
“二刀流”監督の仲間入り 中村優一初監督作品『YOKOHAMA』舞台挨拶レポート
#ホラーサスペンス #エクストリーム
中村優一 初監督作品
映画『YOKOHAMA』絶賛公開中!
2024年4月19日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、
シネマート新宿、アップリンク吉祥寺 他 全国ロードショー!
公式サイト:https://yokohama-movie.terraceside.com/
「ポスト斎藤工」級の逸材・中村優一に注目!
初監督&プロデュース『YOKOHAMA』が公開
近年、イケメン俳優たちの監督作が話題を呼んでいる。オダギリジョーが脚本・監督を手掛けたミステリードラマ『オリバーな犬』(NHK総合)は第2シーズンもつくられるほどの人気だった。斎藤工は「齊藤 工」名義で『blank13』(18年)や『スイート・マイホーム』(23年)などを撮っている。山田孝之も、竹中直人と斎藤工との共同監督作『ゾッキ』(21年)で監督デビューを果たしている。
そんな“二刀流”監督たちの系統に、注目の逸材が加わった。2024年4月19日より全国公開が始まった、エクストリーム配給のオムニバス映画『YOKOHAMA』で初監督&総合プロデューサーを務めた中村優一だ。『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダー電王』(ともにテレビ朝日系)で若手イケメン俳優として脚光を浴びた中村だが、一時的に芸能界を引退。復帰後は佐々部清監督の遺作『大綱引の恋』(20年)や海外からの技能実習生問題を扱った社会派コメディ『縁の下のイミグレ』(23年)など、多彩な作品に出演するようになってきた。
2023年はエクストリーム配給の『妖獣奇譚ニンジャvsシャーク』、犯罪サスペンス『ランサム』で印象的な悪役を演じ、ますます演技の幅を広げつつある。
中村は初監督作となる中編映画『死仮面』を撮り、さらに仕事仲間たちに声を掛け、3話構成のオムニバス映画『YOKOHAMA』として劇場公開されることになった。中村の出身地・横浜にちなみ、金子智明監督が撮った第1話『贋作』、ヨリコ ジュン監督が撮った第2話『横濱の仮族』、そして中村監督作となる第3話『死仮面』は、どれも横浜を舞台にした奇妙な味わいのドラマとなっている。
2024年4月20日、インディペンデント映画の聖地となっている池袋シネマ・ロサにて、メインキャストが集結した『YOKOHAMA』の舞台あいさつが行なわれたので、その様子を伝えよう。

平成&令和ライダーによる恋愛ミステリー『贋作』
第1話『贋作』は、『仮面ライダーアギト』(テレビ朝日系)に主演した賀集利樹と『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)で女優デビューした鶴嶋乃愛との共演作。妻に家を出られてしまった中年男と、恋人とケンカ別れした若い女性との出会いと別れをミステリータッチに描いている。
賀集「鶴嶋さんとは“初めまして”だったので、初日のドライブシーンは僕から積極的に話し掛けるようにしました。おかげで、鶴嶋さんは宝塚が好きだと分かりました(笑)」
鶴嶋「初日がドライブシーンでありがたかったです。あのシーンのおかげで、翌日からの自宅シーンもうまくできたと思います」
中村「初日のドライブシーンは、平成ライダーの賀集さんと令和ライダーに出演した鶴嶋さんを並べたら、面白いだろうなと思ったんです。オープンカーより、バイクの方がよかったかな(笑)。僕が撮った『死仮面』は横浜らしくないシーンばかりだったので、『贋作』では金子監督になるべく横浜らしい美しい景色を撮ってもらうようにしたんです」
賀集、鶴嶋、中村は共に「仮面ライダー」シリーズ出身。特撮ドラマ出身者ならではの同窓生的な仲のよさを感じさせた。
ワンシーンワンカットで撮影された第2話『横濱の仮族』
第2話『横濱の仮族』は、ワンシーンワンカットで撮影された独特なスタイルの異色作。主人公である大富豪の横濱権蔵を演じた高山孟久と仮族の一員を演じた中村が、ヨリコ ジュン監督のこだわりの演出について語った。
高山「普通なら1シーンを10カットくらいに割るものですが、この作品はワンカットでの撮影だったので、台詞は間違えられないし、しかもヨリコ ジュン監督が全部カメラを回していたんです。緊張で胃が痛くなりました(笑)」
中村「屋内で撮影しているので、全然横浜らしいシーンがない作品ですよね。でも、横濱という一家の名前が何度も連呼される。途中から、これは聴覚として『YOKOHAMA』を感じる映画なんだなと理解しました(笑)」
映画への情熱が狂気に変貌するホラー、第3話『死仮面』
そして第3話『死仮面』が、中村優一の監督デビュー作となる。狂気に陥った特殊造形アーティスト・米村を熱演した秋沢健太朗が、中村との思い出を語った。
秋沢「優一くんが映画を撮るとか言い出す前に、2人で喫茶店に行き、僕が『悪役をやりたい』みたいな話をさんざんしたんです。僕がやりたかった役で、本当にうれしかった」
中村「健太朗と吉祥寺の喫茶店で話したのが、すべての始まり。健太朗が『悪役とかクセのある役をやりたい』としゃべり続けているのを聞いているうちに、それなら自分が健太朗と一緒にやってやろうと。彼と心中する覚悟で、初めて撮った映画なんです」
3作品は横浜が舞台ということに加え、「フェイク」がモチーフとなっている点も注目したい。『贋作』は偽りの愛、『横濱の仮族』は血のつながらない代理家族を描いた作品だ。『死仮面』は特殊メイクという仮面を被ったことで、逆に露わになる人間のダークサイドをカメラが映し出している。それぞれ「フェイク」によって、「真実」が浮き彫りにされるというユニークなオムニバス構成だ。
とりわけ、中村が監督した『死仮面』は、年々予算が削られていく映画界のシビアさや、作品づくりにこだわるあまりに居場所を失いつつある特殊造形アーティストの恐怖心が非常に生々しく伝わり、ラストシーンまで目が離せない。一流のサイコホラーだと言っていいだろう。中村監督の長編映画も観てみたいと思わせるものがあった。
俳優・中村優一はファンへの対応が丁寧なだけでなく、共演者やスタッフからの評判もいい。約束されたスター街道を外れ、役の大小に関係なく、自分自身で作品選びするようになった経緯は安藤政信に似たものを思わせるし、ホラーやサスペンスなどのジャンル映画への傾倒ぶりは斎藤工に近いものがありそうだ。
舞台あいさつの終わりに、中村はこう語っている。
中村「17歳から俳優の仕事を始めて、今年で20年。自分が企画した映画を大切な仲間たちと作ることができて幸せでした。ひとつ撮ったら満足するかなと思ったんですけど、ここからまたスタートしたいと思っています。もちろん俳優は続けますが、これからも僕の大好きな仲間たちと一緒に映画を作っていきたいです」
俳優兼映画監督・中村優一に今後も注目したい。
(取材・文=長野辰次)
『YOKOHAMA』
秋沢健太朗/渋江譲二/西尾聖玄
高山孟久/Raychell/末野卓磨/水原ゆき
波多野比奈/新田ミオ/白又敦/西洋亮
賀集利樹/鶴嶋乃愛/小野まりえ/飛葉大樹/中村優一
監督: 中村優一/ヨリコ ジュン/金子智明
主題歌:Haru.Robinson「Sacrament」
エグゼクティブプロデューサー:玉井雄大 企画・プロデューサー:中村優一
制作プロダクション:クリエイティブスタジオゲツクロ ParadigmShift yucca/
製作・宣伝協力:テラスサイド
2024年/日本/カラー/DCP/110分/G/配給:エクストリーム
©2024 TerraceSIDE
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