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#週刊誌スクープ大賞
昭和を代表する落語家の遺産トラブル
さて、昭和を代表する落語家、五代目古今亭志ん生(1890年~1973年、本名・美濃部孝蔵)。今その遺産をめぐり思わぬ事態が起きていると、文春が報じている。
志ん生の長男は十代目金原亭馬生、次男は三代目古今亭志ん朝(いずれも故人)。俳優の中尾彬と結婚した池波志乃は志ん生の孫にあたる。
そんな華麗なる芸能一家が、笑えぬトラブルの渦中にあるというのである。
落語関係者がこう明かす。
「昨年亡くなった志ん生の長女の遺産が第三者の手にわたることになり、遺族との間でトラブルに発展しています。志ん生という落語界のレジェンドの沽券にかかわる事態です」
長女とは文筆家だった美濃部美津子。2023年八月、99歳で息を引き取った。彼女には子がいなかったため、法定相続人は姪・甥となるはずだが、遺族に取材を申し込むと志ん生の曾孫にあたる落語家の金原亭小駒(28)が応じたという。
「私たちが事態を把握したのは、美津子さんが亡くなって二カ月経った、昨年十月ごろでした」
「遺言執行者」で行政書士のMから美津子の遺言を開示されたのだという。2010年1月8日付で作成された「遺言公正証書」にはこう記されていたそうだ。
〈遺言者は、遺言者の有する預貯金を含む動産、その他すべての財産を、還国寺に遺贈します〉〈財産を取得することの負担として、遺言者及びその祖先の祭祀を司り、永代供養を行うことをお願いします〉
東京・文京区にある還国寺とは、志ん生の墓がある菩提寺だという。証書は口述筆記で、作成場所は還国寺と明記されていたそうである。
その財産目録を見た遺族は目を見張った。現金は預貯金約7200万円、そして「その他」の項目に、〈美濃部孝蔵氏(志ん生)著作権等〉〈写真等〉とあったからだ。
文春によると、著作権による収入は年間数十万から、数百万だという。
遺言書作成の経緯も奇怪だったと小駒が続ける。
「まだらな認知症の気が見え始めた十数年前、美津子さんと突然、連絡が取れなくなりました。探し回ると知らない間に『後見人』が付き、ゆかりのない川崎市の介護施設に入居していた」
小駒はMと寺への怒りを隠さない。
「蓋を開けてみれば、志ん生の遺産、特に何より大切な志ん生の権利を寺に奪われていたんです」
親族が芸の継承のために必要と訴える志ん生の権利。現行法では著作権の保護期間は没後70年までだから、少なくともあと19年は存在する。
「権利が外部に渡ることを強く懸念する背景には、伝統芸能ならではの事情もある。落語会に詳しい。演芸評論家・エンタメライターの渡邉寧久氏が解説する。
「今回の件は、落語界全体の問題です。財産目録の『著作権等』が幅広い意味に捉えられれば、予想外の問題が起きうる。もともと落語会は、仲間内に噺を無報酬で教え、話芸を伝えています。もし外部に権利が渡れば、志ん生が磨き上げた『火焔太鼓』や『柳田格之進』『井戸の茶碗』といった“志ん生版落語”をしゃべるなら金を払え、または許諾しないと主張することも可能になります。さらに問題なのは、志ん生という名跡使用もNGとなりかねない点。落語界では、遠くない将来に志ん生襲名が期待されていますから」
えらいこっちゃ。私はラジオで志ん生を聞きながら育ってきた。志ん生、圓生、文楽から立川談志、古今亭志ん朝が三度の飯より好きだ。
痴呆の人を騙して、いい加減な遺言を書かせたりしては、寺の名前に傷がつく。早く、志ん生の遺族へ返すべきだと思うが。
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