トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > スポーツ  > ピーター・アーツ格闘技イベント立ち上げ

「伝説のK-1戦士」ピーター・アーツが立ち上げる格闘技イベント『LEGEND』に刮目せよ!

 伝説のK-1ファイター、ピーター・アーツ(53)がプロデュースするキックボクシングイベント『LEGEND(レジェンド)』の第1回大会が3月24日(日)、横浜の大さん橋ホールにて開催される。今回は伝説のムエタイ戦士や、世界王者に3度輝いたヨーロッパのキックボクサーのほか、日本からはBreakingDownの人気選手らが参戦。将来的にはK-1時代のライバルたちの愛弟子のトーナメントや、発掘・育成した選手の世界進出も視野に入れているという。日本への定住を決意したアーツが、この大会にかける思いと、日本への愛着を語った。

――『LEGEND』を日本で立ち上げた動機を教えてください。

ピーター・アーツ(以下、アーツ) 僕は日本で長きに渡ってキックボクサーとして試合をしてきました。そして、日本が僕を有名にしてくれました。今ようやく日本に定住できるようになったので、日本に恩返しをしたいという気持ちから旗揚げした大会です。僕の経験と知識をなるべく多くの若い人たちに伝えていきたい。『LEGEND』という大会名にした理由は、K-1時代のレジェンドのみなさんとは現在も友人関係が続いていて、いつの日か彼らの弟子たちを戦わせるトーナメントを自分の大会で開催したいという夢があるからです。

――大会のコンセプトや特色を教えてください。

アーツ キックボクシングのみならず、ムエタイや空手の魅力的な選手を国内外のさまざまな団体から招き、ルールの調整を図りながら、エキサイティングな試合を提供していきます。と同時に、これからの若者を発掘・育成していくことにも力を注ぎます。他の大会にはない特色として挙げられるのは、「世界への扉」としての機能です。僕は世界各国にコネクションがあるため、若くて有望な選手を海外へ連れて行くことができます。10月にはギリシアで招待されている大会があり、その枠を持っているため、アマチュアのいい選手をこれから探し、4人ほど連れて行く予定です。

――『Road to LEGEND』と題された、3月24日の第1回大会の見どころを教えてください。

アーツ メインカードは、パコーン・PKセンチャイムエタイジム vs アリ・ビ―ストに決まりました。パコーンは伝説のムエタイファイター。元ルンピニースタジアム認定ライト級王者であり、元ラジャダムナン・スタジアム認定スーパーフライ級王者でもあります。一方のビーストはドイツが誇る強豪キックボクサー。これまでの戦績は106戦96勝(45KO)7敗3引き分け、3度のヨーロッパ王者を経て3度の世界王者に輝いています。

 当日はそうしたプロフェッショナルファイトを6~7試合行うほか、育成選手によるセミプロ試合を4試合程度、さらには50万円争奪の新人王トーナメントの1回戦も行います。

――アーツさんが審査員やヨーロッパ軍の監督を務めたこともあるBreakingDownからも、ATSUKI(ダンチメンあつき)選手、ハイメ選手、ヨーロッパ軍の一員であるジョナス・アドリアンス選手の3名が参戦しますね。それぞれの抜擢理由を教えてください。

アーツ ATSUKI選手は、僕がBreakingDownの審査員をしているときから目を付けていました。彼のファイトスタイルが好きなんですよ。日本の空手は極真会館や新極真会、極真館など複数の派閥に分かれているのが現状ですけど、外国人である僕がいつの日か、それらを一つにまとめたいという夢もあります。なので、ATSUKI選手のようなイキのいい空手家を見つけたら、今後も派閥を問わず声をかけていこうと考えています。ATSUKI選手の今回の対戦相手は、アマチュアキック全日本王者の棒田将光選手になります。

 ハイメ選手は攻撃的なファイトスタイルと、モチベーションが高い点が気に入りました。あと、個人的に性格が合うというのも大きいかな。僕のYouTubeに出てもらったこともありますしね。今回の対戦相手は、昨年KICKBOXING WORLD CUPのオープニングファイトで勝利を収めたアマチュアファイターの松田勇希選手になります。

 最後にジョナス選手ですが、彼はBreakingDownに出たときに、女性人気がとびきり高かったんですよ。なので、女性の集客効果を狙って選抜しました(笑)。というとルックスだけで選んだみたいですけど、そんなことはなく、彼はオランダで現役の警察官をしながら格闘技に対してもすごく前向きな姿勢を見せているので、日本で再びチャンスを与えたいと思いました。対戦相手は、アマチュアキック全日本準優勝の藤川達也選手です。

BreakingDownで人気を博すも、負けが続いていたハイメ。「何も変化がないままだと、もうあの舞台には立てないかも」と思っていたさなか、アーツから『LEGEND』に誘われたそう。「ここでいい勝ち方を続けていけば、またBreakingDownへ返り咲くこともできるんじゃないか」とハイメは目を輝かせる。ラウンド制の戦いは初挑戦だが、不安はないという。「これまでBreakingDownでは、プロキックの世界で無敗だった選手(外炉保尋斗)や、今ではRIZINでも活躍する選手(西谷大成)など、強い奴とばかり戦ってきたので、誰が相手でも怖くない。玉砕覚悟で行きます」と闘志をみなぎらせた。

――アーツさんの双子のお子さんも今回、揃って参戦するそうですね。

アーツ 娘のモンタナはプロとして、息子のマルシアーノはセミプロとして、それぞれ日本を含む各国で何戦も戦っているキックボクサーです。娘の今回の対戦相手は、ムエタイ王者のSHIORIN♡選手。息子の対戦相手は、極真空手の世界大会で活躍してきたSHOTA(水野翔太)選手。いずれも強い相手なので、子どもたちにとって良い経験となるでしょう。

――さて、ここからは格闘技の話から少し離れて、アーツさんの私生活に迫りたいと思います。さきほど「日本に定住できるようになった」とおっしゃっていましたが、いつから日本にお住まいなのでしょう?

アーツ もう1年半ほど住んでいますね。ヨーロッパと行ったり来たりの日々ではありますが、日本の永住権もありますし、日本の住民票も取得しました。

――なぜ日本に住もうと思ったのでしょう?

アーツ 日本がとにかく好きだからです。平和だし、人々も礼儀正しいし、食べ物も世界一美味しいし。それと、治安が良いのも大きいですね。スマホをテーブルの上に置いたままトイレに行けるのが信じられない。オランダだったらすぐに盗まれてしまいますよ(笑)。

――アーツさんほどの強者が、治安面を重視するとは意外です。

アーツ 今は少しはマシになったのかもしれませんけど、僕が若かりし頃のオランダは本当に治安が悪かったんですよ。当時は夜の街でセキュリティーのバイトをしていたんですが、身近で人が撃たれるなどの物騒な出来事が毎日のように起きていました。自分だけならいいですけど、子どもたちが心配で……。だから、子どもたちにも学校を卒業したら日本に移り住むよう勧めています。娘は乗り気ですが、息子は最近オランダで恋人ができたみたいなので、日本には住まないかもしれませんね(笑)。

――好きな日本文化は何でしょう?

アーツ 「人を敬う心」でしょうか。知らない人に道を聞いても親切に教えてもらえるし、行列に割り込まれることもない。本当に住みやすい国だと思います。

――好きな日本食は何でしょう?

アーツ なんでも好きですが、特に牛肉が好きですね。

――高級なお肉ばかりを食べているのでは?

アーツ いやいや、そんなことはないですよ。吉野家の牛丼も美味しくて好きです。あとは、うどんも好き。つるとんたんのうどんが特にお気に入りです。

――お箸も難なく使えますか?

アーツ はい、もちろん。1992年から日本に来ていますから、さすがに慣れました。

――飲食店で注文する際などは、日本語で喋るんですか?

アーツ 日本語は、いまだにちょっとしか喋れません。35年も格闘家の現役でいましたから、殴られすぎて記憶力が悪くなってしまったようです(笑)。まあそれでもなんとか、知っている単語をつなぎ合わせてコミュニケーションを取っています。

――好きな日本の都市はどこですか?

アーツ 沖縄ですね。東京だと渋谷が好き。昔は六本木も好きでしたが、今はそうでもないかな。僕が年を取ったから、しっくりこなくなったのかもしれません。若い頃は浴びるほど飲んでいたお酒も、最近はめっきり飲まなくなりましたからね。忙しい毎日が続いているので、二日酔いになるのを避けたいんです。それにしても日本人はすごくお酒が好きですよね。昼間から若い女性がお酒を飲んでいる姿を見る度に驚きますよ。

――オフの日は何をして過ごすことが多いですか?

アーツ 家でじっとしているのが苦手なので、友人と会ったり、外に行くことが多いですね。サウナやスパに行くのも好きです。オランダのサウナは男女混浴ですが、日本は男女別なので気楽でいいですね。でも先日、後楽園のラクーアに行ったら、「お、ピーター・アーツだ!」と、裸のまま大勢のお客さんに囲まれてしまい、大変な思いをしました(笑)。

――日本での知名度の高さを物語るエピソードですね。そんなアーツさんも協力したBreakingDownが日本で人気ですが、あの大会を現場で見て何を感じましたか?

アーツ 試合はみんな本気ですけど、その他の部分はエンタメ要素が強いと感じました。また、試合そのもののレベルはおしなべて低いですが、1分間で勝負を付けるというアイデアはとても面白いと感じました。なのでそこからヒントを得て、僕の大会でも初心者や未経験のアマチュアファイターは「90秒間」で戦わせてみようと考えています。とはいえ、BreakingDownのような乱闘要素は取り入れません(笑)。安全と礼儀を重んじて、経験の浅い選手にはヘッドギアやレガースを装着させますし、礼に始まり礼に終わる日本武道の精神で戦わせたいと思います。

“90秒マッチ“に出場するRyo。普段はパーソナルトレーナーやモデルとして活躍しており、試合形式の格闘技に挑むのは初体験だが、「自分がどれだけできるのか楽しみで仕方がない。もちろん楽しむだけじゃなく、結果も出したいですね」と語る。本業に影響が出ることを不安視しているかと思いきや、「やるかやられるかの覚悟はできています」と、甘いマスクに似合わず肝の据わった発言も。

――『Road to LEGEND』という名にふさわしい、逸材が見つかるといいですね。

アーツ はい、とても楽しみです。若くてやる気のある選手は強くしてあげたいですし、そのためのチャンスも用意してあげたいです。7月15日にもっと大きな大会を予定していますので、そこにつながる選手かどうかを、まずは3月の大会で一人ずつよくチェックしたいと思います。ちなみに今、ヨーロッパやアメリカでは日本人の選手が人気で、「いい選手を紹介してほしい」と方々から頼まれている状態でもあるんですよ。

――それはどういう意味での人気なのでしょう?

アーツ 海外の多くの団体は日本とのコネクションがないため、日本人選手の価値が高いんです。だから僕がパイプ役になって、いい日本人選手をこれからたくさん育成し、ゆくゆくは海外に送り込みたいと考えています。日本人はフライ級などの軽量級には強い選手がたくさんいますが、85kg以上になると人材不足ですね。そういえば7月の大会には、“ターザン”の異名を持つディアン・デ・ヴリーズというオランダ人のキックボクサーが85kg級で参戦予定です。彼は22歳と若く、世界的にはまだ無名ですが、20戦20勝18KOという戦績を誇り、KOはすべて1ラウンドという猛者です。四つん這いで入場するなどパフォーマンスも面白く、スター性がとてもあるんですが、このターザンと戦ってくれる日本人がなかなか見つからないのが悩みの種です。みんな試合映像を見ると断るんですよ。こりゃ勝てない、と。だから、ターザンと渡り合えるような日本人を探すのも僕の急務と言えますね。

――日本に育成環境はお持ちですか?

アーツ 今は人のジムを借りている状況ですが、今年中にどうにか自分のジムを作れるよう奔走しているところです。

――K-1時代のレジェンドたちとの協力体制は整っていますか?

アーツ まず3月24日の大会には、ボブ・サップが弟子と共に見に来てくれます。そして7月15日の大会には、セミー・シュルトの弟子が参戦予定で、ジェロム・レ・バンナも弟子を連れて来てくれる予定。ミルコ・クロコップは本業が忙しいため現在は保留中ですが、アーネスト・ホーストやサム・グレコとも密に連絡を取り合い、協力関係を築いています。

――アーツさんの経験や人脈がこれから大きく花開くことを祈っています。最後に読者へメッセージをどうぞ。

アーツ 僕は『LEGEND』を1年や2年で終わるような大会ではなく、長いスパンで続けていくつもりです。最初は小さい大会から始めて、少しずつ規模を大きくしていき、いつか世界へとつなげていくのが理想です。正式な契約選手はまだいませんし、いろいろと手探りの部分も多いですが、とにかく始めないことには何も実現しません。3月24日の大会が新たな伝説の第一歩となるかもしれませんので、会場やU-NEXTで目撃者になってもらえたら嬉しいです。

(取材・文=岡林敬太/通訳=鬼柳みどり/撮影=二瓶彩)

『Road to LEGEND』
日時/2024年3月24日(日)開始・14:00 開始・14:30
会場/横浜大さん橋ホール
中継/U-NEXT
https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000004772
チケット販売/イープラス
料金/SRS席 50,000円 RS席 10,000円 A席 5,000円 自由席 3,000円
https://eplus.jp/sf/detail/4047090001-P0030001P021001?P1=1221 
LEGEND公式サイト
https://legendbypeteraerts.com/

岡林敬太(ライター)

風俗情報誌の編集、実話誌の暴力団担当記者などを経て、ライターに。瓜田純士のYouTubeチャンネルのカメラマンも務める。

最終更新:2024/03/17 14:07
ページ上部へ戻る

配給映画