『Re:リベンジ』第8話 赤楚衛二の“闇堕ち”を描き切れない作り手側の「覚悟のなさ」
#Re:リベンジ
赤楚衛二が大病院の理事長になっちゃって大変なことになっちゃったドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)も第8話。本当に大変なことになってきちゃいました。
今回、赤楚くんと見上愛とのキスシーンがあったんですが、これがなんとも薄味だったんですよねえ。そこはもっとガッツリいかないと。
振り返りましょう。
■ザ・闇堕ち回
今回の副題は「そして、闇に堕ちていく」。その文言通り、理事長・海斗くん(赤楚)がグングングーンと闇堕ちしていく回となりました。
心臓の手術を受けた後に容体が急変して死んでしまった海斗くんの元カノ(芳根京子)の妹ちゃん。当初は予見できない心不全が死因とされていましたが、どうやら術中のミスが原因で肺に気胸ができていた可能性が出てきました。
葬儀の場で「火葬する前に遺族(元カノ)に病理解剖を提案すべきだ」と進言された海斗くんですが、元カノの気持ちを思うとどうしてもそんなことを言い出せません。何しろ週刊誌記者をやってただけの人が血縁だけで理事長になったわけですから、医療人としての哲学も使命感も持ち合わせていませんからね。気分で動くしかないのです。
結果、妹ちゃんはそのまま荼毘に付され、医療過誤の証拠を隠蔽することになってしまいました。
天堂記念病院の帝王である会長・皇一郎(笹野高史)は、この海斗くんの判断に「よくやった」とご満悦。今回の手術には病院の未来と威信がかかっていましたので、医療過誤で患者を死なせたとなれば一大事ですから、病理解剖なんてとんでもない話です。病院の未来のため、為政者、権力者たるもの自らの手を汚さなければならない。そう皇一郎会長に言われた海斗くん、いよいよ吹っ切れることになります。
会長に言われるままに、気胸の疑いを示すレントゲン写真を病院のデータベースから削除。医療過誤の疑いを進言してきた医師に対しては「身重の奥さんがいるんでしょう」と脅しをかけて口止め。
さらに、大友先生(錦戸亮)からのタレコミメールを受け取った週刊誌時代の部下の女性・木下(見上愛)に詰められると「信じろ」とか言いながらキッス。そのまま押し倒して事なきを得るというクズっぷりを見せつけました。
■本当に最低なことは最低に描こう
ここの、木下の海斗くんへの好意を利用して手籠めにし、口を封じるというシーン。このドラマの中でも屈指の“海斗クズエピソード”なんですよね。人として踏み越えてはいけない一線を越えました、というシーンなわけです。
だから、あんなライトでスマートなバードキスでは、その葛藤が伝わってこないわけですよ。「これをやったら最低だ」「でも、立場上やるべきだ」という引き裂かれる思いがあって、それを振り切った末のキスなわけだから、ロマンチックなわけないんだから、もっとむちゃくちゃにいかなきゃいけない。
ここで求められるのはラブシーンではなく、アクションシーンなわけです。人物の所作で感情を表現するべき場面。例えば積年の恨みを持った相手をいよいよ殴ろうというシーンで、人物がふにゃふにゃの猫パンチを放ったら「恨み」を表現できない。それと同じように、ここでは振り切ったキスを見せなければ「葛藤の末」という感情を表現できないわけです。
まあ、赤楚くんと見上愛という組み合わせで、それはできないという何かの都合なのでしょう。ドラマ前半で笹野高史が余貴美子の口にグリグリと春巻きを押し付けたシーンのような、そういうグロいキス、グロい感情を見せるべき場面だったわけです。
このドラマは、赤楚衛二というポップでキュートな俳優さんをとことん闇堕ちさせるというところに楽しさを求めていると思うんです。海斗くんという人物の設定がバカすぎて、そういう「あのキュンな赤楚きゅんがこんな……! く、苦悶……!」というメタな視点でしか楽しめない作品になっている。
いわば赤楚くんに課せられる芝居の濃度こそが唯一の持ち味になってしまっている状況で、あんなヌルいキスを見せられてもねえ。やるなら覚悟をもってやりましょうよ。
今回はそんな感じです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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