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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 「バラエティと多様性」濱田祐太郎の訴え

「バラエティと多様性」盲目の漫談家・濱田祐太郎の訴えにM-1王者2人は……

(写真/Getty Imagesより)

 4日深夜放送の『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日系)にピン芸人・濱田祐太郎が出演。自らの立場から、現在のテレビバラエティについて“本音”を明かした。

 全盲の漫談家として知られ、2018年にはピン芸人日本一を決める『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)でも優勝を果たしている濱田。

「テレビではよく多様性とかSDGsとか言ってるけど、ほんまやろうか?」

 と切り出すと、現在のバラエティ番組に障害者はほとんど出演しておらず、障害のある芸人やタレントはほぼ福祉番組に「閉じ込められている気がする」と語る。

 また、その原因についてはテレビ番組側が「受け入れる取り組みをしていないこと」とし、その状況が「多様性」とはかけ離れていると訴えた。

 これを受け、番組MCのとろサーモン・久保田かずのぶは「俺はOK、全然OK。そういうのはもっとした方がいい」と語り、濱田が『R-1』優勝後に付き添いの必要な上京仕事が少なかったことを引き合いに出して、「多少はお金がかかろうと、会社(吉本興業)は押し出してやるべき」と持論を語った。

 また、ウエストランド・井口浩之は「濱田くんはみんなと戦って勝ったわけですから」とその能力を称賛したうえで、「普通にバラエティのひな壇にいていいはず」と評価した。

 毎度のことだが、久保田と井口のこの番組における発言スタンスはとことんフラットかつ真摯だ。それは、彼らの持ち味である毒舌やクズ発言を期待してみると、肩透かしを食らうことになりそうなほどである。

「『僕は、私は、ハンディキャップがあるから出られないんだ』って思ってる人もいるわけじゃないですか。そう思わせてることがよくない。『実力で出られてないんだ』って思える環境になってない」

 井口の言葉だ。この言葉を聞いて、考えたことがある。

 いろいろ事情はあるかもしれないが、濱田祐太郎という芸人がもう一度『R-1』で優勝したとき、何かが変わるかもしれない。

 濱田が『R-1』を獲ったのは18年。今から6年前だ。この6年間で、テレビバラエティの世界にも大きな変化が訪れている。

 例えば、今をときめくAマッソ・加納という女性芸人がいる。押しも押されもせぬ若手女性芸人で、もっとも将来を嘱望され、ラランド・サーヤやヒコロヒーと並んで、もっとも若いスタッフに愛されている女性芸人だろう。

 その加納が、濱田が『R-1』を獲った18年に『ゴッドタン』(テレビ東京系)に出演したことがある。

「腐り芸人セラピー」という企画で、加納は女性芸人の現状を訴えていた。

「アンケートは彼氏がいますか? ばかり」
「スタジオにイケメンがきたときの『キャー』要員でしかない」
「お笑いがやりたいのに、女性としての意見しか求められない」
「(ルックスに)おいしいインパクトがないとテレビに求められない」

 18年は、ガンバレルーヤが大ブレークを果たした年でもある。

 少なくとも女性芸人を取り巻くテレビバラエティの状況は、たった6年の間に目に見えて変化している。

 もし今、濱田祐太郎という盲目の漫談家が世間にインパクトを与えるパンチを放ったなら、それは希望的観測かもしれないが、テレビの世界も6年前よりは少しはマシな姿を見せてくれるのではないか。

 やはり、芸人なのだ。実力を示すことでしか、世界は変わらないだろう。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/06/06 14:27
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