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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『水ダウ』松本不在を感じさせた場面

『水曜日のダウンタウン』松本人志の不在を感じさせた「2つのエピソード」

2023年予告ドッキリ ほか | TVer

 7日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は、ダウンタウン・松本人志が休業に入って2回目の放送。先週はクロちゃん特集かつ後半部分が生放送企画というイレギュラーだったこともあり、通常回としては初めての“松ちゃんのいない『水ダウ』”となった。

 スタジオには進行役の浜田雅功のほかに、おぎやはぎ・矢作兼と劇団ひとりに加えて女優の鳴海唯と放送作家の野々村友紀子。そして最初のプレゼンターであるバイきんぐ・小峠英二が登場したところで、さっそく松本の不在を思い知らされることになる。

「すっごいハゲてるよねぇ」

「ご老人の方?」

「ち○ぽや!」

 これまで、小峠がプレゼンターとして現れるたびに繰り返されてきた松本のハゲイジリがなく、すぐに「説」に入る。改めて「ああ、松ちゃんいないんだ」と実感させられる番組のスタートだった。

 その後も、あくまで個人的な感想になるが、おとなしいスタジオだったと感じた。おとなしいというのは、笑いが少ない、という意味だ。

『水ダウ』は構造として、松本が頂点にあり、それぞれの企画VTRは「松本に審査される」という位置付けである。プレゼンターの芸人は「松ちゃん、この企画はどうですか?」とプレゼンする立場であり、スタジオゲストはツッコミも含めて、あくまで感想を述べるという範疇から出ない。

 小峠へのイジリはもとより、今回、松本の不在を痛感したシーンが2つある。

 ひとつは、「2023年最もドッキリにかけられた“ダマされ王”に毎年恒例『1週間予告ドッキリ』」説の中でザ・マミィの酒井貴士に仕掛けられたドッキリの内容について。

「出雲」という地名は、実は「ギズモ」と読むというウソを酒井が暴けるかどうかという仕掛けで、酒井がそもそも「ギズモ」を知らないというアクシデントが起こった。これにより、「出雲(ギズモ)」には「水に濡れてはいけない」「夜12時以降は食事をしない」「日中は基本出歩かない」というしきたりがあるという騙しが、騙しとして成立しなくなってしまったのだ。

 酒井はネタバラシを聞かされ「たどり着けなかった~」と悔しそうな表情を見せたが、「ギズモ」が登場する映画『グレムリン』が日本で公開されたのは1984年であり、酒井が生まれる7年も前である。スタッフ側の世代間ギャップへの認識が甘かったことで起こった、番組側のミスだった。

 もうひとつのシーンは、「足つぼ最強トーナメント」の決勝戦で決着がつかず、2人の優勝者を出したこと。これはミスではなく、あくまでガチの勝負をさせた結果だったが、後味の悪さは明らかだった。

「(優勝が)2人はおかしいやろ。トーナメントや言うてんやから」

 スタジオに戻っても、浜田の強めのツッコミをプレゼンターの鬼越トマホークが処理できず、モヤモヤした雰囲気が残っていた。

 こういうとき、おそらく松本は「これをどう見たらいいか」を定義付けていたのだと思う。この現象に対する「笑い方」を視聴者に教えてきていたのだ。

 酒井がギズモを知らなかったことで何が起こったかを端的なワードで表現すること。優勝者が2人になった「足つぼ」をどう楽しんだらいいか、視聴者に提示すること。それを松本が“言ってくれる”という前提で作られたVTRだったということだ。おそらく。

 中途半端な結論に至るVTRがあっても、ミスやアクシデントが起こっても、そのまま流すのが『水ダウ』の面白さではある。物議を醸すことが目に見えている企画でも、「スタジオで松本のエクスキューズが入る」という想定があっただろうし、松本もこれまで『水ダウ』で、その責任を自覚して役割を果たしてきたように見える。前々回、「取材経験のない店」企画でVTR中の芸人が悪態をつきまくったことを受けて、スタジオでさらにひどい悪口を言った松本の立ち回りは、自分を悪者にして企画と参加芸人を守ろうとする動きだったはずだ。

 松本がいなくなって『水ダウ』はどうなるのか。企画中心の番組だから問題なさそうだという見方も、確かにあった。

 だが今後「スタジオに松本がいない」という前提でVTRが作られることになるなら、番組そのものの形が大きく変わっていくかもしれない。そう感じさせるこの日の『水ダウ』だった。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/02/08 19:00
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