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日刊サイゾー トップ > 社会  > 横浜流星主演『べらぼう』に「遊郭の美化」と批判相次ぐ

横浜流星『べらぼう』に「遊郭の美化」と批判…「放送前に叩くべきでない」との指摘も

※イメージ画像:GettyImagesより

 16日、横浜流星が主演する2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の新たな追加キャストが発表された。主人公・蔦屋重三郎の故郷でもある吉原に生きる遊女らを中心にしたキャスト発表だったが、これに対して「女性の人権を蹂躙した遊郭を美化するのか」といった批判が相次ぐ事態が起きている。

 同ドラマは、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、東洲斎写楽らを世に送り出した「江戸時代のメディア王」こと蔦屋重三郎(横浜)の生涯を描く。蔦屋重三郎は吉原の生まれで、初めて作った本が人気の遊女たちを花に見立てて紹介した限定本「一目千本」(吉原の一流店でなじみの客だけに配られ、この本を持っていることが客のステータスにもなった)であるなど、彼の人生を描くにおいて吉原遊郭は外せない要素となっている。

 16日に追加キャストとして発表されたのは、元花魁で老舗妓楼の女将・いね役を務める水野美紀、当時「呼出」と呼ばれた最高級の遊女・松の井を演じる久保田紗友、呼出の下のランクで客を接待するための座敷を持っている「座敷持ち」の中堅遊女・うつせみ役を担当する小野花梨、先述の「一目千本」で葛の花に見立てられた志津山役を務める東野絢香、常に貧しさと病が蔓延する吉原最下層の遊女屋「河岸見世」に転落した女郎・ちどりを演じる中島瑠菜ら。往年の名作映画『吉原炎上』で伝説的な熱演を見せた、かたせ梨乃は河岸見世の女郎たちを抱える「二文字屋」の女将・きくを演じる。

 また、この前日には福原遥が蔦屋重三郎を慕う当代一の花魁・誰袖を演じると発表されている。

 これに対して、主にSNS上で「人身売買で売られてきた女性たちの人権を蹂躙した場所をエンタメで軽々しく扱わないでほしい」「女性たちは過酷な環境で売春させられ、若くして梅毒で苦しんで亡くなった人が多い。そんな生き地獄を美化するドラマとか心底軽蔑する」「とてもじゃないけど、遊郭を題材に大河ドラマを作るなんて賛成できません」などと批判的なコメントが続出。NHKのX(旧Twitter)公式PRアカウントが炎上する事態になっている。

 遊郭をめぐっては以前にも物議を醸したケースがあり、3月26日から東京芸術大学大学美術館で始まった「大吉原展」は会期前に炎上。吉原の遊郭を描いた江戸期浮世絵などを通して「吉原文化」の実像を紹介する展覧会だったが、開催前に公式サイトなどで「イケてる人は吉原にいた」「ファッションの最先端」といったキャッチコピーが使われたことにより、SNS上で「売買春が行なわれていた遊郭を美化している」「人身売買の歴史をエンタメ化」などと批判が続出し、一時は開催が危ぶまれた。

 また、2021年に人気アニメ『鬼滅の刃』の第2期に当たる「遊郭編」が放送される前にも、ネット上で「遊郭を舞台にしたアニメを子どもに見せていいのか」「女性差別を助長する」といった非難の声が相次いだことがあった。

 ただし、「大吉原展」については後に「負の歴史を踏まえた展示」であることが明らかになり、展覧会の開始後に批判はほとんどなくなった。同展覧会は「吉原は負の遺産であり、文化の発信地でもあった」という二面性を表現したものといえるが、初期のプロモーションが後者に寄ってしまったため「美化している」と誤解されたとみられている。『鬼滅の刃』の「遊郭編」についても、劇中では遊郭のきらびやかな部分と同時に負の側面が描かれており、放送後に否定的な声はほぼ皆無となった。

 『べらぼう』がどのように遊郭を描くのかは現段階で憶測の域を出ないが、少なくとも過去の騒動では「中身が分からない状態で炎上したが、ふたを開けてみたら遊郭を美化するものではないと分かって批判が収まった」というケースが続いている。

 そのため、ネット上では「勝手に美化と決めつけて放送前にバッシングすべきではない」という指摘も少なからずあるようだ。実際、先述したように今回のキャスト発表では貧しさや病に苦しむ最下層の女郎たちが登場することが明言されている。

 『べらぼう』ではどのように遊郭が描かれるのか、さまざまな意味で注目を集めることになりそうだ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2024/04/22 18:00
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