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Aマッソ・加納が開眼中? 「トガリ」→「愛され」に転じた芸人たち

(写真/Getty Imagesより)

 かつては東京随一の「トガリ芸人」として知られていたAマッソ・加納が、いよいよテレビでイジられ始めている。

 9日放送の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、粗品や狩野英孝の新たな一面を引き出した「ビビリ-1グランプリ」の女性芸人版「女子ビビリ-1グランプリ」企画を放送。加納のほか、ぼる塾のあんり、田辺智加、紅しょうが・稲田美紀、オダウエダ・小田結希、ぱーてぃーちゃん・信子、あぁ~しらきが参加したが、この企画自体が「加納が異常なビビリだ」というタレコミを受けて放送が決まったものだったという。

 加納のビビリについては、YouTube「Aマッソ公式チャンネル」でニシキヘビを首に巻かれた際などにたびたび披露されてきたが、テレビの世界ではほとんどイジられたことがないジャンル。その期待に違わず、『アメトーーク!』での加納はほかのメンバーとは比較にならないほどのビビリを見せ、その新鮮な姿がお茶の間に届けられた。

 また11日深夜の『ゴッドタン』(テレビ東京系)では、恒例の「コンビ愛確かめ選手権」企画。こちらはAマッソのほかに阿佐ヶ谷姉妹とオズワルドが参加したが、この『ゴッドタン』でも加納イジリが発動。2021年に決勝で敗退した『THE W』(日本テレビ系)の舞台裏での相方との熱いやり取りを再現させられ、赤面する姿があった。

 6年前の2018年には同じ『ゴッドタン』の「腐り芸人」企画に出演し、普通の見た目であることのコンプレックスを明かし、「イジられにくい」現状を吐露していた加納。当時は女芸人としての立ち位置に悩み「普通に売れたい」と嘆いていたが、普通に売れた今、ようやくイジられるフェーズに入ってきたように見える。

 芸人はテレビで売れるとイジられ、剥がされる。その人間としての“ウラ”を見せることの功罪は方々で語られているが、「トガリ」から「イジられ」に転じて愛されキャラとなり、大ブレークを果たした芸人は少なくない。

 最近では、その筆頭と言えるのがかまいたちの濱家隆一だろう。

 大阪の劇場時代はライブでMCを張り、厳しいツッコミで場を制圧する立場だった濱家。それだけに後輩からは恐れられ、からみづらいとされていた一面もあったが、上京後の19年に呼ばれた『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)でロンドンブーツ1号2号・田村淳やFUJIWARA・藤本敏史、おぎやはぎ・矢作兼らに総力を挙げた“イジリ”を受け、イジられキャラとして覚醒。ブレークに至っている。

 濱家自身も22年4月の『かまいたちの知らんけど』(MBS)で「あれがなかったら、ホンマ終わってた」「僕はあの1日なんです。そこでマジで変わった」と語るほどの転機となった。

 また、マヂカルラブリーの野田クリスタルもかつては「トガリ」で知られる芸人だった。コンビ結成前のピン芸人時代には「ウケないことこそ正義」というモットーを掲げて地下ライブでスベり続け、初のファイナル進出となった17年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)ではネタ終わりに審査員の上沼恵美子を激怒させて上裸になるという奇行を披露。20年の『M-1』優勝後もバラエティ界に「警戒され」て、過去の『M-1』王者ほどの露出がなかった時期があると自ら明かしていた。

 だが、21年の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で飲めない酒を飲んで号泣する姿を放送されたあたりから「イジっていい」キャラとして認識され、元来の知的で上品な姿が見られるようになった。地下時代を知っているファンからすれば、野田が数多くのCMに出演している姿など想像もできなかっただろう。

 お笑いだけでなく、ドラマの脚本やエッセイ、小説などの執筆業でも高い評価を受け始めているAマッソ・加納。「愛され」の要素が加われば、さらなる飛躍は約束されたようなものだ。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/05/13 14:00
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