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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『花咲舞が黙ってない』第2話

『花咲舞が黙ってない』第2話 まるでお手本のようなドラマ界の「高い壁」

今田美桜

 20日放送の土曜ドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)は第2話。前回はオリジナル脚本でしたが、今回は池井戸潤の同名小説から「たそがれ研修」というエピソードを原作としているそうです。

 今回も花咲(今田美桜)の丸い目ん玉がくるくるとよく動きました。振り返りましょう。

■まあホントに、お手本みたい

 1話完結の勧善懲悪モノとして、ホントにお手本みたいな回でした。今回、悪事を働いていたのは定年間近になった本店検査部のおじさん・畑仲さん。前クールでは話題の『不適切にもほどがある!』(TBS系)でタイムマシンを開発していた三宅弘城が演じています。

 冒頭、銀行で50歳以上の行員を対象にセカンドライフ研修が行われていることが語られます。退職後の生活や早期退職についてのレクだそうで、行内では「たそがれ研修」と呼ばれている。その「たそがれ研修」で昨年、キレ散らかした行員がいたらしい。それが畑仲さんでした。

 まずこの畑仲さんを「やべえやつ」と印象付けておいて、いったん放置。花咲たちは今回の臨店に赴くことになりました。

 銀行の赤坂支店で融資をしている老舗の喫茶店チェーンから「機密情報が洩れている」というクレームが入って、話を聞くと、新進気鋭のカフェに出店計画の情報が知られているらしい。交渉中の物件が次々とそのカフェにかすめ取られていると。

 まず老舗側が信用できて、カフェ側が信用できないという描写が入ります。老舗側は、出店候補地を決める際に綿密なリサーチをかけて、あえてトレンドから外して生活に密着した場所を選んでいる。コーヒーとトーストが超美味い。チェーン化して専務になった社長の妻が、今でも1号店のカウンターに立っている。

 一方でカフェチェーンの社長はイケメンで胡散臭い。自分たちの店をシティ派とか言ってる。別にコーヒーも美味しくないしメニューも一面的でつまらない店だ。

 そうした情報を入れておいて、カフェのほうの本社に入っていく畑仲さんを登場させる。どう見てもこの人が怪しい。あとは証拠を集めて突き付けて、畑仲さんに「黙れ」と言われた花咲が「黙りません!」とやれば、一丁上がりです。花咲舞は黙ってないからね。

 最後に、昔は実直な行員だった畑仲さんを狂わせたシステムを花咲が「変えてやる」というドラマに通底するテーマを語って、次回に余韻を残します。カンペキ。ため息が出ちゃう。

■視聴者の信頼、という強さ

 だいたいの人は銀行のことなんて何も知りませんが、そういうもんなんだろうなと思わされるんですね。池井戸潤が元銀行員だという前情報もあるし、『半沢直樹』(TBS系)も見たことありますからね。銀行のシステムについては、このドラマは正しいことを言ってるんだろうなという信頼感がある。そこがまず強い。

 加えて、池井戸作品は「銀行は正しいことをやるべきだし、経済はがんばってる人が報われるべき」というメッセージが絶対にブレないということと、エンタメとしてヘンなことをしないという信頼感もある。ある程度のおもしろさが保証されている状態から、上澄みだけを楽しみにすればいいというところまで来てるんです。

 今回は、花咲のバディである相馬健(山本耕史)が、花咲の実家の居酒屋を訪れるという楽しいシーンがありました。出迎えたマスターは花咲の叔父である花咲健。演じているのは、前シリーズで花咲(杏)のバディだった上川隆也です。こういうサービスをする余裕もある。強い。

 最初に「お手本みたい」と書きましたが、もちろんすべてのドラマがこんな風に予定調和の中で安心して楽しめるものであってほしいということではありません。ただ、これが壁なんだろうなと思うんです。ドラマを「変えてやる」と思ってる若い人たちにとっての、これが壁なんだろうなと。高いですよねえ、壁。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/04/21 15:00
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