西島秀俊&芦田愛菜でも「日曜劇場」の視聴率復調せず…「月9」に続き凋落の恐れ
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西島秀俊が主演したTBS系「日曜劇場」枠のドラマ『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』の最終回が17日に放送され、平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)が世帯11.0%、個人6.8%を記録し、全話2ケタ台キープを達成した。しかし、高い実力と人気を誇る西島や芦田愛菜らを投入したにしては物足りなさがあり、フジテレビ系「月9」枠に続いて「日曜劇場」も凋落するのではと危惧されている。
同ドラマは、海外で活躍していた指揮者・夏目俊平(西島)が5年前のある事件によって家族と音楽を失い、地方の楽団を指揮するために数十年ぶりに帰国した日本で離ればなれになっていた娘の響(芦田)と同居することなり、不器用な父と素直になれない娘の複雑な関係が描かれた。最終回の第10話では、2人が音楽を通して5年ぶりに心を通わせ、感動的な「タイトル回収」もあるなど大団円となった。
平均世帯視聴率は第1話で11.4%を記録し、最終回まで2ケタを維持したが、第5話は10.0%で1ケタ陥落の瀬戸際だったこともあった。それでも全話平均は10.7%と最近のドラマの中では健闘したが、西島と芦田の初共演という話題性などで高まっていた放送前の前評判に比べると微妙なラインだ。
だが、これは西島や芦田の問題ではなく、TBSの看板枠である「日曜劇場」の勢いが落ちたせいではないかとの見方が浮上している。
「日曜劇場」といえば、2000年の『ビューティフルライフ』の32.3%(全話平均世帯視聴率、以下同)、2013年の『半沢直樹』の28.7%、2020年の『半沢直樹』シーズン2の24.7%、2011年の『JIN-仁-完結編』の21.3%など、数々のヒット作を生み出してきた。傑作が多いので題材にかかわらず視聴する人が多く、視聴習慣が浸透したことで枠自体が「数字を持っている」という稀有な存在だ。
しかし、2010年代に入ってから全話平均視聴率が2ケタを割り込む「不発」作品がチラホラ現れ始め、最近は2022年10月期の『アトムの童』と2023年1月期の『Get Ready!』が2期連続の1ケタ台に。2023年4月期の『ラストマン-全盲の捜査官-』、同年7月期の『VIVANT』とヒット作を連発して息を吹き返したかに見えたが、同年10月期の『下剋上球児』で再び全話平均1ケタとなっていた。
それだけに「西島秀俊×芦田愛菜」のコンビに巻き返しの期待が集まったが、先述したように何とか2ケタ維持で「面目を保った」という程度。ストーリー自体の評価は悪くなかったのだが、ホームドラマ展開が若い層にウケなかったのか、13歳~49歳を対象にしたコア視聴率やTVerなどの見逃し配信もあまり伸びなかった。
かつて高視聴率枠の代表格はフジテレビ系の「月9」だったが、やはり同じく2010年代から全話平均が1ケタの不人気作がたびたび生まれ、2022年1月期の『ミステリと言う勿れ』を最後に全話平均2ケタの作品が途絶えた。テレビ全体の視聴率が低下傾向にあるとはいえ、ここ最近の落ち込みは激しく、2023年は7月期の『真夏のシンデレラ』が5.6%、10月期の『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』が5.3%と2期連続で歴代ワーストを更新した。
18日に最終回(第11話)を迎える今期の『君が心をくれたから』は、永野芽郁が主演で相手役が山田裕貴と人気絶頂の2人をメインに据えたが、10話までの全話平均は5.7%。3期連続の歴代ワースト更新は何とか免れそうだが、復調の兆しはまったく見えない。
もはやフジの「月9」は「低視聴率で当たり前」というあきらめムードだが、同じようにTBSの「日曜劇場」も凋落するのではと懸念する声が業界内で飛び交っている。
その命運のカギを握るのが、4月期の「日曜劇場」で長谷川博己が主演する『アンチヒーロー』だ。同作は、有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判で「殺人犯をも無罪にしてしまう」という“アンチ”な弁護士(長谷川)を主人公にした法廷モノ。主人公の同僚弁護士役で北村匠海と堀田真由、パラリーガル役で出産後初の連ドラレギュラーとなる大島優子、主人公と裁判で対峙する検事正役に野村萬斎など豪華キャストが配されている。
長谷川と萬斎は、大ヒット映画『シン・ゴジラ』で長谷川が主演、萬斎がゴジラのモーションキャプチャーを担当したことから、今回の共演はメディア上で「シン・ゴジラタッグ」と称されている。「長谷川博己VS野村萬斎」のバトルとなれば、話題にならない方がおかしいという期待の要素だ。
それだけに『アンチヒーロー』がもしコケたら、いよいよ「日曜劇場」の凋落が現実味を帯びてくる。はたして、長谷川と萬斎は「日曜劇場」を救うヒーローとなるのだろうか。
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