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『笑うマトリョーシカ』笑顔の清家・櫻井翔は“操り人形”か…不審死がからむBG株事件、鈴木の過去

『笑うマトリョーシカ』笑顔の清家・櫻井翔は操り人形か…不審死がからむBG株事件、鈴木の過去の画像1
水川あさみ(写真/Getty Imagesより)

 6月28日、金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の第1話が放送された。若き政治家の躍進の陰で巻き起こる不審死。その真相を追い求める新聞記者ははたして何にたどり着くのか。謎を秘めた登場人物たちがおりなす人間模様に引き込まれる初回放送だった。

 本作品は、『イノセント・デイズ』や『ザ・ロイヤルファミリー』(いずれも新潮文庫)などで、数々の受賞歴を持つ早見和真氏の同名小説(文春文庫)をドラマ化したヒューマン政治サスペンスだ。43歳にして厚生労働大臣として初入閣を果たした清家(櫻井翔)は、笑顔が印象的なさわやかな人柄と凝り固まった政界に新風を吹かせる言動で国民から支持される政治家である。清家の活躍を支えるのが政務秘書官の鈴木(玉山鉄二)。清家と鈴木は高校時代からの仲であり、表舞台に立つ“顔”を清家、“ブレーン”を鈴木が担い政界のピラミッドを駆け上がってきた。

 同作がヒューマン政治“サスペンス”と位置づけられているのにはワケがある。清家が政治家として初当選を果たし、政界で躍進するなかで、清家と鈴木の身のまわりで不審死が起きているからだ。主人公である東都新聞記者・道上(水川あさみ)の父・兼髙(渡辺いっけい)は、記者として“ある疑惑”を調べるなか自動車事故で亡くなってしまう。兼髙が調べていたのは、鈴木の父・宇野が逮捕され後に帰らぬ人になったBG株事件というからきな臭い。兼髙の車内には鈴木、そして鈴木とともに清家が写る写真もあったことから、兼髙が清家と鈴木について調べていたのは間違いないだろう。

 兼髙の事故死を手引きしたのは鈴木だろうか。BG株事件は鈴木にとってそこまでして闇に葬りたい過去なのだろうか。そこには彼らの高校時代が大きく関わってくるようだ。公式サイトの相関図にはご丁寧に高校時代の清家(青木柚)と鈴木(西山潤)、そして鈴木とともに清家を生徒会長に押し上げた同級生・佐々木(濱尾ノリタカ)が紹介されている。清家のリーダーとしての才覚を花開かせた立役者は、鈴木と佐々木だったのだ。にもかかわらず、清家が政治家になるとブレーンは鈴木ただ一人。現在は料理人の佐々木(渡辺大)は、清家が道上を食事に誘った料理店「春吉」を営んでおり、2人が談笑する様子を陰からうかがったのが意味深だった。清家が会食に使うということは同級生3人のつながりは健在のようだが、3人の“現在の関係性”は気になるところだ。

 もうひとつ気になるのは、会食後の清家が道上に言った「これからもぼくを見ていてくださいね」という言葉。いち政治家・清家としての立場であれば「『より良い国にしていくから』ぼくを見ていてほしい」ととらえるのが普通だが、今回は「『本当の自分を知ってほしいから』ぼくを見ていてほしい」の意味を推したい。その根拠は、清家が定例会見で道上が会食で熱弁した親族里親制度の重要性を説いたシーンにある。お酒の席でも一度聞いたことをインプットできる記憶力、受け売りの知識や想いであっても自分の意見のように話せる演技力、これこそが清家の才能なのだろう。多くの人が目にする定例会見で道上の持論を発信したのは、生中継を見ているであろう道上に「ぼく(清家)自身に意思はない=ぼくは操り人形」と伝えたかったのでは。そうした回りくどい方法でないとメッセージを伝えられないほど、鈴木は恐ろしい人間なのだろうか……。

 マトリョーシカのように表情を固めた清家と鈴木が主要人物ということもあり、第1話は謎だらけとなった『笑うマトリョーシカ』。第2話では清家の私設秘書時代のエピソードがひもとかれるようだ。政治家としての下積み時代に一体なにがあったのか。そして鈴木はどう関わるのか。2人の過去と父の不審死の真実を追求する道上の視点で、ストーリー展開を注視したい。

■番組情報
金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系毎週金曜22時~

出演:水川あさみ、玉山鉄二、櫻井翔、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、高岡早紀、ほか

プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行、城宝秀則、小林義則
原作:早見和真「笑うマトリョーシカ」(文春文庫)
脚本:いずみ吉紘、神田優
音楽:大間々昂
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
政治監修:須山義正、武田一顕
法律監修:岡本直也
児童福祉監修:永野咲
警察監修:石坂隆昌
医療監修:中澤暁雄
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/07/05 12:00
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