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絆會と池田組の両トップの逮捕の裏に隠された「ある疑惑」

絆會の織田絆誠代表。

 山口組分裂問題から9年を迎えようとしている7月9日、捜査当局が大きな動きを見せた。六代目山口組と対峙する勢力とされる絆會の織田絆誠会長と池田組の池田孝志組長。この2人が共謀し、織田会長が所有する織田ビルなどを担保に、池田組長の親族から約1億円を借りたと偽装して登記した疑いで、両トップが大阪府警に逮捕されたのだ。しかし、本当にそれは虚偽の申告だったのだろうか。

 極秘裏に入手した織田ビルの登記を見れば、池田組の親族と見られる女性の名前が確かに記載されている。そして、その担保は令和5年8月20日に解除されている。この年の4月に何が起きたかといえば、神戸市長田区のラーメン店で発生した三代目弘道会系組長の射殺事件である。そして、先日、この事件の実行犯として起訴されたのが絆會の金澤成樹被告だ。

 「もともと池田組が絆會に資金援助をし、六代目山口組との抗争に動いているのではないかと言われていた。そこから想像できるストーリーは、池田組が親族の名前を使い、織田ビルを担保にして1億円を援助し、弘道会の傘下組織の組長の射殺を後押ししたというもの。事件後、担保が解除されたということは、目的を果たしたことで1億円が報酬になったのではないかということだ。しかし、それだけではない。織田ビルにはもっと根深い闇が潜んでいる」(業界関係者)

 その深い闇とは、同ビルには不動産会社である株式会社鳳が平成16年9月に6000万円の抵当権を設定しており、その後、鳳の社長が行方不明になっていることだ。京都府警は、鳳の社長が長野県で埋められているのではないかという情報をもとに捜査し、実際に山中を掘り起こしたこともあった。その際、事件に関与しているのではないかと浮上したのが、絆會の織田会長や若頭の金澤被告らであった。さらに、この事件には神戸山口組の井上邦雄組長の名も関与しているのではないかとの怪文書までばら撒かれている。

 真相は未だに明らかではない。しかし、織田ビルに関わった不動産会社の社長が何者かに攫われて行方不明になったのは事実だ。

 「鳳事件では京都府警が何度も捜査に乗り出したが、決定的な証拠を掴めず、闇に葬り去られている。関係者が自供でもしない限り、事件の真相を解明するのは困難かもしれない。しかし、当局が諦めているかと言えば、そうではないでしょう」

 あくまで、これらは推測でしかない。しかし、兵庫県警はラーメン店の射殺事件にも織田会長が関与したのではないかとの疑いを捨てきれていない。今回の逮捕劇が意味することとは何なのか。山口組分裂問題の解消に向け、警察当局が終止符を打つために一気に動き出しているのかもしれない。

(文=山口組問題特別取材班)

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

やまぐちぐみもんだいとくべつしゅざいはん

最終更新:2024/07/10 12:36
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