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大谷翔平の「法的責任」に米メディアは焦点…「借金肩代わり」なら最低1年出場停止も

今回の騒動との関係は不明ながら、大谷翔平選手を起用した三菱UFJ銀行のWebCMの一部が非公開に。「三菱UFJ銀行/大谷翔平選手スペシャルサイト」

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平の通訳を務めていた水原一平氏が違法賭博に関与したなどと報じられ、球団から解雇された騒動の波紋が広がっている。水原氏の問題にとどまらず、米メディアの報道では「大谷の法的責任」に焦点が移行しつつあり、米球界を永久追放となったピート・ローズを引き合いにした報道まで出ている。

 今回の騒動では、水原氏が米連邦捜査局(FBI)の捜査対象となっている南カリフォルニアの賭博の胴元、マシュー・ボウヤー氏を通じて違法ギャンブルに参加し、負けが込んで少なくとも450万ドル(約6億8000万円)の借金をつくっていたことが判明。借金返済のためか、大谷の銀行口座から胴元側に約450万ドルが送金されていたことが分かっており、これが問題を大きくさせている。

 当初、水原氏は「翔平に相談し、借金を肩代わりしてもらった。自分の前で翔平が端末を操作し、数カ月に分けてオンラインで振り込んだ」「渡したお金をまたギャンブルに使わないようにと、翔平が直接送金した」と説明していた。しかし、水原氏はこの証言の翌日に「翔平は借金のことも賭博のことも知らなかったし、振り込みもしていない」と前言撤回。大谷は一切関与しておらず、20日の開幕戦後に水原氏がチームの前で謝罪と説明を行ったことで、初めて自分の口座からお金がなくなっていると知ったとしている。

 水原氏の発言撤回に合わせるかのように、大谷の代理人弁護士が所属する法律事務所は「大谷翔平が大規模な窃盗の被害に遭ったことが判明し、この問題を当局に引き渡した」との声明を発表。「大事な仲間を救うために大谷が借金を肩代わりした」という話から一転、「水原氏が勝手に大谷の口座からお金を盗んで借金返済に充てた」という窃盗もしくは横領の話になった。

 もし大谷が「水原氏が違法賭博に参加していた」と知った上で借金を肩代わりした場合、違法行為に加担した、もしくはほう助したという意味で責任を問われる可能性がある。そうした事態を避けるため、水原氏は発言を180度変えたのではと勘繰る声が相次いでいる。

 仮に借金を肩代わりしたとしても、日本人的な感覚だと「大谷の情け深さ」に同情してしまう部分があるが、米国のメディアはシビアなようだ。

 21日付のロサンゼルス・タイムズ紙は「大谷翔平は第二のピート・ローズなのか?違法ギャンブルで借金を肩代わりしたら法的問題に陥る可能性」と題した記事で、伝説的な名選手でありながら監督在任中の野球賭博により1989年にメジャーリーグを永久追放処分(殿堂入りも許されず)となったピート・ローズの名を出して報道。

 自ら野球賭博に手を染めたローズと違い、現時点では大谷に永久追放の恐れはないとした一方、賭博法を専門とするウィッティア大学の名誉教授I・ネルソン・ローズ氏が「違法賭博のためと知りながら借金を肩代わりした場合、かなり重い連邦刑罰が科せられる可能性がある」「たとえ友人を助けるためだとしても、違法賭博業者の債権回収を手伝ったと判断されれば、法的には賭博業に関与したことになる」と指摘している。

 仮に責任が生じた場合、メジャーリーグでは「違法なブックメーカーのために働いたりした場合、最低1年間の出場停止処分を受ける」と定めた規則がある。また、水原氏は否定しているが、もし賭博の対象にメジャーリーグが含まれていた場合、大谷は内部情報を流すなどして関与した可能性を疑われかねない。

 こうなると最大の焦点は、水原氏や大谷を担当する法律事務所が現在主張している「大谷は何も知らなかった」「勝手にお金を使われた」という話の信憑性だ。先述したように今回の一件では、FBIが違法賭博の胴元を捜査しており、水原氏の動きや大谷の口座などについても徹底的に調べるとみられる。

 その過程で「大谷は何も知らなかった」という話に矛盾点が見つかれば、日本が生んだ世界的スーパースターに似つかわしくない状況となる可能性がある。そんな事態にならないことを祈りたい。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2024/03/22 14:00
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