『Re:リベンジ』第10話 赤楚衛二「悪い役」ならまだしも「ダサい役」に……
#Re:リベンジ
赤楚衛二演じる天堂記念病院のおぼっちゃま理事長・海斗くんが正真正銘、天衣無縫のドクズと化している『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)もラス前の第10話。
前回あたりまでは、卑劣な役柄を体当たりで演じる赤楚くんを新鮮に楽しめる一面もありましたが、そろそろもうファンの皆さんも悲しくなってくるんじゃないですかね。悪い役にもカッコいい悪役とそうでない悪役があると思うんですが、赤楚くん演じる海斗くん、やってることがもう全部クソダサいんです。だから「悪いことすんな」って言ってんじゃないの、「ダサいことすんな」って言ってんの。わかる?(@キングa.k.a.窪塚洋介)
はー、振り返りましょう。
■それならもっと“暴走”が見たいのよ
今回は、医療過誤で妹を亡くした海斗くんの元カノ・陽月さん(芳根京子)が、いよいよ直接その闇を暴くために動き出しました。
すっかり正義の味方となった大友先生(錦戸亮)とともに、理事会に出席して海斗くんの隠蔽工作を表にしようと準備を進めます。
今週の週刊誌に、隠蔽疑惑の記事が出るはず。それを待って、手術に立ち会っていた小児科医・若林先生(橋本淳)にも証言をしてもらおう。それで、すべてが終わる。決着をつけよう。
そう決意した陽月さんでしたが、週刊誌には予定の記事が掲載されません。陽月さんが出版社を訪ねると、正義感と雑に抱かれた私怨に燃えて記事を書いていたはずの木下記者(見上愛)が、1週間前にビルから飛び降りて自殺したという。その場所は、木下記者が証言を得るために若林先生を呼び出していたビルでした。
死の前日に木下記者と顔を合わせていた陽月さん、どうしても自殺とは思えません。夜中に若林先生の自宅を訪ねると、木下記者が亡くなったことを告げ、改めて理事会での証言を求めます。
一度は自責の念に泣き崩れ、証言することを誓った若林先生でしたが、実際に理事会に現れたのは執刀医の女性医師・岡田先生(内田慈)でした。岡田先生と海斗くんは口裏を合わせ、若林先生を理事会に出席させないことを画策し、一度はこのピンチを乗り越えます。
しかし陽月さんの辛抱強い裏工作もあって、次の理事会には若林先生が登場。いよいよ医療過誤の隠蔽が白日の下にさらされることになりそうで、次回は最終回。そんなお話でした。
相変わらずドクズの海斗くんですが、今回画面に映し出されたのは陽月さんに詰められて「うぐぐ」、理事会に若林先生の代わりに岡田先生が現れて「にやり」、そんなのばっかりだったんですね。
ここまで来たら、むしろ見たいのは裏工作を実行しているときの悪い顔なわけです。「うぐぐ」と「にやり」はもう見飽きてるのよ。
物語として、海斗くんはもはや暴走している状態なわけですが、その具体的な暴走シーンが欠落しているんです。木下記者をどうやって自殺に偽装して殺したのか、どんな顔でその算段を立てて実行したのか、どんな顔で、何度も人としての一線を越えてきたのか、その瞬間の顔面を撮ってこそ、「赤楚衛二の新しい一面を引き出すドラマ」として完成を見るのではないかと、そう思うわけです。
最終回にはどうせ何かあって泣くんでしょうから、その前に究極の闇落ち芝居を見たいところです。
■スケールがどんどん小さくなっていく
ボンボンの海斗くんが握っている権力が大きくなるにつれて、物語のスケールはどんどん小さくなっていきます。
もともと前半は、大友先生という謎キャラが何を求められて天堂に呼ばれ、どんなふうに立ち回るのかが物語のメインになっていくと思っていました。
大友先生がヒールで、ベビーフェイスとして海斗くんが立ち向かう形を見ていたんですね。大病院の権力争いの中で、海斗くんの純粋さが医療を正しい道に導いていくような、そんな話だと思っていた。
ところが海斗くんのヒールターンが大胆すぎて、大友先生がたぶん持っていたであろう“本来の目的”に手が回らなくなってきているように感じるんですね。頭の切れまくる謎のヒールから、頼りがいのある正義のパイセンになってしまっている。
医療過誤の隠蔽なんて、病院の大小にかかわらず町のクリニックでも起こりうる話なわけです。「大病院の巨大な権力」というスケールの要素が、展開に全然効いてない。
それと、この段階で海斗くんの手駒になっているのが岡田先生、大友先生のほうは若林先生なわけですが、内田慈と橋本淳なんです。2人ともすんごくいいお芝居をしてるし、俳優の実力として役者不足だなんてことは全然ないんですが、このドラマは物語を盛り上げるために、番手が上の役者さんから次々に退場していってるんです。余貴美子、光石研、梶原善、見上愛もいなくなっちゃったし、海斗くんの行動がエスカレートしていくにしたがって秘書を演じる利重剛や偏屈者の小児科医だった古舘寛治も存在感を失ってしまった。
そういうキャストの配置についても、最終回を迎えるにあたってスケールダウンを感じる一因になっています。
いずれにしろ、赤楚衛二の周囲に芳根京子と見上愛という2人のオトナ女性がいるという状況からは想像できない展開だったことは確かですけども。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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