ラランドがYouTube「ララチューン」で公開した“笑いゼロ”の短編映画『点』の本気度
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普段、ラブホテルの楽しい使い方やニシダに対する楽しい悪口の言い方、ニシダの楽しい陥れ方などを視聴者に提案して人気を博しているお笑いコンビ・ラランドのYouTube「ララチューン」で31日、異例の動画が公開された。
そのタイトルは『点』。浪人生の1年間を描いた約20分の短編映画である。概要欄にはサーヤの言葉として、自分たちのファンである受験生や浪人生への共感を示しながら「真剣にひとつ作品を送り出したい」と記されている。
医学部への現役合格を果たせなかった浪人1年目の主人公をサーヤが演じている。
不本意にも浪人生活を送ることになった主人公と、現役合格を果たして大学やアルバイト生活を謳歌している友人との比較。夏場になっても一向に好転しない合格判定。親の期待とプレッシャー。自己嫌悪、タイムリミット。
揺れ動くひとりの若者の心情が繊細に描写された脚本は、相方のニシダによるものだ。ニシダは昨年7月に小説『不器用で』(KADOKAWA)を上梓し、意外に高い評価を受けている文筆家としての顔も持っている。
大学の合格発表は自室のパソコンで、インターネットを通じて確認する。ID、パスワードを入力してリターンキーを押下する瞬間の緊張感。先に大学生になった友人の私生活は、見たくもないSNSから勝手に流れ込んでくる、その焦燥感。さまざまな現在のリアルに彩られながら、物語の中の時間は登場人物たちを「入試の日」へと押し流していく。
サーヤってこんなに芝居ができるのか、ニシダってこんなに書けるのか、主題歌もサーヤか、作詞も作曲もやってるのか、というひとつひとつの要素に、もう驚きはない。ラランドというコンビはお笑い以外にもこれだけのことができるということは、すでに証明してきている。
それでも、こうして1本の作品として完成品を見せられると、やはり驚嘆するしかない。
「真剣にひとつ作品を送り出したい」
真剣にやったら、ここまでのものができてしまうのだ、ラランドというコンビは。
先日の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でカズレーザーは、サーヤ、EXIT・兼近大樹、令和ロマン・高比良くるま、霜降り明星・粗品の名前を挙げて、「たぶん我々、この人らの下で働くじゃないですか」と発言していた。
TVerの配信番組『伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評』に出演した伊集院光は、テレビ出演に消極的な令和ロマンやダウ90000の蓮見翔を指して「本当に実力があるなら(テレビへの消極発言は)言わなくていいじゃん」と言っていた。
ラランドや令和ロマンを指して「大学お笑い出身」と揶揄を含んで呼ぶ声もある。
今回のラランドの動画は、大学入試を経験していなければ作れない作品である。彼らは、自分たちのファンとだけ、大切な部分を共有し、握り合っている。
私たちには、一瞥もくれていない。眼中にないのだ。そのことが、何より頼もしく感じた。
(文=新越谷ノリヲ)
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