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「中山秀征再評価」の声“なぜ売れる”と言われて40年、芸能界の荒波を生き抜く秘訣

「中山秀征再評価」の声なぜ売れると言われて40年、芸能界の荒波を生き抜く秘訣の画像1
中山秀征(写真/Getty Imagesより)

 気付けば消えていく芸能人が多い中で、ずっとテレビに出続けているのが真の売れっ子。かつて、「芸が無い」「何で人気があるの?」と酷評された中山秀征が、いま脚光を浴びている。

 直接のきっかけは、今年5月に自らの芸能生活を振り返った書籍『いばらない生き方』(新潮社)が発売され、その内容が話題を集めたことだが、ここに来て「ヒデちゃんはスゴい」と、中山を持ち上げる声は大きくなっている。いったい何が起きたのか。

「中山は1980年代にデビューし、現在に至るまで順調に芸能活動をしてきましたが、何かと目の敵にされる存在でもありました。タモリには番組内で『おまえ、何で売れてんだよ』と言われ、ダウンタウン・松本人志はコラムで『楽なレギュラーの持ち方をしてる』と攻撃。コラムニストの故・ナンシー関さんからは、『私は中山秀征が嫌いである』『生ぬるいバラエティ番組の象徴的存在』と、何度も激しく叩かれました。しかし、彼のキャリアを振り返ると、ABブラザーズ時代の『ライオンのいただきます』『夕やけニャンニャン』に始まり、『クイズ・ドレミファドン!』『クイズ!年の差なんて』『タイムショック』『DAISUKI!』『THE夜もヒッパレ』『ウチくる!?』『新春かくし芸大会』など、出演番組はテレビ史に刻まれるものばかり。今も『シューイチ』ほか複数のレギュラー番組があり、まさにレジェンドです。著書では、都市伝説のようにささやかれてきた『殿様のフェロモン』における今田耕司との確執についても説明。当時、面白いことだけが正義だと信じ、中山を“潰しに来た”今田が、後になって『あの時は迷惑をかけた』『テレビのことをわかっていたのはヒデちゃんだけだった』と詫びたというエピソードが雑誌などでも語られ、和気あいあいとした番組作りを心がける中山の凄みが広く知られることになりました」(テレビ情報誌記者)

 確かに中山の出演番組を見れば、彼が爆笑をさらう場面はなく、松本人志やナンシー関の“楽に仕事をしている”という指摘も、あながち的外れには思われない。しかし、それだけで何十年もテレビに出られるほど芸能界は甘くない。

「MCを務める人の中には、番組の細かいところまで完璧にコントロールしたがる人もいますが、中山はとにかく台本通りに進めてくれるので、収録に余計な緊張感がありません。時間が押せば共演者や裏方から文句が出ますし、こちらの指示通りに動いてくれる人はとても有り難い。ただ、時にそれが行き過ぎて、“指示待ち人間”みたいになる時もありますが(笑)。

 誰もが口を揃えて言うのは、とにかく人を傷つけないということです。誰かを攻撃したり、悪口を言ったりということをまずしない。それどころか、自分の子供ぐらいの年齢のスタッフに“ヒデちゃん”と呼ばれても、まったく怒りませんから。ある芸人さんは収録後、しみじみと『ヒデちゃんと番組で絡むと、すごく良い気分にさせてくれる。売れてる理由が分かった』と話していました」(民放バラエティ番組制作関係者)

 さらに、時代も中山も後押ししている。

「今の時代、芸能人はどんな言動で猛バッシングにさらされるかは分からない。不祥事や炎上のリスクがない中山のようなタイプのタレントは貴重です。現在のコンプラではセクハラやパワハラは完全NGですが、中山の場合、令和流にアップデートしたわけでなく、元からそういった言動と無縁なので安心感がある。スポンサー側も、爆発的な視聴率より、炎上しないことを求める傾向があり、時代にバッチリ合致しています。テレビ視聴者の年齢層がどんどん上がっているのも追い風です。中山は40年以上もテレビに出続けており、中高年の認知度は絶大。シニア層は、けたたましい番組やテンポが速い番組を嫌うので、ソフトな番組進行をする中山は受け入れられやすい。さらにピンポイントなところでは、ここ2~3年、テレビ界では昭和ネタやバブルネタがブームになっており、そちらで呼ばれることも多くなっています」(同上)

 一方では、こんな指摘もある。

「中山は、事務所がナベプロ(=渡辺プロダクション。現・ワタナベエンターテインメント)なのが大きかったのは間違いありません。ナベプロは自社で番組を作り、そこにタレントを送り込むのがお得意のやり方。20年近く続いた『ウチくる!?』がその典型でしたし、特番も含め、ナベプロのエースとして最も多くの恩恵を受けたのは中山でしょう。もっとも、大事務所が押せば売れっ子になれるわけでもない。昨今大ブームの街ブラ番組のフォーマットを作ったのは『DAISUKI!』ですし、芸能人が遊んでいる様子をユルく収録する番組も、先駆者は中山。人気MCが不祥事や人気低下で次々と消えていくなか、しぶとく生き乗った中山は“正解”だったということでしょう」(芸能事務所関係者)

 誰もが認める圧倒的な力がなくても生き延びられるとは……見習うべき点は多そうだ。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2024/06/30 09:00
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