ドラマ、小説、そしてマンガへ…『インフォーマ』はなぜここまで拡大したのか
#沖田臥竜
サイゾー文芸部から発売された小説『インフォーマ』は、ドラマとしてはNetflixから世界配信中。そしてこの度、マンガが小学館から発売され、表現やメディアの枠を越えたその世界はさらに拡大しようとしている。特筆すべきは、それぞれに『インフォーマ』の世界観が通底しつつも、高い熱量のもとに独立した作品として築き上げられている点だ。そこには、原作者である沖田臥竜氏の作品づくりへの強い理念が込められていた――沖田氏自身がその思いを綴る。
情熱が大きな山を動かす
Netflixにて現在、世界配信されているドラマ『インフォーマ』はご覧いただいているだろうか。
この作品の原作となった小説『インフォーマ』(サイゾー文芸)と、その続編である小説『インフォーマⅡ ヒット・アンド・アウェイ』(同)も絶賛発売中である。
ただ、我々インフォーマとしては、それだけでは終わらない。本日4月18日、小学館の「マンガワン」で連載中のマンガ『インフォーマ』が単行本として発売される。映像、小説、コミックといったマルチな展開ができるとは、インフォーマの生みの親としては喜ばしい限りである。
振り返ってみると、『ムショぼけ』同様に『インフォーマ』の立ち上げも、映画監督の藤井道人監督とたった2人であった。
3年前の1月、ドラマ『ムショぼけ』の打ち合わせの最中に、同作の企画プロデュースをした藤井監督と「次は情報屋を題材にした物語を作ろう」となったのが始まりで、そこから実現に向けて、寝る間を惜しんで走り回った。それは決して楽な道のりではなかった。どんなことでも、実現させるまでには必ず労力がかかり、ドラマ『ムショぼけ』を尼崎で撮影しているときには、クタクタになりながら、返す刀で『インフォーマ』の叩き台を書いていたのである。支えは、いつだって諦めなければ実現するという気持ちだった。その情熱が大きな山を動かすのである。
まず、私がプロットを書き、藤井監督がそれをベースに企画書を作成してくれ、私がそれを抱えて、カンテレに行ったのだ。その企画が通り、ドラマ『インフォーマ』の撮影が始まると、その合間に今度はマンガ化の企画を小学館に持っていった。そうした情熱が、大勢の人たちの賛同を得ることに繋がったのである。小説だってもちろんそうだ。
私の持論として、固定概念をぶち破って行かなければ、道は開けないし、それこそ小説にしても、ドラマにしても、マンガにしても、ありきたりの作品になる恐れがある。そして、中心になるべき人間が一生懸命になるからこそ、携わってくれる人々にも「だったら、みんなでおもしろい作品を作ってやろうではないか」という空気が生まれるのだ。
そうした中で連載が始まったマンガ『インフォーマ』も圧倒的な支持を受け、単行本の発売を迎えることになった。
作品作りに関わってくれたすべての人々が喜んでくれなければ、作品の届け先である読者にも視聴者にも刺さりはしない。それはそうではないか。制作現場のモチベーションが低い中で作られた作品が、世間の人々に評価してもらえるほど甘い世界ではない。
小説には小説の、ドラマにはドラマの、マンガにはマンガの世界観や価値観があって、その中で切磋琢磨し合うのだ。
私の場合は、小さなことはどうでも良い。小説もドラマもマンガも、全て併せて『インフォーマ』という世界なのである。そして、小説ならば、編集者のかた、校閲のかた、デザイナーのかた、版元の社長。ドラマならば、監督、プロデューサー、そして裏で支えてくれるスタッフの方々。表で輝く俳優部の人たち。みんながいてくれるからこそ、ゴールインができるのだ。
それはマンガも同様で、作画の鯛噛先生、構成の山本晃司先生、担当編集の方々に、マンガワンの編集部のみんながいてこそである。
私からすれば全員が『インフォーマ』のチームの一員だ。そして、ここからみんなで闘いに挑むのだ。評価されたときは、みんなで喜べないと、作り手としての意味がない。
小説もドラマも最高のメンバーで、世の中に突き刺したつもりだ。マンガも最高なメンバーが揃っている。そうした中で、今後も生まれ続けていく『インフォーマ』が末長く続く作品になれば良いなと思っている。みんなが何を『インフォーマ』に求められているかは、百も承知である。その期待に応えられるように、マンガ『インフォーマ』はここに誕生したのだ。
ありきたりな言葉ですまぬ。ここはまだまだ『インフォーマ』にとっての通過点でしかない。我々はマンガの常識を塗り替えに来たのだ。
小学生のころ、夢中になったマンガの続きが気になって仕方なかった。あの頃のワクワクをこの作品から伝えていきたいと思っている。
もう世間を騒がすスクープには飽きた。ゼロから生み出す物語で、すべてを取り戻したい。
(文=沖田臥竜/作家)
マンガ『インフォーマ -INFORMA- 1』
小学館/770円(税込)
誰もが簡単に情報を発信できる時代に週刊誌の記者として働く・三島寛治。「正義を伝えたい」 信念を掲げ入社したはずが…今じゃクビ目前。そんな三島に訪れた、記者として一発逆転する最後のチャンス…それは、政治、芸能、裏社会、全ての情報に精通するという都市伝説の情報屋「インフォーマ」と繋がる最強のカード。
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