弁護士芸人・こたけ正義感の「賞レースリーガルチェック」は『R-1』お抹茶問題をどう斬ったか
#こたけ正義感 #お抹茶
『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)や『キングオブコント』(TBS系)など、大きな賞レースの後の楽しみのひとつになっているのが、現役弁護士でもあるピン芸人・こたけ正義感がYouTubeで公開している「リーガルチェック」動画だ。
披露されたネタを現役芸人の立場から詳しく分析しつつ、そのネタの中にあるセリフや行動を抽出して違法行為にこじつけ「失格」と断じるトークは回を重ねるごとにファンを増やし、「これがないと賞レースが終わった気がしない」という声も上がり始めている。
毎回、問題がないネタに対して、弁護士としての専門的な法律知識を用いて違法行為に「こじつけ」ていくところが持ち味の動画だが、9日に放送された『R-1グランプリ』(フジテレビ系)を取り上げた今回は、公開にあたってにわかに緊張感が走ることになった。
問題は、8番目にネタを披露したトンツカタンお抹茶の「かりんとう車」である。放送直後からX(旧Twitter)のトレンドに入るなど、最下位ながら大きな話題を呼んだ「かりんとう車」だったが、のちに楽曲の不正使用が発覚。配信されていたTVerから動画が削除され、所属するプロダクション人力舎とお抹茶本人が謝罪を公表するに至っている。
すでに当事者同士は和解しており、原曲の作曲者が新たにお抹茶に「かりんとう車」用の曲を書き下ろすことで解決を見ているが、「弁護士芸人がネタをリーガルチェックする」というドンピシャな企画に、こたけがどんなアンサーを示すのかに注目が集まっていた。
今回も1組目の真輝志からエンジン全開のこたけ。「軟式ラグビー」というワードに対して、ラグビーというスポーツの歴史を紐解きながら「ラグビーはすべて軟式であり、硬式ラグビーは存在しない」と論を展開。視聴者に誤解を与え、ラグビーのイメージを損なわせたとして「偽計業務妨害罪」で失格とした。
その後もルシファー吉岡は「債務不履行」、街裏ぴんくはウソをついて利益を得ているので「詐欺罪」など続々と出場者と失格させていくこたけ。
問題のお抹茶に対しては、トリオながらピンでのネタは「天才だ」と評価。しかし、かりんとうの車が自動車としての保安基準を満たしておらず、「道路運送車両法」に違反していると指摘。かりんとう車を「違法な改造車」であるとして失格を言い渡した。
ここまでは通常の「おもしろリーガルチェック」だったが、9人目のどくさいスイッチ企画への指摘の前に、別日に収録したと思われる動画が差し込まれる。
「今、緊急で追加の撮影をさせていただいてます」
そう切り出したこたけは、お抹茶の不正楽曲使用問題について語りだした。
いわく、お抹茶はフリー音源のBGMをそのまま流して歌詞を乗せたのであり、著作権法の見地では「改変を加えていない」ので、利用許諾さえ取っていれば同一性保持権を侵害するものではないと解説。楽曲の著作権法上は違法ではないとし、「著作権に詳しい先輩弁護士にも確認を取りました」とテロップでも補足していた。
ただし、法的には問題なくても楽曲サイトの利用規約に違反していたことは「ダメ」と断言したうえで、「ああいう規約があるってことにびっくりしました」「あれは見落としちゃうかも、と思いましたね」と、専門家としての印象を語った。
「ダメはダメですけど、決していいこととは言ってません」と念を押しながら、視聴者に正しい理解を促そうという強い意志が感じられる動画だった。
こたけ正義感は自らの長所を生かして人気コンテンツを作り上げ、有事があればその中で自らにしかできない役割を果たしている。しかも、ちゃんとおもしろいのである。
来年は2度目の『R-1』ファイナル進出を果たし、ともに戦ったメンバーをバサバサと失格にしていくこたけの姿が見たいものだ。
(文=新越谷ノリヲ)
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