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日刊サイゾー トップ > 社会 > 事件  > 道仁会の代替わりと大物ヤクザの引退

九州の武闘派・道仁会の代替わりと大物ヤクザの引退は「山口組分裂問題」へ影響必至か

福岡県
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 福岡県久留米市を本拠地に、武闘派組織として全国に名を轟かせる道仁会。四代目会長を務める小林哲治会長は、業界内では、ヤクザ社会の和平のために尽力を尽くしてきたことでも知られる親分であるが、このたび四代目体制では理事長を務めていた福田組・福田憲一組長に代を継承し、道仁会は五代目体制に代替わりするという。

 それに伴って、ある情報が駆け巡った。道仁会から離脱して発足された組織である浪川会・浪川政浩総裁が渡世からの引退を表明するというのだ。

 九州最大組織の代替わりに、離脱組織のトップの引退。今、九州でいったい何が起きているのか。九州のヤクザ事情に精通するジャーナリストは独自の見解を交えながら、このように述べる。

「道仁会の代替わりと浪川総裁の引退は、先日『現代ビジネス』でも記事になり波紋を呼んでいましたが、それより以前から道仁会の話は出ていました。今回はそれに加えて、浪川総裁の引退話まで出てきた。小林会長は筋を重んじることで知られる人物です。小林会長が代を譲り、浪川総裁が引退することで、渡世の秩序を元に戻そうと考えられたのではないでしょうか」

 この言葉を理解するのは、ある歴史を知る必要があるだろう。

 浪川会の前身組織は九州誠道会。2006年、会長の後任人事に反発し、道仁会から離脱した村上一家を中心とした勢力により結成された組織である。その際、道仁会サイドは、村上一家の村神長二郎総長(九州誠道会会長)ら、離脱派に絶縁処分を下している。この構図と経緯は、六代目山口組と、そこから離脱して結成された神戸山口組と酷似しているといえるだろう。

 その後、道仁会と九州誠道会との抗争は激化。多数の死者を出し、2012年には両組織が全国で初となる特定抗争指定暴力団に指定されるなど、長きにわたり熾烈を極めた。2013年、道仁会サイドが抗争終結を意味する宣誓書を警察に提出し、同時に九州誠道会は解散。これにより両組織は特定抗争指定暴力団の指定から外れることになり、抗争の幕が下ろされることになった。

 だが、すべてがそれで解消されたというと、そうではなかった。前述の通り、九州誠道会解散後、その後身として、浪川総裁が率いる浪川会(発足当初は浪川睦会)が誕生したのだ。前出のジャーナリストはこのように述べる。

「道仁会サイドは、村上一家が離反した当時、同組織内で絶大な力を持っていた浪川総裁にも処分状を出しています。それだけ、浪川総裁も業界内では知られる人物でした。加えて浪川総裁は山口組に近い関係性がありました。ただ、道仁会としては一度処分していることから、抗争は終結したものの、浪川会の存続を肯定することはできない。そんな歪んだ状態が続いていたことになりますが、そこを糺(ただ)すために、代替わりと浪川総裁の引退を同時に行い、過去を清算するという形に繋がったのではないでしょうか。現在、浪川会の二代目を務める梅木一馬会長は道仁会からの処分も出されていないので、今後、新たな体制下で、道仁会サイドともさまざまな調整がはかられていくと考えられます」

 さらにこれらの流れを受け、山口組分裂問題の解消の機運が高まるのではないかという見方も出ている。

「もともといた組織から処分された組長らによって作られた組織が、その後も存続し続けるというのは、渡世の秩序を乱すことになる。道仁会と浪川会の問題がこうして解消されれば、必然的に、浪川会と似たような立場だった神戸山口組の立場が、業界的にもクローズアップされてくるのではないか」(同)

 神戸山口組を率いる井上邦雄組長は、六代目山口組を離脱した際に六代目山口組から絶縁処分を受けている。渡世の秩序を是正するために、六代目山口組以外の他組織も、神戸山口組の存続に対して、これまで以上に異議を唱えるのではないかというのだ。

「神戸山口組が解散することが、現在のヤクザに対する厳罰化の緩和にも繋がるのではないでしょうか。抗争がなくなれば、それにかかわる組織に対する特定抗争の指定も外れるでしょうし、基本的人権を脅かすような組員たちに対する必要以上の縛りもなくなっていくと考えられます。それゆえに、神戸山口組に対する厳しい見方が、業界内で強まってきているのです」(法律に詳しい専門家)

 道仁会の代替わりと浪川総裁の引退は、山口組の分裂問題にも影響をもたらすことになるのだろうか。現在、さまざまな情報が業界内で錯綜している。

(文=山口組問題特別取材班)

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

やまぐちぐみもんだいとくべつしゅざいはん

最終更新:2024/05/24 18:42
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