五輪汚職・高橋治之の独白、財界の大物が語るトヨタ、松本人志への女性たちの猛反論ほかスクープ10本

2024/02/14 18:30

文＝元木昌彦（編集者）

#週刊誌スクープ大賞

文春が放つスクープインタビュー

　今週の第1位は、文春が奪還した。それも特大が付くほどのスクープインタビューである。

　さぞ、新聞記者は臍を噛んでいることだろう。なんで文春なんだと。

　読んでもらえばわかるが、高橋治之が文春を選んだ理由は、「自分のいい分をそのまま載せてくれる媒体が文春だった」のだと思う。

　新聞もテレビの記者も、事件の被告である人間のいい分をそのまま載せれば、検察からクレームが付き、下手をすると出入り禁止になるかもしれないと怯えるのだろう。

　だが、もちろん、文春が聞くべきことを聞いていないわけではない。そこの微妙な空気感は文春を手にとって見て見るといい。

　さて、高橋はこう話しだしている。

「森さんから『あなたはマーケティング担当理事です』なんて言われたことは一度もありません。森さんが勝手なことを言っているだけ。委任の契約書にも、職務について何も明記されていない。つまり、職務権限のある『マーケティング担当理事』なんてものは存在しないんです。森さん、本当のことを言ってください」

　一昨年の8月に東京五輪の受託収賄事件で逮捕され、9月に起訴された五輪組織委員会元理事の高橋治之被告(79)。

　合計1億9800万円を受け取ったとして起訴された高橋だが、一連の裁判では、既に贈賄側の「AOKIホールディングス」の青木拡憲会長や、広告大手「ADKホールディングス」の植野伸一元社長らが罪を認めて有罪判決が確定している。

　しかし、高橋は、受け取った金銭は「民間のコンサルティング業者としての報酬であって、賄賂ではない」として無罪を主張している。

　裁判で最大の争点となっているのは、職務権限の有無だという。高橋の職務に「スポンサー集め」が含まれなければ、受託収賄罪は成立しない。

　検察側は高橋が「マーケティング担当理事」として、スポンサー集めに関する職務権限があったと主張し、贈賄側の判決でもこれが認められた。

　だが、一方で高橋側は、検察の主張の最大の根拠が、検察側が証拠提出した、組織委員会の森喜朗元会長(86)の供述調書だと訴えている。

　森はここで高橋について「スポンサー集めなどのマーケティングを担当してもらうことにした」と説明しているという。しかし、高橋は冒頭のように、やるせない思いを口にするのだった。

――招致委員会から高橋氏の会社に多額のコンサル料が振り込まれていた。

高橋　招致活動をする時には、当然、渡航費などの経費がかかる。招致委員会にそうした予算はいくらあるのか聞いたら、「ゼロ」というんです。「お金は集めてください」って。それで、一社二億一千万円の協賛金を集めるパッケージを作って、色んな企業に声をかけた。僕だけで約二十五億円集めました。そのうちの三十%は僕の招致活動費に使うという契約を交わしていたので、七、八億円くらいが僕の会社「コモンズ」に振り込まれました。

　そうしたお金について「関係者に根回しするために、裏金として渡したんだろう」なんて言われるけど、裏金なんて使う必要はないんです。ではお金は何に使うかというと、招致活動で海外に行く際、デジカメや家電、セイコーの時計とかを、手土産として買う。成田空港の免税店でね。セイコーは免税店で買ったほうが安いんですよ。

　僕は納税もきちんとしていたし、税務署が来たら困るから、領収書も全て揃えていた。使途が不明なお金は一円もありません。

　森との付き合いはそう古くはないようだ。2019年に行われたラグビーワールドカップの日本招致からだという。

　電通はJOCと近い反面、体協や森との付き合いはさほどなかったそうだ。

　五輪招致に協力してくれと頼んできたのは安倍晋三首相だったという。

　安倍との約束に加えて、組織委員会の森という2人の元首相という後ろ盾があったはずだったが、東京五輪開催翌年の2022年に状況が一変した。

　東京五輪をめぐる東京地検特捜部の本格的な捜査が始まったのだ。前年には安倍の後を継いだ菅義偉政権も退陣し、岸田文雄政権になった。

　そして、安倍の急死から12日後の7月20日、読売新聞が高橋について、「五輪組織元理事4500万受領か」と報じたのだ。

――自身が「見なし公務員」で、スポンサー企業からお金を受け取ることで刑法上の罪に問われる恐れがある認識はあった？

高橋　僕が理事になった十四年時点では組織委は一般財団法人でしたが、翌十五年に「オリ・パラ特措法」ができて、組織の理事は公務員とみなす、いわゆる「みなし公務員」となることが決定したといいます。でも、この変更について組織委からの説明は何もなく、紙っぺらが送られてきただけ。それも色んな書類に紛れて全く記憶に残っていませんでした。

　こんな重要なことを「記憶にない」というのは、そのままは受け取りにくいと思う。

　しかも、たとえ紙っぺらがなくなろうとも、「みなし公務員」という身分は知らなかったで済ませられることではないはずだ。

　文春は、「高橋氏に職務権限があったと主張する検察側の最大の根拠は、森氏の供述。だが、現時点で検察側の証人リストに森氏の名前はない。そのため、高橋氏側は、「森氏を法廷に呼ぶべき。裁判官も検察側に促してほしい」旨を主張したのだ。しかし、裁判官は明確な方針を示すことなく、1月31日の公判は終了したという。

　高橋は最後まで戦うと話す。

「人質司法はひどいけど、それを言っても始まらない。僕が無罪を勝ち取ればいい。長い戦いになるけど、最後まで諦めません。各企業には『うちは五輪の仕事をやりました』って胸を張ってほしい。そのためには森さんに法廷に出てきて、本当のことを言ってほしいです」

“巨悪”ともいわれる森喜朗だが、戦後史に残るドンといわれる歴代の巨悪に比べて、森は賢そうにも悪辣にも見えない。

　そこが森の“強味”なのかもしれない。今回もまんまと検察の手を逃れて、超高級老人ホームでのうのうと暮らしていくのではないか。

　それが森喜朗という人間の凄さなのかもしれない。そんなことを読みながら考えた。（文中一部敬称略）

【巻末付録】
　現代から。
「グラビア文学館　ゲーテ『若きウェルテルの悩み』蓼沼優衣」「奥村利穂　神が与えし果実」

　ポストから。
「人気AV女優が告白　本当にあったHなバレンタイン体験」
　袋とじ「矢埜愛茉/元・日テレジェニックが脱いだ！」
　袋とじ「独占入手　紗倉まな　推したいハダカ」「林ゆめ　くびれの絶対女王」「林田百加　眩しい鋭角撮　令和のハイレグ姫」

　私の一推しは矢埜愛茉だな。愛茉（えま）と読むそうだ。清純そうでHな肢体がまばゆい！　一見の価値あり！