『ACMA:GAME』第2話 「わかりやすさ」優先の世界戦略とジュブナイルの役割の話
「明るく楽しいキッズ向けのデスゲーム」という新たな境地に挑んでいる(ようにしか見えない)ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)。14日に第2話が放送されました。
キッズ向けと言いつつ、演出は前回に続いて日本テレビの御大・佐藤東弥さん。劇場版『カイジ』シリーズで藤原竜也を思うがままに蹂躙し、新境地に導いたお方ですから、今後、本作主演の間宮祥太朗への演出も期待したいところです。
振り返りましょう。
■すんごい都合がいい「カギ集め」
このドラマでお話の中心になるのは「悪魔のカギ」。99本集めるとなんでも願いが叶うという設定があり、主人公である照朝(間宮)にとってこのカギを集めることが目標になるのかと思いきや、あんまりそうでもありません。
照朝の目的はあくまで父親を殺した人物への復讐であり、別に新しいカギがほしいわけではない。それだとお話が前に進まず、バトルが発生しないので、物語は欲深そうな人にカギをばらまくことにしました。
これをばらまいているのが、父親の仇である崩心祷(小澤征悦)。ほうしん・いのると読みます。リリースによると悪魔のカギの伝説を知る考古学者だそうですが、カギをばらまく動機は特にありません。しいて言えば「主人公と誰かのバトルを発生させるため」というドラマ側の要請なわけですが、小澤征悦の顔面に説得力があるのでなんとなく納得してしまいます。
今回、そのカギを受け取って照朝の元を訪れることになったのは、格闘家の兵頭猛(栄信)。カギのパワーによって試合には連戦連勝中。空から降ってきたカギをグローブの中に仕込んで試合に出場しては、相手をなぎ倒しています。「悪魔のカギ」以前に金属片をグローブの中に入れとくのは明らかに反則ですが、地下格闘技らしいし試合前のバンテージチェックとかはないのでしょう。
試合に勝ちまくって調子に乗っている兵頭の前に、いきなりよくわからないチャラ男が現れると、そのチャラ男にそそのかされた兵頭は照朝の前に現れます。照朝の側から見れば、自動的にカギの持ち主が現れてくれるという実に都合のいい展開です。
■今回のバトルは「影踏み」だッ!
ところで、この『ACMA:GAME アクマゲーム』というドラマは、Amazon Prime Videoで世界150以上の国と地域に配信される予定だそうです。そんな世界規模のプロジェクトで「影踏み」とか前回の「変なクイズ」とか、大丈夫かなと思ったんですが、よくよく考えたらネットフリックスの『イカゲーム』の影響なのかもしれません。あの感じでバカ当たりしたので、もしかしたらベタなキッズ向けゲームをシビアな状況で大人がやるというところに金脈を見たのかもしれない。
だとすれば、そうとうシビアな状況を作らなきゃいけないわけですが、『ACMA:GAME』は全体的にキッズ向けなのでプレイヤーに圧がかかりにくいんですよね。それと、バトルと並行して「友情」「青春」を打ち出したいという意図もあるので、どうしても「命のやり取り」をしているという雰囲気が出しにくい。セリフ上では「人の生き死に」をやってるけど、バトル現場にいる友だちの女の子が第2話で死ぬわけないと思ってしまう。
総じて、やっぱり、ぬるいんです。「友情」「青春」「バトル」以外の部分は徹底的に省略し、ろくにつじつまを合わせようともしていない。極端な言い方をしてしまえば、「おもしろさ」より「わかりやすさ」を優先している。
それがあからさまに「世界のみなさまに伝わるように」という戦略に見えると鼻につくところなんですが、今のところ、ぎりぎりですが「楽しさ」に振れているように見えています。ジュブナイルの役割って、世の中にはいろんなジャンルの物語があるんだよということをキッズに教えてあげることでもあると思うし、このドラマは性根がいいので引き続き「楽しいデスゲーム」路線で突き進んでほしいと思いました。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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