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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『CDTV』2時間レギュラー枠に拡大するTBSの狙い

音楽番組苦境の中で…『CDTV』2時間レギュラー枠に拡大するTBSの狙い

TBSテレビ/『CDTV ライブ! ライブ!』公式サイト

 TBSは5日、4月期の改編で音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』の放送枠を1時間拡大し、月曜午後7時からの2時間レギュラー番組にリニューアルすると発表した。毎週2時間生放送の音楽番組というのは異例で、なおかつ同番組は低視聴率の慢性化で「打ち切り候補」とも噂されていたことから驚きの声が上がっている。

 現在、月曜午後8時からの1時間枠となっている同番組。しかし、実際は2時間スペシャルとして放送されることが最近は多く、今回の編成で正式に2時間枠となる形といえそうだ。同局は「他局にはできないこと、他がやらないことをチャレンジしていくという大きなチャレンジ」「他では見られないライブを毎週お届けできるように頑張っていきたい」などと意気込んでいる。

 時間拡大の背景には、同じ月曜の午後7時台に放送されていたバラエティ番組『アイ・アム・冒険少年』の打ち切りがある。3月4日放送分が最終回だったというが、番組内で終了の告知はなく、かなり急だったことがうかがえる。空いた枠を埋めるために「生番組の時間拡大」という方法が選ばれたとも推察されているようだ。

 『CDTVライブ!ライブ!』は、地上波の音楽番組としては珍しく「フルサイズ歌唱」を売りにしており、アーティストとスタッフがこだわって作り上げるライブステージ演出なども高評価を得ている。時間の拡大によってその傾向はより強まるとみられ、ネット上では「CDTVはフルサイズ歌唱だから信頼できる」「時間拡大するの楽しみ」などと期待の声が集まっている。

 しかし、業界内における今回の発表への反応は「驚き」のほうが強いようだ。それというのも、かねてから同番組は視聴率の低迷が指摘されており、以前より「打ち切り有力候補」などと噂されていたためだ。実際、Snow Man、INI、櫻坂46、SKY-HI、三浦大知らが出演した2月12日の2時間スペシャルは平均視聴率が個人3.6%、世帯5.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、ゴールデンの特番としてはかなり寂しい数字だった。

 同番組に限らず、近年は音楽番組の苦境が目立っており、昨年9月に森高千里らの司会で長らく親しまれたフジテレビ系『Love music』が終了したほか、テレビ朝日系の老舗番組『ミュージックステーション』も打ち切りの噂が絶えない。TBS系の『音楽の日』、フジテレビ系の『FNS歌謡祭』などフェス形式の大型特番はそれなりに高い視聴率を獲得できるが、レギュラー番組の命運は風前の灯火という印象だった。

 そんな中で、TBSが「レギュラー音楽番組の時間を拡大する」という方針を打ち出してきたのは意外だ。業界内では、この戦略の最大の狙いは「コア視聴率の獲得」だと推察されている。

 コア視聴率とは、局によって定義は違うが大まかにいうと13歳~49歳の視聴者に絞った視聴率のこと。この年齢層は消費活動が盛んであるため、スポンサーにとって「CMを見てほしい世代」に当たる。そのため、近年は世帯視聴率が重視されなくなり、コア層に届くかどうかがスポンサーにとっての番組の価値となっている。

 TBSは改編説明会で「音楽番組は視聴率が取れない」との指摘に対し、「今では若い層にしっかりリーチしている」と回答しており、音楽番組がコア視聴率獲得の大きな武器になると踏んでいるようだ。だからこそ、時間拡大という決断を下したのだろう。時間拡大後は若者層を意識したキャスティング傾向が強まりそうだ。

 また、以前の『CDTVライブ!ライブ!』では旧ジャニーズ系グループなどが見逃し配信でカットされていたが、現在はノーカット配信が解禁されており、急激に重要度が上がっている「見逃し配信の再生数」も期待できる。

 ただ、最近の若者層は気になるアーティストがいればYouTubeやSNSでチェックするため、コア層に刺さりそうな出演者をそろえたところで音楽番組に関心を向けてくれるかどうかは不透明な部分もある。

 「逆張り」ともいえそうな、TBSの戦略は吉と出るのか凶と出るのか注目だ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2024/03/06 18:00
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