Adoの「箱入り握手会」は35年前に実現していた? アイドル芳賀ゆいの革新性
#Ado #芳賀ゆい
20日、人気女性アーティストのAdoが今年10月に握手会を開催することが発表された。
2020年10月に発表された「うっせぇわ」などで知られるニコニコ動画出身の“歌い手”として知られるAdo。昨年末の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出演、今年4月には2日間にわたって女性ソロアーティストとして初めての国立競技場でのコンサートを成功させている。
Adoといえば、一貫して「顔出し」をせずに活動を続けているが、この握手会でも仕切られた箱の中に立ち、その箱に空いている穴からファンが手を差し入れて握手をするという方法がとられるといい、Ado本人はこれに「ついに私がずっとやりたかったイタリアにある真実の口方式での握手会の実現です!本当に私が箱の中に入ります!信じて貰えるように頑張ります!信じて応募してください!!」とコメント。握手会は東京都内で2日間、計1,000人の動員を見込んているという。
このニュースを受けて、X(旧Twitter)上では「芳賀ゆい」というワードがトレンド入り。中高年を中心に懐かしい話題に花が咲いている。
というのも、さかのぼること35年前、芳賀ゆいという名のアイドルがAdoと同じように実際の顔を見せずに活動し、箱から手だけを出した状態で握手会を開催したことがあるのだ。
芳賀ゆいには、実際の顔がなかったのである。
芳賀ゆいは『伊集院光のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の企画として誕生した、架空のアイドルだった。パーソナリティを務める伊集院の雑談に端を発し、リスナーからハガキで送られてくる悪ノリのアイディアが次々に追加され、徐々にその容姿や設定が定められ、具体化していった。
企画が持ち上がったのが89年11月、翌90年の2月には早くも“手だけ”の握手会が開催され、声優がパーソナリティを務めた『芳賀ゆいのオールナイトニッポン』(同)が放送。同年7月にはメジャーレーベルであるソニーからデビュー曲が発表され、イメージビデオや写真集が制作されるなど、企画はエスカレートしていった。
発案者の伊集院光が、芳賀ゆいについての記憶を『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)20年3月23日放送分で語っている。
「(自分は)知名度がないから、オールナイトニッポン、何か仕掛けなきゃ終わっちゃうんです」
その場のノリだけで始まった芳賀ゆい企画だったが、多くのマスメディアに取り上げられ、ソニーまでもが食いついたことで、伊集院は戸惑いを覚えることになる。
「(報道は)どこでもそうなの。『とある深夜番組のパーソナリティが発案し、今やニッポン放送イチのスーパーアイドル芳賀ゆいちゃんは』ってなってる。え、オレ、いなくない? って。オレの妄想の生み出したほうだけが、どんどん商品価値が上がっていって、オレ追い詰められ始めて」
一時は生放送で「(芳賀ゆいは)死んだ」と言い放つことも考えたという伊集院だったが、最終的には「突然、留学をした」という形でプロジェクトを終えている。
のちに「バーチャルアイドルの先駆け」という評価を得た芳賀ゆいプロジェクト、その企画をスタートさせたとき、伊集院はまだ21歳だった。
(文=新越谷ノリヲ)
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