『アンチヒーロー』明墨vs.極悪判事の結末と最後の重要人物“江越”の存在
#アンチヒーロー
日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)の第6話が5月19日に放送された。検察・警察がつくり上げた冤罪を暴こうとする明墨(長谷川博己)と、東京地方検察庁の検事正・伊達原(野村萬斎)を筆頭とする検察・警察の戦いが描かれる本ドラマに思わぬ“敵キャラ”が登場。過去の冤罪事件、新たな事件の行く末を左右する情報戦が繰り広げられるなか、謎の多い“ダークヒーロー”明墨の真の目的に震える衝撃回になった。
明墨法律事務所の弁護士・明墨は、とある事件の冤罪をきっかけに検事の職を辞して弁護士になった経歴の持ち主。糸井一家殺人事件に関わる検事だった明墨は、検察と警察が共謀したことで志水(緒形直人)に死刑判決が下った自責の念と、潔白である志水の判決を覆すために弁護士になった。「依頼人を無罪にする」という理念のもと、法律すれすれの方法で依頼人に有利になるよう裁判を支配する明墨。法律事務所のメンバーも不信感を抱くほどのアナーキーなやり口の背景には、糸井一家殺人事件につながる検察や警察、政治家の暗部を明らかにする狙いがあったのだ。明墨は過去を共有した事務所メンバーとともに志水の冤罪証明に動き出し、今回新たな仲間が加わろうとしていた。その人物とは、第2話で明墨の手腕により無罪となった殺人容疑者・緋山(岩田剛典)だった。
緋山は明墨の依頼で“江越”という人物を探していた。糸井一家殺人事件の真相解明に欠かせない人物のようだ。公式サイトの登場人物一覧で唯一役名が判明していない俳優・迫田孝也が江越の可能性は高い。冤罪の死刑囚である志水、志水を犯人に陥れた警察・検察のキーマンは明らかになっているが、いまだ真犯人候補は出ていない。ということは“江越”こそ殺人に手を染めた真犯人か。志水を犯人に仕立て上げてまで真犯人を逃がしたいということは、相当な権力者または権力者の関係者であると想像できる。第6話では正体が明らかにならなかっただけに、次回での登場を期待したい。
第6話のメインは大洋出版の元副編集長・沢原(珠城りょう)が有罪となった個人情報流出事件。明墨らは沢原のIDを使用した真犯人を追うなかで、副編集長に就いた上田(河内大和)と法務副大臣・加崎(相島一之)とのあやしい関係に目をつける。ただ、控訴審で沢原の無実を証明する新証拠は並大抵のものでは採用されない。紫ノ宮(堀田真由)と赤峰(北村匠海)は大洋出版内で沢原の評判、事件当時の入館者の記録などをリサーチしていく。身分を隠した聞き込み、脅しなど明墨チルドレンらしく手慣れたものだ。
最後のどんでん返しには驚いた。これまでの事件の弁護を通じて明墨が明らかにしたかった、司法をむしばむ“闇の権化”。それは判事の瀬古(神野三鈴)だった。登場機会は少ないものの、判事としての凛々しさと女性特有の柔和な雰囲気を持ち合わせた正義の番人として、最終話で明墨が真実を明らかにしたラスボスに対して判決を下す、と勝手に想像していた。しかし、本性は男性社会で成り上がろうと古くから野心をたぎらせ、現在は最高裁判事に就くべく政治家である加崎とつながっていた。そして、瀬古は糸井一家殺人事件、松永(細田喜彦)が濡れ衣を着せられた傷害事件の判決を言い渡した人物であり、明墨だけでなく松永の事件を担当した赤峰にとっても因縁があったのだ。第6話にして明墨のターゲットが判明したかたちだが、相手は検察・政界をはじめ様々な権力者とのパイプをもつ有力判事。いくら有能な弁護士でもまともに立ち向かえる相手とは思えない。
ただ、それだけの巨悪だからこそ堕ちる様は爽快に違いない。第7話の予告動画では、加崎の講演会の場で瀬古に制裁を加えようと企む明墨の姿が。明墨の「瀬古にはそれ相応の報いを受けさせる」「やられる前にやる、たとえ刺し違えても」といったセリフからは、今まで以上の覚悟が伝わってきた。日曜劇場『半沢直樹』では「やられたらやり返す、倍返しだ」が流行語となった。明墨の復讐劇のインパクト次第では、「やられる前にやる、たとえ刺し違えても」も話題になるかもしれない。ストーリーを通して弱者が虐げられ泣き寝入りするしかなかっただけに、その諸悪の根源の一人である瀬古を討つシーンを楽しみに第7話の放送を待ちたい。
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日曜劇場『アンチヒーロー』
TBS系毎週日曜21時~
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
法律監修:國松崇
警察監修:大澤良州
制作著作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/
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