という大ベストセラーとなっています。作者の原泰久さんがどんな印税生活を送っているのか、下層市民には想像すらできません。

 2024年7月12日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では、実写映画『キングダム 運命の炎』(23年)が夜9時から地上波初&ノーカット放映されます。ちなみにシリーズ第1作『キングダム』(19年)は興収57.3億円、第2作『キングダム2 遙かなる大地へ』(22年)は同51.6億円、そして第3作『キングダム 運命の炎』は同56億円を記録しています。

 シリーズ最新作『キングダム 大将軍の帰還』が7月12日から劇場公開され、実写化4部作で合計200億円突破は間違いないでしょう。200億円という金額、下層市民にはまったく縁のない数字です。

アクション映画に大切なのは「サプライズ感」

 佐藤健主演の時代劇『るろうに剣心』(12年)が興収30.1億円のヒットを記録して以降、日本映画界ではずっとB級扱いされてきたアクション映画がようやく陽の光を浴びるようになりました。実写版『るろ剣』が成功したのは、メインキャストに半年以上しっかり殺陣のトレーニングを積ませ、アクションシーンの撮影にも手間暇を費やしたことが大きな理由のひとつでしょう。「邦画でここまでのアクションを観れるとは!」という新鮮な驚きがありました。

 この「サプライズ感」はとても大切です。『キングダム』では大将軍・王騎役のために20kg増量した大沢たかおの過剰な役づくりに加え、それまでアクション経験のなかった長澤まさみが超絶二刀流を披露し、観客の視線を釘づけにしました。

 信が戦場を初体験する第2作『キングダム2 遙かなる大地へ』では、かねてから身体能力の高さが評判になっていた清野菜名が本気の殺陣を披露し、観客を魅了しました。あの華奢な体で「ここまでやれるのか」という驚きがありました。華のあるアクションシーンは、スクリーン映えします。

 その点、観客の目が慣れてしまった『キングダム 運命の炎』は、サプライズ感には乏しいかもしれません。秦国王となる吉沢亮を助ける闇商人役で杏が出演しますが、実写ドラマ『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)のベラ役でブレイクした杏にしては、ややインパクトに欠ける役どころです。弓矢より鞭のほうが、彼女も使い慣れていたのではないでしょうか。

 オールスターキャストと言っていいほど、日本芸能界の名のあるキャストが大挙出演している実写版『キングダム』シリーズですが、『キングダム 運命の炎』では物語後半に小栗旬が登場します。橋本環奈、吉沢亮に、小栗旬が加わると、コメディ映画『銀魂』(17年)っぽさを感じてしまいます。佐藤二朗まで出てきたら、もう完全にアウトでしょう。

 王騎将軍の去就が描かれる最新作『キングダム 大将軍の帰還』をもって、実写化シリーズはひと区切りするようですが、現時点で72巻もある原作漫画に対し、実写化映画はまだ16巻にしか届いていません。今後も実写化を続けた場合、実写版『銀魂』や『るろ剣』と被ってくるキャストがかなり増えてくることが予想されます。

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