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日刊サイゾー トップ  > BL小説『ボクキミ 』1-1

新堂冬樹 連載BL小説『ボクはキミと結婚するためならアイドルをやめてもいい』1-1

「さあさあ、星屑たち! サビに行くわよ!」

    マカロン譲二が両手を叩いた。

「トレヴィ泉の伝説が本当なら~、僕はコインを投げよう~」

    右斜め前⋯⋯颯が歌いながら矢を放った。

「言霊が本当なら~、僕は何百回でも繰り返し言うよ~」 

 左斜め前⋯⋯今度は蓮が歌いながら矢を放った。

 颯と蓮が、華麗なステップを踏みながら後方に下がってきた。

 いよいよ、自分の番だ。

 蒼の鼓動が、アップテンポのリズムを刻み始めた。

「何度生まれ変わっても、億千の星の中から君を探し出して⋯⋯」

 二人と入れ替わるように、ステップを踏み歌いながら前に出てきた蒼はバランスを崩し尻もちをついた。

「ストップ! ストップ! ストーップ!」

   マカロン譲二が、金切り声で言いながら音楽を止めた。

「蒼ちゃん、曲の一番の見せ場でなにやってくれちゃってるの!?  颯ちゃんでも蓮ちゃんでもなく、歌もダンスも一番劣るあなたがデビュー曲のセンターに選ばれた理由はわかってるでしょう!? ス・ポ・ン・サー! あ・ら・ま・き・ふ・と・し! ね!? わかってるわよね!? お・き・に・の・ひ・い・き!」

   マカロン譲二が腰を屈め、蒼に顔を近づけて加虐的な言葉で責め立てた。

 荒巻太は広告代理店「世界堂」の専務取締役であり、「サクランボーイズ」のスポンサーだ。

 ユニット名をつけたのも、蒼をセンターに抜擢したのも荒巻だった。

 弱小プロダクション所属のインディーズアイドルにとって、大手広告代理店の役員兼スポンサーの荒巻は天皇⋯⋯いや、神様だ。

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