パリ五輪、局アナやタレントキャスターが「現地に行けない可能性」の理由
#パリ五輪
7月26日のパリ五輪開幕式まで約170日、半年を切ったことになるが、なんとテレビ各局の五輪担当者は困惑しているという。その理由は取材者であっても現地に行けないスタッフが大量に発生する可能性があるとのことだからおだやかではない。
夏季、冬季を問わず、五輪開催時は現地の競技場内で取材するために、必ず国際オリンピック委員会(IOC)が発行する身分顔写真付きのプレスパスが必要となる。
「プレスパスの発行は、これまでの取材実績がものを言うためネットメディアには付与されない一方で、地方新聞でも1枚は持っていたりします。テレビの場合、「権利保有メディア(ライツホルダー)」と書かれた縦長のパスを国際オリンピック委員会から付与されており、これをまずはNHK、民放テレビ局合同で中継業務にあたるJC(ジャパンコンソーシアム)のアナウンサー、制作スタッフ、プロデューサー、技術スタッフに振り分けます。その次に、テレビ在京キー局が取得、最後に在京ラジオキー局の順と続きます。ところが、1月末時点でテレビキー局への具体的に配布されるパスの枚数が決まっておらず、現場は混乱しています」(在京テレビ局関係者)
言うまでもなくパスの枚数が決まらないと、どの部署の誰をパリに行かせて、あるいは東京で業務にあたらせるか、取材クルーが固まらない。大会期間中は特番体制を組むテレビ局にとって、これは死活問題といえる。
「自国開催だった2021年の東京五輪は、IOCも取材パスは日本メディアに大盤振る舞いだったといいます。ところが今回は東京五輪と比べると3分の1以下に枚数が激減するとの情報もある。ただでさえ五輪の放映権料は毎回上昇しており、テレビ局によっては『これ以上付き合ってられない』と降りる局も出てきそうなほど制作の財政を圧迫している。当然、これまでのように余裕を持った人員を現地に送り込めなくなります」(同前)
そして最も影響を受けそうなのは局アナやタレントキャスターたちだ。
「テレビ各局とも五輪中継の出演者を発表するのは6月下旬や7月上旬になってからですがそろそろキャスティングを絞り込んで内々定する時期です。というのもここで決めておかないとパス申請の際に登録した人物でなければ現地で弾かれてしまうから。ところがパスの枚数が少なければ、メイン出演者は東京のスタジオに登場して、現地にはリポーターだけ送り込むパターンが濃厚となる。IBC(国際放送センター)に入るにもパスは必要で、競技会場に行かないからといって放送センターに入れるわけでもない。仮に選手が金メダルを取ってIBCの各局引き回しがあっても、以前のようにお祭り騒ぎとはならず質素な映像が流れるかもしれない」(在京テレビ局スポーツ制作スタッフ)
東京五輪での汚職問題など、今やその価値はかつてのように好意的なものばかりでもない。そんな中、パリ大会に向けて万全な準備ができないテレビ局は頭が痛いことだろう。
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