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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『くるり』第9話 瀬戸康史顔ちっさ

『くるり』第9話 王道のラブコメ展開が「特別」に見えてくる あと瀬戸康史顔ちっさ

めるる

 瀬戸康史って、めるるより顔ちっちゃいのかよ……。

 というわけで、生見愛瑠主演の『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)は第9話。めるる演じるまことさんと自称・元カレの公太郎さん(瀬戸)とのキスシーンが訪れたことで、瀬戸康史の顔面の小ささが改めて際立ちました。

 そのほか、いろいろなことが明らかになって、さらに謎が深まっています。

 振り返りましょう。

■今回はキュン多め

 前回、自称・いちばん仲がいい男友達だった朝日(神尾楓珠)とのデートを経て、今の自分の本当の気持ちに気づいたまことさん。その思いに正直に、公太郎さんをデートに誘います。

 というラブコメとしてごく普通の王道展開さえも、『くるり』というドラマではすでに意味を込められてしまっています。「今の」「自分の」「本当の」。「今の」まことさんは記憶を失っていて、過去に誰とどんな関係だったのか知らないし、「自分」がどんなキャラクターで、どんなコミュニケーションをしてきた人間だったかもわからない。「本当」を信じるには、朝日をはじめとして周囲にウソがあふれている。幸いにもここまでまことさんが出会ったウソには悪意がなかったし、どちらかといえばまことさんを幸せにするためのウソでしたが、一方でまことさんにはストーカー被害に遭っていたというおぼろげな記憶もある。

 定番の王道展開なのに、それだけの要素を含んでいる。まるで、記憶を失ったまことさんが人生そのものを塗り替えていくのと連動するように、ドラマもラブコメにおける「王道の展開」というものが塗り替わっている。互いに好きを自覚し始めた同士が、付き合う前にデートして何気ないことで笑い合っているというそんな見慣れた風景が、まるで特別なシーンに見える。

 そういう視聴者側に刷り込んだ意識を逆手に取って、今回は実に定番なラブコメが展開されます。

 公太郎さん、花屋なのに虫嫌いなんだ。公太郎さん、カフェの複雑なメニュー覚えられないんだ。まことさんにとってのそういう小さな発見は、かつての公太郎さんと過ごした新鮮な日々を再体験していくことでもありました。何しろ、公太郎さんは元カレだからね。

 と、たっぷり時間をかけて公太郎さんとの恋愛を盛り上げていく。そして、ド級にキュンなキスシーンが訪れる。

 花を見ても「食べられるか食べられないか」しか興味がなかったまことさんのために、公太郎さんは食べられる花のブーケを仕入れていました。その花のひとひらをまことさんに食べさせ、唇から唇で優しく奪い取るようにキス。もう一度、キス。ああ、なんてロマンチックなんでしょう。

■人生哲学を語りながらキュンを怠らなかったからこそ

『くるり』というドラマは、記憶を失った人が自我を獲得していく過程を丁寧に描くことで、普遍的な悩みや迷いを持つ人に判断の基準を示唆していく人生哲学的な側面を持つドラマでした。

 そういうところで厚みを持たせながら、あくまでラブコメであるという主張も怠らなかった。イケメン3人とヒロインをプールに落としてびしょ濡れにさせたり、学生服やセーラー服を着せたりというシーンはもちろん、ヒロインに気があるイケメンに彼氏のフリをさせて実家に連れ帰ったり、同じ部屋で寝たり、ヒロインの誕生日に東京タワーの前でろうそくを吹き消したり、キュンなシーンもふんだんに散りばめられていた。

 だからこそ、今回のキュン多めの構成も自然に受け入れられるし、むしろ「いろいろ不穏なことがあったけど、収まるべきところに収まったね」という幸せ感まである。

 そうして着地させたように見せて、物語は急展開していきます。

「好きな人とのキス」という特別な瞬間、特別な感情をトリガーにして、まことさんの頭の中には記憶の断片が押し寄せてきます。それは、偶然を装ってまことさんに近づいてきたITイケメン(宮世瑠弥)との蜜月の日々の記憶。そして気づくのです。公太郎さん、元カレって言ってたし安心して好きになったけど、過去の自分のこと、あんまりよく知らないぞ……。やべえぞ……。

 作り手側に、感情をコントロールされているように感じるんです。これまで与えられてきた情報によって、見る側がどれくらいのテンションで画面を追いかけているか、完全に把握されているという感触がある。ドラマを見ていて、それはなかなか得難い快感の一種です。

 残り2話、哲学、ラブコメ、ミステリーという3つの要素それぞれがどう融合し、『くるり』というタイトルにどう帰結するのか。楽しみでなりません。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

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最終更新:2024/06/05 15:00
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