『Re:リベンジ-欲望の果てに-』第1話 白衣の余貴美子がいたら本格ドラマやろ
#Re:リベンジ
フジテレビの木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』も11日にスタート。『白い巨塔』をはじめ『Dr.コトー診療所』『医龍』『コード・ブルー』など医療ドラマでヒットを飛ばしている木10枠ですが、今作も大病院が舞台となります。
主演は赤楚衛二くん。『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)、『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)と爽やかテイストなライトコメディの印象が強い俳優さんですが、『Re:リベンジ』はどうやら本格サスペンスの予感がします。何しろ、白衣の余貴美子とか出てますからね。白衣の余貴美子が出てれば、それは本格です。間違いない。
振り返りましょう。
■医療ドラマではなさそう
主人公の海斗くん(赤楚)は、出版社勤務の週刊誌記者。デスクに仕事を押し付けられたり、しょうもないアイドルの不倫記事を作らされたり、あんまり充実していないようです。
そんなある日、海斗くんはお付き合いしている恋人の陽月ちゃん(芳根京子)にプロポーズしようと、馴染みの飲食店で指輪を用意して待っていました。ちなみに陽月ちゃんは「ひづきちゃん」と読みます。かわいい名前。
そんな陽月ちゃんですが、お店に駆け込んでくると穏やかでない表情で海斗くんをタクシーに押し込みます。海斗くんのお父さんが倒れたそうです。海斗くんはお見舞いに行くことにあまり乗り気ではありませんが、とにかく父親のいる天堂記念病院を訪れることになります。
実は海斗くんのお父さんはこの大病院の理事長でした。海斗くんも跡継ぎとして期待されていましたが、医大を中退して週刊誌の記者になったのだそうです。海斗くんが「病院に戻る」とか「戻らない」とか、新しくセンターを立ち上げるプロジェクトがあるとかないとか、そんなことが病院上層部でウワサされている最中に理事長が倒れたわけですので、一大事です。ちなみに陽月ちゃんはこの病院で看護師をしているので、海斗くんより先に父親が倒れたことを知ったのでした。
海斗くんは権力闘争に明け暮れる父親や天堂家の親族たちが大嫌いで、病院と距離を置いていました。そんな父親が医局の何者かに毒を盛られて暗殺され、物語が一気に動き出します。
その直前、天堂病院には心臓血管外科医の大友(錦戸亮)が赴任してきていました。父親を殺したのは大友かもしれません。何しろ天堂が新しく作るセンターは心臓血管外科の専門施設だったのです。
また、海斗くんは父親の死の直前、そのセンターに対する父親の本当の想いを知ることになります。それは、ある心臓病の少年との約束でした。その心臓病の少年とは、幼少期の海斗くんなのでした。今ではすっかり元気になった海斗くん、父親の葬式で適当な喪主挨拶をする父親の義理の姉・市子院長(余)にブチ切れて廊下に連れ出されると、何者かに鈍器のようなもので殴られて気を失ってしまいます。
そんなお話。
■本格ドラマではなさそう
全体的なカメラ、照明、余貴美子などはめちゃくちゃ本格ライクですが、どうやらドラマとしてはあんまり本格的ではなさそうです。
赤楚くん演じる海斗くんが病院を恨んでいる理由もよくわからないし、父親が権力闘争に明け暮れている描写もないので、なんだか駄々っ子みたいに見えるんですね。大学を中退したのも確固たる意志ではなく、留年しちゃったことがきっかけっぽいし。
あと、週刊誌の仕事も情熱を持ってやってないんですよね。雑誌の仕事の最大のカタルシスは校了の瞬間にあるわけですが、平気で部下の女の子に任せちゃったりしてるし、その部下の子が「世間に声を届けたい」みたいな記者としてのロマンを語ったときも、ピンときてない感じだし。雑誌の仕事をやっていくつもりではあるみたいだけど、意義を感じているわけではなさそう。
で、「病院に戻る」とか「戻らない」とかいう話をしてるんですね。亡くなった父親が海斗くんを理事に推薦するとか言ってたんです。
医大を中退してるから医師免許もないし、医療現場での勤務実績もない。ただ理事長の息子だから、出版社から急に転職して大病院の理事になれるという状況。
権力闘争に嫌気がさしていたはずなのに、そんな血縁だけの人事がまかり通ることにはあんまり批判的じゃない。「戻る」という選択肢が残っている。
そんなこんなで、すげえ甘ちゃんに見えちゃってる、赤楚くんが。
たぶんこのドラマは赤楚衛二という俳優さんが恋したり葛藤したり、苦しんだりブチ切れたり、絶望したり慟哭したり、奮闘したり、そういう姿を撮ることを目的とした作品だと思うんです。いわゆる、アイドルドラマの類です。
それはそれで悪くないし、アイドルドラマの皮をかぶった本格作品というのも世の中にはたくさんあるわけですが、「いろんな海斗くん(=赤楚くん)」を見せることに時間を使いすぎて、シナリオの部分で海斗くんの表情や行動に説得力を持たせられていない。そんな印象の第1話でした。手抜きはしてないけど手落ちはある。そういう感じ。
とりあえず2話目を待ちましょう。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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