『くるり』第6話 人の多面性と、めるるの精緻な顔面コントロール
#くるり
めるること生見愛瑠主演のドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)。ポップなラブコメを装いながらミステリー要素を散りばめつつ、記憶を失った緒方まことという女性を通して人が人になっていく過程をたどっていく人生リプレイスな物語も第6話となりました。
今回は、めるるのびしょ濡れ姿にセーラー服姿と眼福なサービスシーン多めでしたが、語るべきところはやっぱりちゃんと語っています。ほんと、『くる恋』はちゃんとしてる。
振り返りましょう。
■「友だちは鏡」
冒頭、友だちの誕生日にプレゼントするためにお花を買いに来た小学生の女の子が、こんなことを言います。
「友だちは鏡なんだって。優しい子には、優しい友だちができるんだって」
小学生にとってはお友だちだけですが、大人になるとお友だち以外の人間関係もたくさん発生します。職場、飲み屋、趣味の集まり、居心地のいいものもあれば、わずらわしいものもある。いい人ばかりじゃないし、むき出しの悪意を向けられることもある。いずれにしろ、それは自分が選んだ環境です。
今回は、まことさん(めるる)が高校時代の同級生から、けっこうひどい嫌がらせを受ける話でした。
記憶を失う前の自分に友だちがいたのかどうか不安だったまことさんは、「YUKA」を名乗る女性から「高校時代の親友だよ」と告げられて、たいへん喜びます。過去の自分に対して疑心暗鬼になっていたところ、少なくとも「親友」と呼べる友だちがいたことが、何よりうれしかった。
そのYUKAによれば、まことさんには「隼人」という知り合いがいるらしい。最近まで会っていたといい、今度開かれる同窓会にも来るのだそうです。
指輪の相手が「隼人」かもしれない。まことさんの周囲は記憶のないまことさんが同窓会に出席することについて心配が尽きませんが、まことさんは「今の自分を信じてみる」と言い、会に出席することにします。
しかしこの同窓会は、まことさんを貶めるためにYUKAが仕組んだものでした。前回、イケメン1号とともに地元に帰っていたまことさん。その様子が田舎特有のローカル情報ネットワークによって仲間内に拡散され、YUKAの嫉妬を買ったのでした。
YUKAの悪意に触れ、まことさんは戸惑ってしまいます。
久しぶりの再会(まことさんにとっては初対面)の際、コーヒーをこぼしてしまったまことさんの服を真っ先に拭いてくれたのも、またYUKAでした。YUKAは自分のカバンがコーヒーまみれになっていることも気にせず、まことの服のシミを心配してくれた人でした。
「もういいや、自分のこと探さない」
「大事な友だちが言う私が、私だって信じてみる」
本当の自分を探す旅を続けてきたまことさんは、ここで「自分のこと探さない」という思いに至ります。
自分が誰であるかを、他人への「見え方」に委ねるのは、とても勇気のいることです。それが怖いから、みんな「本当の自分探し」をしたがるのです。
■「全部本当」ということ
まことさんがそういった考えに至ったのは、YUKAという人物を通して人間の多面性について考えたからでした。
めちゃくちゃ計画性の高い嫌がらせを実行したのもYUKAだし、コーヒーを拭いてくれたのもYUKA。その両方が「本当のYUKA」です。
イケメン3人はそれぞれ、まことさんのことを「クレバーな大人」「優しい」「正直だ、良くも悪くも」と評します。
「バラバラだけど、全部私なのかなって」
本当の自分を探すとき、人は唯一無二の自分を求めてしまう。
YUKAがそうであるように、自分にも多面性があると認めることで、まことさんはこれまでにない、すがすがしい表情を獲得していました。
というお話なんですが、すがすがしい表情がホントにすごくすがすがしいんですよねえ。第1話で、めるるが見せる顔の表情の演技に注目したいと書きましたが、これだわー、と思いました。こういうふうに精緻な顔面のコントロールができるんだ、この人は。たいした俳優さんだと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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