目黒蓮、キリンが直接契約で広告起用を再開…「罪なきタレントの人権尊重」で流れ変わる?
#目黒蓮
キリンホールディングスが7日、ジャニーズ性加害問題の影響でストップしていたSnow Man・目黒蓮の広告起用について声明を発表。目黒と直接契約を結ぶ形で、昨年6月からの「キリン 午後の紅茶」の広告へ継続起用するとともに、新たに「キリンビール新商品」の広告に起用する予定だと公表した。同社は「問題に直接関与のないタレントに活躍の機会が与えられないことは、タレントの人権を尊重する観点で悪い影響がある」との考えを示し、広告業界における「旧ジャニーズ排除」の流れが大きく変わる可能性が浮上している。
同社は公式ホームページに掲載した声明で、「今年度の広告計画について当社内で議論を重ねた過程で、目黒さん本人とも対話の場を持ち、当社グループ会社の広告に対して情熱を持ってブランドの価値向上に取り組んでいただいていたことや、これまでの実績だけでなく、目黒さんの誠実な人柄、俳優としての唯一無二の魅力、商品や当社のイメージとの親和性を再確認しました」と、継続起用に至った経緯を説明した。
続けて、旧ジャニーズ事務所について「企業としての再発防止も含む人権尊重の取り組みが実施され、 第三者から見てそれが有効に機能している状態になるまで新規契約を締結しない、という昨年9月に決定した方針に変更はありません」とし、対応に変わりはないと強調。
その一方で「この問題に直接関与のないタレントに活躍の機会が与えられないことは、タレントの人権を尊重する観点で悪い影響が生じてしまうことも懸念しています」としており、これが目黒の起用継続の決定打になったといえそうだ。
ジャニーズ性加害問題をめぐっては、所属タレントを起用していたスポンサー企業が相次いで「起用見送り」を表明。この各企業の対応については、ファンから「罪のないタレントの活躍の場を奪うのは別の人権問題になる」といった指摘もあった。
実際、2022年に政府が策定した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」では、取引停止は「最後の手段にすべき」と明示されている。その理由としては「(取引停止は)自社と人権への負の影響との関連性を解消するものの、負の影響それ自体を解消するものではなく、むしろ、負の影響への注視の目が行き届きにくくなったり、取引停止に伴い相手企業の経営状況が悪化して従業員の雇用が失われる可能性があったりするなど、人権への負の影響がさらに深刻になる可能性もある」と説明され、関係を維持しながら負の影響を防止・軽減するよう努めるべきとしている。
キリンの今回の判断は、まさにこうしたガイドラインに沿ったもので、罪のないタレントが理不尽な不利益を被らないように企業は留意しなくてはならないという立場を取ったといえる。
また、一部では「海外企業は日本以上に人権問題に厳しいので旧ジャニーズ系タレントはもう起用されないだろう」といった見方があったが、目黒は2月にイタリアの高級ブランド「フェンディ」のジャパンメンズブランドアンバサダ-に就任。さらに、ドイツ発のスポーツブランド「プーマ」はSnow Manをアンバサダーに起用している。やはり、海外においても「タレントに罪はない」という考え方の企業は少なくないのだろうと推測される。
タレントとの直接契約などで起用継続を表明した企業は他にもあるが、日本を代表する大企業であるキリンの判断は影響が大きく、これに続く企業が続出する可能性がある。もしそうなれば、旧ジャニーズをめぐる情勢が大きく変わりそうだ。
一方、キリンと同じ飲料大手であるサントリーホールディングスは「旧ジャニーズ排除」の立場を崩さず、その代わりにNumber_iの平野紫耀や「新しい地図」の香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎ら“辞めジャニ”の広告起用が目立っている。
経済同友会の代表幹事でもある同社の新浪剛史社長が、会見で「ジャニーズのタレントを起用することは、子どもの虐待を認めることになり、国際的な非難を浴びることになる」などと発言したことをきっかけに各スポンサー企業の旧ジャニーズ離れが加速した経緯があり、当面はその立場を覆すことはないとみられる。
今後は「右へならえ」の対応ではなく、企業によって判断が分かれることになりそうな「旧ジャニーズ起用」問題。旧ジャニーズからマネジメント業務を引き継ぐ新会社「STARTO ENTERTAINMENT」が4月より本格稼働する予定だが、再スタートを前に徐々に追い風が吹いてきたのかもしれない。
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