「山口組分裂問題」が起こした惨劇か…“親子”関係にあった男性を殺した池田組若頭の暴発
#六代目山口組 #神戸山口組 #池田組
六代目山口組から神戸山口組が分裂し、その神戸山口組から独立する形で、現在は岡山県を本拠地として一本独鈷の運営を続ける池田組。その池田組にとって、若頭という役職は鬼門となっているのかもしれない――。
日本最大ヤクザ組織の六代目山口組が分裂したのは15年8月のことだが、分裂問題は解消しないままだ。
この間、神戸山口組から絆會(当初は任俠団体山口組)が離脱し、さらには池田組、そして二代目宅見組も神戸山口組を後にした。勢力が衰退し、山口組との力の差は歴然としながらも神戸山口組は解散はしていない。しかし発足当初のように、六代目山口組との対抗姿勢を示しているかといえば、そうではないと業界関係者は口を揃える。
「山口組と事を構える力は残っていない。だが、神戸山口組の井上邦雄組長が『たとえ1人になっても解散しない』と宣言している以上、分裂問題は解決していない。逆に言えば、井上組長が引退すると言えば、神戸山口組は解散するということになるだろう。だが、そこからさらに派生した絆會や池田組は、井上組長が引退しても、同じように解散することはないはずだ。それが分裂問題を長期化させている一因と言えるのではないか」
そんな神戸山口組が誕生し、最初の犠牲者となったのは当時、同組織の傘下であった池田組の若頭であった。16年5月に、池田組で若頭を務めていた幹部が六代目山口組系組員によって射殺され、20年には後任となった前谷祐一郎若頭も六代目山口組系組員に銃撃され、重傷を負っている。
その前谷若頭が起こしたのが、今年1月に愛媛県のスターバックスコーヒーのテラス席で男性を射殺するという事件だ。射殺された男性と前谷若頭はもともと“親子”関係にあり、山口組分裂によって袂を分けることになった。前谷若頭は男性を射殺した後、現場から逃走したのだが、今月に入り岡山県内の住宅街で逮捕されたのである。
「逃亡中だった絆會の金澤成樹若頭が先日逮捕され、今回は池田組の若頭も逃走後、呆気ないほど簡単に逮捕されてしまった。どちらも独立組織のナンバー2の若頭を務め、本来であれば自らが拳銃を発砲し、殺人事件や殺人未遂事件の実行犯になるのは考えにくい立場です。若頭を失った両組織は今も存在こそしていますが、ここから勢力を拡大させることも考えにくいでしょう」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
ちなみに、事件後の前谷容疑者の潜伏先は、池田組の本拠地である岡山県内であった。それだけに簡単に足がつき、逮捕されてしまったのではないかと前出のジャーナリストは話している。また、ある関係者はこのように話す。
「分裂問題が解決しない限り、池田組などへの特定抗争指定暴力団の指定は解除されない。ただでさえ暴排条例で締め付けられた状態の中にあって、さらに厳しい制限を受けているのが現状。神戸山口組が発足されたとき、その理由の中に『若い組員の将来のために』というものがあったはずだ。それがどうだろうか。六代目山口組から離脱した組織が存続する限り、若い組員たちはいつ走らなければならない(=抗争に参加しなければならない)かわからない。それは離脱した側の組員たちだって同じだ。本当に若い組員のこと、山口組の将来のことを考えるならば、『もうよいのではないか』と思っている組員たちが、どちら側にもいる。結局、現状をみると、15年に起きた分裂劇は六代目山口組のやり方に賛同できない直参が起こした謀反でしかないと言われても仕方ないのではないか」
このまま、山口組を離脱した組織が存続している限り、六代目山口組がその存在をよしとせず、攻撃の手を緩めることはないだろう。それが新たな犠牲者を生む結果になっているのかもしれない。
(文=山口組問題特別取材班)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事