『アンチヒーロー』一家殺人事件の真相究明へ、キーマンは“毒物のプロ”そして検察の寝返り
#アンチヒーロー
5月26日、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)の第7話が放送された。本作品は依頼人を無罪にするためなら手段を選ばない弁護士・明墨(長谷川博己)を主人公とするリーガルドラマ。尾行、盗撮、身分偽装、ゆすりなどを駆使して無罪にしていくやり方で法律業界から忌み嫌われている明墨には、かつて検察官時代に関わった冤罪事件の真実を白日の下にさらすという目的があった。しかし、明墨もろとも目的を打ち砕こうと、冤罪事件に加担した検察、警察、裁判官たちが立ちふさがる。国の中枢機関を相手にして、明墨は死刑執行を待つ志水(緒形直人)の冤罪を晴らすことができるのか。「やるか、やれるか」の戦いがついに激化する。
明墨はこれまでの裁判を通じて検察、警察、政治家の不正や悪事を暴き、世間の不信感をかき立ててきた。明墨が担当する事件は一見するとそれぞれ無関係だったが、それは“ある悪人”を討つための大一番に向けた戦略だった。その悪人とは、最高裁判事の座も視界に入るほどの有力判事・瀬古(神野三鈴)。この人物こそ、志水に死刑を言い渡した人物で、公平な立場で裁定を下すべき立場でありながら、大物政治家や検察と裏でつながる“汚れた判事”であることが第6話で明らかになった。
瀬古を裁判官から引きずり下ろすため弾劾裁判の材料を探る明墨。そこで現法務副大臣・加崎(相島一之)が登壇する経済法務なるパーティーで、加崎と法務大臣を争っていた富田(山崎銀之丞)と瀬古を衝突させる。富田は明墨が関わった息子の一件で、出世コースから外れた人物だ。明墨はおそろしくも、次期法務大臣候補の両名に尻尾を振ってきた瀬古と富田が衝突することを予見していたのだ。すべては明墨が描いたシナリオ通りということか。
富田はかつて瀬古に賄賂を渡していたことを告白。瀬古を最高裁判所の判事に就けるよう支援する約束を取り付けていた。瀬古の汚職によって、沢原(珠城りょう)や松永(細田善彦)の有罪はスムーズに覆った。政治家や検察が関与する冤罪事件において、瀬古がいかに重要だったか。その要を失い、過去裁定の信ぴょう性があやしくなった今こそ、糸井一家殺人事件に巻き込まれた志水の冤罪を晴らす絶好のチャンスというわけだ。
糸井一家殺人事件の詳細は第8話で語られそうだが、フライングで判明した事実もある。明墨が保管するファイルの事件概要には、被害者は「毒物によって殺害され」と記されていた。志水の冤罪を証明するには、単純なアリバイだけでなく科学的観点からの新らたな証拠が必要だろう。そのキーマンは、緋山(岩田剛典)が居場所を見つけ出した謎の人物・江越か、理系色漂う明墨の右腕的存在・青山(林泰文)、もしくはいまだ謎の多いパラリーガル・白木(大島優子)か……。
志水の無実を証明するうえで、検察が不正・隠蔽した証拠も不可欠だろう。この最大の難所は、明墨はもちろん、明墨法律事務所の機動力あるメンバーでも跳ね返されてしまう。期待してしまうのは、検事正・伊達原(野村萬斎)の部下である検察官・緑川(木村佳乃)の“寝返り”だ。明墨とは旧知の仲のようで、明墨が瀬古に最終警告をする場面に居合わせたのも意味があるだろう。本作品のドラマフリーク界隈では、チーム明墨のメンバーの名字には全員“色”が入っており緑川も該当する。金や権力に溺れて正義感ははるか昔に捨てていた伊達原の本性を知れば、真っ当な検察官であれば心変わりするに違いない。
明墨は瀬古との大一番を終え、ダークヒーローの鎧を脱いだような印象を受けた。駆け引き抜きで志水に再審請求を訴えかける姿は、12年前の汚れのない実直な検察官・明墨そのものだろう。第8話は明墨の“真の姿”にも注目して視聴しようと思う。
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日曜劇場『アンチヒーロー』
TBS系毎週日曜21時~
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
法律監修:國松崇
警察監修:大澤良州
製作著作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/
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