『降り積もれ孤独な死よ』第1話 成田凌と黒木メイサの“枯れ具合”を味わう
#降り積もれ孤独な死よ
2012年に公開された映画で『先生を流産させる会』という、とても恐ろしいタイトルの作品がありまして、それを撮ったのが当時30歳の内藤瑛亮という新人監督だったんですね。実際の事件をモチーフにしたわずか62分の映像は実におぞましいものでした。グロいシーンがあるわけではないですが、いわゆる精神的グロというやつですね。人の悪意のまがまがしさを、これでもかといわんばかりに露悪的に描いた作品は大いに評価されたし、大いに叩かれました。
その内藤監督で『降り積もれ孤独な死よ』というコミックをドラマ化するという。なんだかすごく「混ぜるな危険」の感じがするわけですが、第1話、振り返りましょう。
■本格サスペンスが始まるよ感
山梨県の山奥にある白亜の大豪邸で、13人の子どもの白骨化した遺体が発見される。現場には謎のマークが描かれており、建物の持ち主である灰川十三(小日向文世)の行方は知れない。
事件が大きく報道される中、捜査にあたっていた刑事・冴木(成田凌)のもとを、一人の少女が訪れる。少女・花音(吉川愛)によれば、灰川は邸宅にワケアリの子どもたちを集めて、共同生活を送っていたという。子どもの数は19人。13人が死に、花音は生き残った6人のうちの1人だった。
花音の持参した写真には、冴木の腹違いの弟である瀧本蒼佑(萩原利久)も写っていた。すわ弟も殺されたのかと狼狽する冴木だったが、弟もまた花音と同様に生き残っていた。
6人中5人の生き残りが見つかったが、彼らは口をそろえて重要参考人の灰川を「お父さん」と呼び、「犯人ではない」と断言する。
というのが7年前。
おそらく何かあったのでしょう、刑事を辞めて警備員をしている現在の冴木のもとに、週刊誌記者の森(山下美月)が現れ、マル横(トー横的な場所)から消えた少女の腕に、例の殺害現場にあったものと同じマークのタトゥーが入っていることを告げる。
事件はまだ、終わってないのか──。そんなお話。
お爺さんが子どもを洗脳してネバーランド的な共同生活を送っている。その邸宅にはゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」という、怪物が白い体の子どもを食べている様子を描いた絵画が飾られている。
13人の子どもたちはどうやら、地下室に生きたまま閉じ込められて餓死したようだ。肉を食べる動物を複数、生きたまま閉じ込めてエサを与えなければ共食いを始めるのは人間とて同じこと。ドラマには直接描写はありませんでしたが、原作コミックでは灰原がその様子を録画してDVDで保存しているシーンもありました。
いやぁ、怖い話が始まったよぅ。
■成田凌と黒木メイサの枯れ芝居
設定に特に目新しさを感じるわけではありませんが、ザラついた画質と俯瞰多めの撮影は本格サスペンスの匂いをぷんぷんに感じさせますし、成田凌とその上司の刑事である五味さんを演じる黒木メイサが、いい具合に枯れてて雰囲気出てましたね。
成田凌はでかい妻夫木聡という感じでしたし、キラキラ女子だった黒木メイサが、10年赤西仁と夫婦をやるとこんな感じに仕上がるのかという大人女優になってて眼福でした。
この手のサスペンスは1話だけ見ておもしろいかどうかわかるものでもありませんが、期待を持たせる出来にはなってると思います。
今期はよさげな作品が多くてうれしいです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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