『水曜日のダウンタウン』10周年で「ベスト説」企画 候補60作以外にも名作がゴロゴロ……
#水曜日のダウンタウン
『水曜日のダウンタウン』(TBS系)がこの4月で10周年を迎えるにあたり、視聴者が選ぶ「好きな説ランキング」を作成するという。番組公式X(旧Twitter)での告知によれば、事前調査で人気のあった60の説から1つを選んで投票するシステムだ。
選ばれた60の候補の中には、ギャラクシー賞の月間賞を受賞している「徳川慶喜を生で見た事がある人まだギリこの世にいる説」、「先生のモノマネ プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」、「昭和はむちゃくちゃだった系の映像全部ウソでもZ世代は気付かない説」、「おぼん・こぼんヒストリー」、「新元号当てるまで脱出できない生活」の5本をはじめとして、先日放送されて大反響を呼んだ「清春の新曲 歌詞を全て書き起こせるまで脱出できない生活」や、あのちゃんに遠隔操作で大喜利をさせて麒麟・川島明を混乱の極みに陥れた「『ラヴィット!』女性ゲストを大喜利芸人たちが遠隔操作」、若年層にも天才シンガー・大友康平の名を知らしめた「宇多田ヒカル/First Love『誰を思ってるんだはー』と歌う説」など、記憶に残る説が勢ぞろいしている。
60の候補から1つを選ぶとなると頭を悩ませてしまうが、『水ダウ』の10年の歴史の中にはここに取り上げられなかった名作がいくつもある。
今回は、あえて60の候補以外から印象的な説を振り返ってみたい。
■FBI透視捜査官だったらアメリカ横断ウルトラクイズの〇×にダイブするヤツ 問題が分からなくても泥まみれにならない説(2014年10月29日)
すべてを見通す超人だというウエイン・ホフマン氏を招いて行われた実証企画。日本の不思議系バラエティへの出演経験もあり、専属通訳を引き連れての登場だった。
本題の前に、まずはトランプマンのカードマジックを見破ってその実力を示すと、いよいよ泥まみれクイズの本番へ。ホフマン氏は「〇×」の先が見えているからとして、クイズの出題は日本語のみで通訳もなしという設定で実証が行われた。
次々に正解していくホフマン氏に対し、『水ダウ』は「見たいのはイケ好かない外国人の泥まみれ」だとナレーションを入れ、〇×の両方に泥プールをセット。
結果、ホフマン氏はこれを見破って見せたものの、ロケ終了後のロケバスに向かったところで落とし穴にかかるという大オチをつけた。
ホフマン氏や通訳の存在のみならず、この実証実験自体がリアルともフェイクとも取れる絶妙な塩梅は、まさに『水ダウ』の真骨頂。松ちゃんの「じゃあトランプマンの素顔も見えてたんやな」という〆も冴えていた。
■すれ違いコント 今ならしれっと自分のものに出来る説(2020年8月19日)
アンジャッシュに何かがあったことで空いた「すれ違いコント枠」を競う『キングオブすれ違いコント』を開催。
さらば青春の光、空気階段、野性爆弾の3組がそれぞれ「すれ違い」をテーマにした新ネタを作ってくるという、お笑い的に非常に贅沢な企画だった。
それぞれのコンビが“らしい”新ネタを披露し、結果としてはさらばが手堅く優勝をさらったが、『キングオブコント』優勝前の空気階段をブッキングしているあたりに『水ダウ』の本気度が見えた。そして、その本気度をすべて笑い飛ばしてしまう野性爆弾まで完璧な流れ。
そして最後には、やはり「すれ違いコント」というジャンルを作ってしまったアンジャッシュのすごさを思い知るのだった。
■おじいちゃんによる「孫笑わせ選手権」で孫が全く笑わない逆ドッキリ切ない説(21年12月15日)
開口一番、松ちゃんが「楽しいバラエティで、なんで切ない説をやるの?」と嘆いた『水ダウ』らしい悪意の企画。
具志堅用高とアニマル浜口がそれぞれの孫を必死に笑わせようとするものの、ことごとく不発。必死でふざけ倒すお爺ちゃんを真顔で見つめる孫という構図は、もはやホラーである。
さらに、2人とも不発だったことを受けてタレントではない素人のお爺ちゃん3人に対しても検証を行う『水ダウ』。最後の1人で孫が笑ってくれたことでなんとかハッピーエンドを迎えたが、こんなに心が痛くなるバラエティも珍しい。最高である。
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放送10周年を迎え、松ちゃんがいないことで企画に磨きがかかっているようにも見える『水ダウ』、今後も楽しみである。
(文=新越谷ノリヲ)
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