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絆會若頭にさらなる殺人容疑! 再度緊迫する山口組分裂問題への影響拡大必至

複数の事件への関与が疑われる金澤茂樹容疑者

 2020年9月、長野県宮田村で移籍をめぐるトラブルから六代目山口組系傘下組織の組長に発砲したという殺人未遂事件の容疑者として、全国に重要指名手配されていた絆會の若頭、金澤成樹こと金成行容疑者が2月1日に逮捕されたが、すぐさま新たな展開を迎えようとしている。

 当サイトでも報じた通り【参考「絆會若頭の逮捕の波紋」】、金澤容疑者の関与が噂されていた、2021年に水戸市で起こった六代目山口組系組織幹部射殺事件についても、茨城県警が同容疑者に対しての逮捕状を取得したというのだ。

 この事件の報復と噂される形で、三重県内で絆會組員が六代目山口組系傘下組員から発砲されていたことから、業界内ではかねてから、水戸の事件は絆會による犯行ではないかと言われていたのだが、当局も極秘裏に捜査を進め、金澤容疑者の関与が強まったとして、今回、逮捕状を取ったというのだ。

 しかしなぜ、逃走中の金澤容疑者が水戸市で起きた射殺事件にも関与した疑いがあることを当局サイドは伏せ続けていたのか。これにはヤクザ組織に対する独自の捜査手法が背景にあったのではないかと、犯罪事情に詳しいジャーナリストが語る。

「本来ならば、拳銃を使って殺人未遂事件を犯した犯人が、その逃走中に新たな射殺事件を引き起こした疑いがあった場合、一般市民が巻き込まれる可能性を含め、より警戒を強めるのが普通でしょう。しかしそれは、あくまで犯人がヤクザ組織に所属している組員ではない場合です。凶悪犯罪を繰り返さないよう、メディアなどを通じて、犯人逮捕に向け積極的に協力や防犯を呼びかけるものですが、現在、山口組は抗争状態にあります。もし絆會の若頭が六代目山口組傘下組員を射殺していた可能性を公のものとすると、六代目山口組サイドを刺激し、金澤容疑者を執拗に狙おうとするなどの新たな報復が繰り広げられるかもしれない。つまり抗争が過激化しないように、秘密裏に捜査を進めたと考えられます」

 そんな中、金澤容疑者が長野県宮田村の事件で逮捕し、身柄を拘束したことで、水戸市の射殺事件でも逮捕状を取ったことを明らかにし、事件の真相究明に向けて、本格稼働していくことが考えられるのだ。さらにこんな話もある。

「金澤容疑者にはもう一件、防犯カメラの映像を根拠に、神戸市長田区で起きた六代目山口組の中核組織、三代目弘道会系組長が射殺された事件にも関与しているのではないかと業界では囁かれていました。現に捜査関係者の中には、捜査線上に金澤容疑者の名前が浮上していると口にする関係者もいます」(ヤクザ事情に詳しい記者)

 仮にこれらすべての事件が金澤容疑者の犯行ならば、六代目山口組分裂に端を発した抗争は、ここから過激さを増す可能性も出てくるということだろうか。業界関係者はこのような見解を示す。

「可能性としてはもちろんそうした動きがあってもおかしくない。六代目山口組サイドは分裂問題に対して、神戸山口組や絆會といった離反勢力に対して、圧倒的な武力をもって制圧し、ほぼ壊滅状態にまで追い込んでいるといってもよい状態だ。そんな中で神戸の射殺事件もともなれば、絆會に対して報復に出ても不自然ではない。ただ、こればかりは何とも言えない側面もある。金澤容疑者は絆會のナンバー2、つまりは若頭だ。組織的関与があるとして、捜査当局が絆會の取り締まりに一気に動く可能性だってある。六代目山口組サイドは、その動向も視野に入れているのではないか」

 金澤容疑者の逮捕後に明らかとなったのは、潜伏していた仙台市内のアパートは法人名義で借りられていたこと。そして近隣住民が、金澤容疑者に似た人物がひとりで近くのコンビニに買い物に行っているところを目撃していることだ。逮捕前日には、捜査員が金澤容疑者の潜伏していたアパートを訪れ、中にいる同容疑者に対して呼びかける一面もあったようだ。だが、それに応じなかったために、翌日に閃光弾を使用し、部屋に突入して、金澤容疑者を逮捕したと見られている。

 これで一気に事件は解明されるのか。我々取材班は、金澤容疑者を知るある人物に、匿名を条件で話を聞くことに成功した。

 「金澤容疑者が、事件やその背景について口を割ることは考えにくい。それほど金澤容疑者という人物はヤクザとしてはしっかりしている。ただ、組織的な犯行の場合、必ずしも金澤容疑者の証言がなければ、他人に累が及ばないということはない。金澤容疑者が起こした事件に関わった可能性があると推認できる状況があれば、他の組員を逮捕するだろう。ただ、もしも金澤容疑者に何らかの指示を与えていた人物がいた場合、逮捕されてから日が経つにつれ、同容疑者がどのように考えるかだ。金澤容疑者が、少しでも自分の罪を軽くしようとして、他人を巻き込むようなことはしない人物ということは、同容疑者を知る人間ならば、みんな理解している。だが、逮捕までの日々を回想したとき、一時は組長として何十人もの若い衆を引き連れた時代もあったのだ。それがいつの間にか追われる身となり、仙台市内のアパートで一人で過ごしていた。挙げ句に何らかの指示を受けて、対立組織の組員を射殺しに行っていたとすれば、今の状況に虚しさを感じたとしてもおかしくないのではないか」

 そして、この関係者は、京都で起きたある未解決事件についても口を開いた。

 「2013年に京都で起きたある不動産会社社長の行方不明事件は『死体なき殺人事件』として、何年も捜査が続けられている。数年前には社長の遺体を長野県内に埋めたのではないかと京都府警が掘り起こしたこともあった。この社長と絆會に関係があったのは確かだが、この事件に金澤容疑者が関与しているかどうかはわからない。だが、怪文書などが飛び交い、金澤容疑者に近い関係者らが事件に関与したのではないかという情報も流れていた。捜査関係者から聞く話では、その解明への足がかりになるかもしれないそうだ」

 噂とはいえ、一体どれだけの事件の闇が金澤容疑者の周辺には漂っているのだろうか。金澤容疑者が逮捕されたアパートからは、拳銃のようなものも押収されている。もしも今回、逮捕されていなければ、さらにきな臭い事件が起きていたのだろうか。そして一連の流れに対して、六代目山口組サイドはどのような反応を示すのか。金澤容疑者の逮捕で、山口組分裂問題の緊迫度が一気に増してきているのかもしれない。

(文=山口組問題特別取材班)

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

やまぐちぐみもんだいとくべつしゅざいはん

最終更新:2024/02/06 17:22
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