ヤーレンズが新パーソナリティに決定! ニッポン放送『ANN』は流動性を取り戻せるか
#ヤーレンズ
14日、ニッポン放送の深夜ラジオ「オールナイトニッポン」ブランドの2024年度ラインナップ発表会見が行われた。注目の1時~3時『オールナイトニッポン』枠では月曜を担当していたAdoに代わって、俳優・山田裕貴が『オールナイトニッポンX』から昇格した以外は星野源(火曜)、乃木坂46(水曜)、ナインティナイン(木曜)、霜降り明星(金曜)、オードリー(土曜)がいずれも続投。
3時スタートの『オールナイトニッポン0』枠は月~金の全員が続投となったが、土曜の月1パーソナリティが日向坂46・松田好花の『X』への昇格を受けてヤーレンズが担当することになった。
昨年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で準優勝したことで一気にメディアへと躍り出たヤーレンズにとっては、初のキー局でのレギュラー枠。この日の会見でも持ち前のトークで会場を盛り上げていた。
ヤーレンズは1月13日深夜に同時間帯で単発での『オールナイトニッポン0』を担当。通常、『オールナイトニッポン』ブランドでは数度のお試し単発起用を経てのレギュラー採用となるが、お試し1回でのレギュラー獲得は快挙といえる。
ヤーレンズのラジオスタイルは独特である。先のお試し回でも、冒頭に楢原真樹が「(前枠の)オードリーさん、おつかれさまでした」で入るところ、「ジャスティン・ティンバーレイクさん、おつかれさまでした」とボケると、なぜか話題はジャスティン・ビーバーから野生のビーバーへ、さらにジャスティン・ガトリンに戻るとアサファ・パウエルからパウエル国務長官へと飛躍する無軌道ぶり。都合2時間のうち、大半をこうした無意味なワードの連想に費やした生放送は多くの深夜ラジオリスナーに歓迎され、大きな反響を呼んだ。
翌月22日にはCBCラジオでパンサー・向井慧がパーソナリティを務めている『#むかいの喋り方』を休暇中の向井の代役として担当し、またしても、まったく意味のない2時間を演出。「ヤーレンズのラジオ=無意味で無軌道」というストロングポイントを強烈に印象付けている。
毎年『M-1』や『キングオブコント』(TBS系)から実力のある若手芸人が次々と輩出される現在のお笑い界において、キー局の深夜ラジオ枠争奪戦は激化の一途をたどっている。
『オールナイトニッポン』ブランドでは、今年だけでもヤーレンズのほかに紅しょうが、ぱーてぃーちゃん、そして『M-1』新王者となった令和ロマンが単発を担当。それぞれに個性を発揮し、存在感をアピールして見せた。
だが、レギュラー枠を求める若手たちにとって、そのチャンスは狭まるばかりだ。かつては1~2年でパーソナリティが交代していた2部枠(現在の『ANN0』枠)でも、徐々に“長寿番組”が定着しつつあるのが現状である。
その裏には、ラジオという媒体そのもの収益構造の変化がある。CMによるスポンサー収入の減少を受け、ニッポン放送はイベントなどの放送外収入獲得に力を入れるようになった。先月18日に東京ドームに5万3,000人を集めたオードリーを筆頭に、『ANN0』枠でも水曜の佐久間宣行や木曜のマヂカルラブリーが東京国際フォーラムで5,000人規模のイベントを成功させている。また、金曜の三四郎は21年4月に番組公式ファンクラブ「バチボコプレミアムリスナー」を設立。月額550円の会員数は翌22年の時点で5,000人を超えており、毎月数百万円の収入を番組にもたらしていることになる。
こうした番組と紐づいたイベントやファンクラブの運営には、固定ファンの存在が必須となる。結果、パーソナリティの流動性を失っていくのは摂理ともいえるだろう。
『ANN』の2部といえば、かつては「わけのわからない人材」の発見の場だった。そんな時代を懐かしみながら、今はヤーレンズの初回放送を待ちたい。
(文=新越谷ノリヲ)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事