『R-1グランプリ2024』見どころまとめ「4分ネタ」「最終決戦3人」の影響は?【後編】
#R-1ぐらんぷり
■ベテランからアマチュアまで
今回の『R-1』は、いつになくバリエーションに富んだメンバーとなった。出場芸人はネタ順に以下の通り。
真輝志
ルシファー吉岡
街裏ぴんく
kento fukaya
寺田寛明
サツマカワRPG
吉住
トンツカタンお抹茶
どくさいスイッチ企画
トップバッターの真輝志はファイナル初進出。漫才コンビ「きんめ鯛」解散後はピン芸人としてよしもと漫才劇場でネタを磨いてきた。昨年の王者である田津原理音と定期的なツーマンライブを行っているだけに、誰よりもその“勝ち方”を目の当たりにしてきた芸人といえるだろう。4年連続の準決勝を経て、トップからの優勝を目指す。
今回の『R-1』プロモーションムービーで「人質に取られてるんでね、夢を」の名言を残したルシファー吉岡は、準決勝でのトップ出番という不利をものともせず6度目のファイナルへ。円熟の一人コントは「ネタ時間4分」の恩恵を受けることになりそうだ。
東京地下ライブ界隈で絶大な支持を受ける街裏ぴんくは芸歴20年目にして初のファイナル。決勝進出者発表の際に、芸人仲間からもっとも大きな祝福を受けていたのが印象的だった。過去、純然たる漫談家として『R-1』を制したのは10年のあべこうじと18年の濱田祐太郎という2人のみ。その話術に酔いしれたい。
この春、よしもと漫才劇場を卒業し、上京が決まっているkento fukayaは21年、22年に続いて3回目のファイナル。昨年は芸歴制限にひっかかって不出場だったことから、実質3年連続となる。タイミングとしても、ここで勝てば大きな飛躍が見込める大チャンスだ。
4年連続4回目のファイナルとなったのは、昨年3位の寺田寛明。『R-1』に出るために芸人になったという生粋のピン芸人は、憧れの審査員・バカリズムの前でマセキ芸能社に初の賞レースタイトルをもたらすことができるか。
昨年の『R-1』で10年のラストイヤーを終え、記者会見で「芸歴制限撤廃」を叫んだサツマカワRPGも3年連続3回目のファイナル進出だ。思惑通り制限が撤廃され11年目もエントリーしてきたが、ファイナルまで残ってきたのは有言実行といったところ。「ストーリーギャガー」とでもいうべき独自のスタイルで突き抜ける可能性は十分にある。
20年の『THE W』(日本テレビ系)王者、22年『R-1』3位の吉住は今回、唯一の女性ファイナリストとなった。過去、『THE W』と『R-1』の2冠を制したのは、ゆりやんレトリィバァただ1人。テレビバラエティにも定着しつつある中で、もう一度ネタの強さを見せたいところだろう。
今回、台風の目になりそうなのが、トンツカタン・お抹茶だ。トンツカタンといえば、ツッコミの森本晋太郎ばかりが先行し、それ以外は「じゃないほう」だった時期が長いが、お抹茶は改名を経てピン芸人として覚醒。つかみどころのないキャラクターと狂気をはらんだネタでトリオ内序列逆転を目指す。櫻田もがんばれ。
今回22回目も迎える『R-1』で、初のアマチュアファイナリストとなったのが、どくさいスイッチ企画。くじ引きの結果まさかのトリ出番となったが、その実力は折り紙付き。平場ではおどおどしっぱなしだが、ネタに入ると目の覚めるような芝居を見せる1人コント師だ。アマチュアとして初出場初優勝を果たしても決して不思議ではない。
以上9名、コントあり、漫談あり、ギャグあり、フリップありの無差別バトルロワイヤルとなった。
■進行は大丈夫か
MCは引き続き霜降り明星と広瀬アリス。芸歴制限が撤廃され、霜降りにとっても先輩が出場する大会のMCとなるが、この2人に限ってはそこは問題ないだろう。
審査員も昨年とまったく同じ、バカリズム、小藪千豊、マヂカルラブリー・野田クリスタル、ハリウッドザコシショウ、陣内智則の5人。ファーストステージで100点満点の採点を行い、上位3組の最終決戦は投票制となる。
『R-1』といえば、避けて通れない話題が、やはり進行トラブルである。昨年はリハーサルで使用した「田津原理音470点」のデータが本番で誤って表示されてしまい、偶然、その後に登場した田津原が470点を獲得して優勝したことから“出来レース”疑惑が取りざたされたし、過去にはTwitter投票が表示されなかったり、ゆりやんのネタが2回放送されたり、審査員コメントの一切ない回があったり、運営側の不手際は枚挙にいとまがないところだが、年々安定してきていることも確か。
今年は生放送時間が2時間から2時間30分に拡大され、ネタ本数は昨年のファーストステージ8、最終決戦2の計10本から、ファーストステージ9、最終決戦3の計12本に増えることになる。しかもネタ時間が3分から4分に延長になっているので、純粋なネタ時間だけでも30分から48分に増えることになるが、運営側には万全な体制を期待したいところだ。
優勝賞金は500万円。賞金も栄誉も『R-1』ではもちろん、独り占めだ。
(文=新越谷ノリヲ)
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