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真田広之、アジア人軽視を乗り越え…正しい日本描いた『SHOGUN 将軍』が世界的ヒット

『SHOGUN 将軍』公式サイト/ディズニープラス公式

 俳優の真田広之が主演とプロデュースを務める米ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』(全10話)が世界的なヒットを記録している。その背景には、作品に対するこだわりやアジア人への偏見によってハリウッド業界人から陰口をたたかれながらも、自分を曲げずに突き進んできた真田の俳優魂があるようだ。

 ディズニープラス(北米ではHulu)で世界配信されている『SHOGUN 将軍』は、ジェームズ・クラベルのベストセラー小説を原作に、日本に漂着したイギリス人航海士(のちの按針)の視点から「将軍」の座を懸けた戦国の世の陰謀と策略を描く。ハリウッド制作のドラマだが、徳川家康をモデルにした主人公・吉井虎永を演じる真田をはじめ、浅野忠信、平岳大、二階堂ふみ、西岡徳馬、蛍雪次朗ら多数の日本人キャストが出演している。

 ウォルト・ディズニー・ジャパンによると、2月末の配信開始から6日間の全世界再生回数が900万回を記録し、スクリプテッド・ゼネラル・エンターテイメント・シリーズ作品として、ディズニープラスの歴代No.1となった。また、辛口で知られる映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で配信開始当初に批評家スコアが驚異の100%となり、現在も99%を維持するなど海外での評価が非常に高い。

 その人気の背景には、徹底して「正しい日本」を描いたリアリティがある。ハリウッドが描く日本というと、忍者や力士がやたらと登場したり、日本と中国を混同していたりといったトンデモ描写が珍しくなかった。

 しかし、今作は日本文化の描写や時代考証、登場人物の所作、言葉遣いなどが完璧な「本気のハリウッド時代劇」になっており、リアルな日本の描き方とハリウッドのスケール感がマッチし、それが海外の視聴者に高評価されているのではと指摘されている。

 そのリアルな描写に誰よりもこだわったのが真田だった。今作の製作総指揮を務めるジャスティン・マークス氏は、日本のテレビ誌のインタビューで、真田と最初に会った時に「どうして今までハリウッド映画が日本を正しく描けなかったのか」を話し合ったと告白。真田の提案で「所作の指導者に参加してもらう」「衣装、メイク、小道具に関しても日本の専門家にしっかりと見てもらう」といった改善案のリストが作られ、それを基に制作が進められたという。その結果、高いクオリティの作品が実現したようだ。

 真田は2003年公開の映画『ラスト サムライ』など過去にもハリウッド時代劇に出演しており、こだわりの強さは当時から昔からあったようだが、以前は好意的に受け入れられていなかったようだ。

 日米で活動する俳優の松崎悠希は、12日付の自身のSNSで「20年間ハリウッドで俳優として活動してきた私がこれまで『ラストサムライのセットでの真田広之』を、ハリウッドの業界人からどう聞かされてきたか。『Hiroyuki Sanadaという小うるさい俳優がいて、セットの雰囲気を乱していた』『Hiroyuki Sanadaは細かすぎて、和を乱す』 うるせえよ馬鹿ども」と投稿。真田は『ラスト サムライ』でも日本の描き方にこだわったとみられるが、当時は業界人に「ウザい」と受け止められていたようだ。

 松崎によると、こうした関係者の当時の反応には、ハリウッドに根強くはびこっている「アジア人差別」「アジア人軽視」も影響しているという。

 おそらく、ハリウッド進出した真田も差別的な扱いを受けたことがあったのだろうが、それにめげずに「正しい日本」を描くリアリティに固執し、評価を積み重ねて『SHOGUN 将軍』の主演兼プロデューサーという立場になり、こだわりを作品に昇華することができたのだろう。

 映画『ゴジラ-1.0』が日本の作品として初めて米アカデミー賞の視覚効果賞を受賞したのと時を同じくして、真田の『SHOGUN 将軍』が大ヒットとなったことで、世界のエンタメにおける日本の扱いが大きく変わっていくかもしれない。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2024/03/13 18:00
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