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『ゴジラ―1.0』のアカデミー賞受賞の快挙と日本アカデミー賞に残る悪しき慣習

『ゴジラ―1.0』のアカデミー賞受賞の快挙と日本アカデミー賞に残る悪しき慣習の画像1
(写真/Getty Imagesより)

『第47回日本アカデミー賞』の授賞式が8日、都内で行われ、映画『ゴジラ―1.0』(山崎貴監督)が最優秀作品賞、安藤サクラの最優秀助演女優賞など、最優秀賞を決定した15部門のうち最多8部門を受賞した。

 同作は、ゴジラシリーズ70周年記念作品。終戦直後の日本を舞台に、列島を恐怖に陥れるゴジラとの闘いを描き、日本では昨年11月に公開され、興行収入60億円を突破した。

 北米では昨年12月に公開され、世界興収は1億ドル(約150億円)を突破する大ヒットを記録。今月11日(日本時間)に結果が発表された米の『第96回アカデミー賞』の視覚効果賞にもノミネート、見事アジア作品初の受賞となった。

 日本アカデミー賞に話を戻すと、安藤は『怪物』(是枝裕和監督)で最優秀主演女優賞も受賞。ほかの主要部門では、最優秀主演男優賞を『PERFECT DAYS』の役所広司、最優秀監督賞を同作のヴィム・ヴェンダース監督、最優秀助演男優賞を『月』の磯村勇人が受賞した。

「優秀主演女優賞ならびに助演女優賞のほかの受賞者4人の演技や作品の話題性を比べても、安藤のW受賞は妥当だった。安藤の日本アカデミーでの最優秀主演女優賞受賞は、これで3度目。まさに、日本を代表する演技派女優にふさわしい受賞だった」(映画業界関係者)

 安藤と並んで、優秀主演女優賞を受賞したのが、『こんにちは、母さん』の吉永小百合で、優秀助演女優賞を受賞したのは同作の永野芽郁。さらに、同作は優秀作品賞、優秀助演男優賞の大泉洋、優秀脚本賞の山田洋次監督&朝原雄三氏など、主要11部門で優秀賞を受賞したが、いずれも部門も最優秀賞の受賞は逃していた。

「昨年9月に公開された『こんにちは~』は、興行収入は11億円程度。公開されてからはさほど話題にならなかった。とはいえ、北野武監督が再三指摘した通り、投票権を持つ日本アカデミー協会の会員には東宝、東映、松竹、KADOKAWAの社員が多く持ち回りとまで揶揄されている。『こんにちは~』は松竹の配給・製作。こうなるのは想定内だった」(映画担当記者)

 山田監督といえば日本映画界を代表する巨匠として知られているが、その作品はこれまで日本アカデミー賞で数え切れないほどの賞を受賞している。だが、今となっては、“悪しき慣習”と見る関係者もいる。

「以前は、何作かに1作の最優秀賞受賞だった山田監督作品だが、近年は新作が出る度に、その公開年度の日本アカデミー賞で複数の優秀賞を受賞し、作品の評価がイマイチでもそれが慣例化している状態。ただ、最近の作品は最優秀賞までは届かず、最後の受賞は『母と暮せば』(15年)での嵐・二宮和也の主演男優賞と黒木華の助演女優賞までさかのぼる。だが、同作の主演は吉永小百合、二宮はなぜか主演枠に入って受賞した。これは山田作品に限らず、日本アカデミー賞で目立つことだが、最優秀賞を受賞させたい際、脇役でも出番が多ければ主演に入れ、受賞させることがたまにある。さすがに協会関係者の中でも『強引に最優秀賞を受賞させなくてもいいのでは』『山田作品は日本映画界発展のために、そろそろ優秀賞の一枠は後進たちに明け渡すべきでは』という声も、少なからずある。もちろん協会の忖度が働いていることも多分にあるのだろうが……」(同)

 悪しき慣習が残る日本アカデミー賞。ただ、山田洋次監督は今年で93歳を迎えるだけに、メガホンを置く日も近そうだが……。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2024/03/13 12:00
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